黒か白かグレーか
間瀬は鵜坂がもって来たデータを眺めた。ハローバルの胡散臭い管理が見えているような気がした。
「まぁ、こんなものだろうな。厄介だと思ったら別のところにでも変えろとか言えばいいのにさ、たやすいい嘘をついているようなものだよ。」
「間瀬、気が済むまで調べればいいぞ。俺の手にかかれば何てことない。」
満足気な顔をしている若槻を見ているのがうれしい。若槻は少し疲れたのか回転いすに座ったまま眠ってしまった。益子は横目に資料を眺めた。ハローバルに売り上げまで調べられてある。鵜坂が次いでにやったことなのだろうが細かすぎる。
「鵜坂の資料か。それはな、何かの足しになればって勝手にやってんだよ。けど、若槻さんはいらない資料をつけるななんて言う人じゃないから余計につけているんだよ。むしろ、喜んでもらえているのを知っている。」
必要最低限どころじゃない資料を眺めても気分がいいのだ。ハローバルの長年の株の動きをとらえられるだけ乗っけてある。一時期は各段と下がっているときがある。あの事件が起きたのは上場していなかったときなので関係ないはずだ。
「間瀬さん、この時期の株の値下がりってどういうことですか?」
「あぁ、それは昔の事件の対応が週刊誌に載ったんだよ。たぶん、若槻さんがリークしたんだろうな。若槻さんなら週刊誌の仲のいい記者くらい知っているからな。表にしないだけで、上の奴らをつぶせる内容はあるんじゃないか。」
「くだらないことを言ってるんじゃないぞ。間瀬。」
「すいません。」
明らかに怒ったふりの若槻に平謝りの間瀬の姿を見ているとコントをしている芸人を見ている。下手な芸人よりかは面白い。人が少ないから話しているのだろうし、知られている内容なのかもしれない。その時の株主総会があまりにもひどかったらしく幹部をやめさせてとどめたのだ。
「それもこれも株主をだます建前ってものよ。口先では改善とか言っておきながらも全く変わっていないんだよ。連ねた名前を消しただけで会社に出入りしているのを知ってるんだよね。また、知られたら本当に消さないといけない。だますのが目的になっているからな。」
眠れてすっきりしたのかふらふらと立ち上がった。間瀬のほうへと近づいて行った。何かの手がかりを探している。遠くのドアをトントンと鳴らしている男性がいた。
「どうした。」
「若槻さんのおかげで明星が落ちました。」
「そうか。お前、次いでに尾崎峰雄について聞け。大方、首謀者だ。」
「わかりました。」
いい情報を得たので急いでかけて行った。




