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叫騒の歌  作者: 実嵐
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黄色の意図

益子は暇な時間を優雅に過ごしている。間瀬は慌てる様子もない。若槻も一応は管理職を任られているが、関係ないといわんばかりに自分の回転いすに身をゆだねている。捜査一課という名をもっているのでなんの不自由なく捜査もできる。縛れることが少ないのだ。少ない人数で行っているのでけだるそうに見えるのだろうか。大人数でごたごたとしているところを見せられても何を読み解くのだろうか。

「おい、お前らも呼ばれるぞ。」

「偉そうに言うなよ。俺と変わらない癖に捜査一課のエースとも呼ばれていない人間が駒の癖によ。」

声をかけてきた益子と同期の生稲に対して益子が堂々とした態度で論破をして見せる。生稲は所轄から腕を買われてきたらしいのだが、警視庁では全く役に立っていないといわれていたのを彼は知っていた。駒としていずれ切るともいわれているのだろうから。大きな事件の時は駆り出されるというよりは早期解決のために腕を貸せと頭を下げられているのと一緒だ。

「益子、憎まれ口なんてたたいてないで行くぞ。どうせ、刑事部長の圧力がかかる前にやらないと厄介だ。飛ばされるのは捜査一課の連中で関係ないからな。」

刑事部長と因縁だけでなく、何があるかはわからないが、どうも関係が見えてこないのだ。若槻の言うことだけは聞いてやるともとれる態度に生稲はいらだっているが、返す言葉がないのか何も言わずにいなくなった。此処の部署は一種の間借りしている状態にしたのは刑事部長なので抗う理由もないのだろう。若槻の言い分も知っているので間瀬は素知らぬ顔をしてパソコンをいじっている。

「若槻さん、行ってきてください。俺は鑑識の連中から情報を探りますから。」

「そう、有難う。行くぞ。益子。」

「はい。」

大きな足跡を残して歩くので必死に追って歩くしか益子はできない。現場には車で行く。覆面のパトカーを使っている。パンダに乗ることは少なくなっている。がやがやと声がする。連絡があるのだろうから。これから待ち受ける大きな事件が過去と現在を結ぶことをまだ2人は知る由もなかった。

 現場は閑静な住宅街の近くで起きた。そこの住宅街の近くには小さな町工場にうずまっている。そこの一カ所で起きたのだ。捜査一課の人達が見終わったのか少し騒がしさは静まり返っているようにも見えた。益子がふっと空を見上げた。迷惑そうに烏の鳴き声が響き渡る。黄色の規制線をくぐった。警察手帳を見せれば警備をしている警察官は通してくれるものなのだ。

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