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叫騒の歌  作者: 実嵐
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消えないものと消えてしまうもの

立ち話のようになっているのが気になるのか、片桐が分析をしながらちらちらとみていた。遠藤がアイコンタクトをすると普通通りに作業をし始めた。

「ありゃ、まだ時間がかかるわ。」

「そうですか。まぁ、分析するのに時間がかかるのは知ってのことなのでいいですよ。」

笑顔で対応する若槻がまぶしく思えた。益子にとってはまだ刑事としてはひよっこであるという思いのほうが上回っている。知ったかぶりをしたとしても困るのは自分なのだと思えていない。プライドがあるかないとかは違う何かをもっているのにそれに対応することができないのだと思ってしまう。

「俺も追われていた時を思い出します。こんな時に限って頼み事がかぶったりするんですよ。いい目をしている人は構わないですけど、それが何かにつながっているんだって思いますけど。手柄目的でさっぱりわかっていない人が携わってくるのが一番厄介です。上司のネタをそのまま受けてくる人もいますしね。」

データという仕事を扱っていることもあってか、間瀬は状況をよく見ることができる。間瀬自身、データを扱っていたところから刑事に転換されることはみじんも感じていなかったのだろう。遠藤は間瀬の言葉にうなずき返していた。伝わる部分が多くあるのだろう。

「あと、毎回人のやることにケチをつけたがる人って自分の権威のことにしか集中できてない証拠ですよ。刑事部長なんて現場にいた経験ある癖に全然理解がないじゃないですか。」

「あいつは昔からそんな奴だよ。現場にいたのも最初の時くらいで、管理官に認められたくてその指示にしか従っていなかったんだよな。それのつけが全て、今になって回っているようにしか思えないんだよな。」

愚痴を言っているようにしか思えない。若槻にとっては常々たまっていたものなのだろう。変わらなかったことと変わる機会を何度も与えたのにも関わらず、変わろうとする意志のなかったこともずっと感じていたのだろう。間瀬は暇になったのかその近くにあった椅子に座った。

「間瀬さん、データを扱うことになったんですけどうまいこと分析行かなくて・・・。教えてもらえませんか?」

「いいさ。何処かわからないんだ。」

フットワークの軽さを感じる。間瀬も変わりゆく時代に対して対抗しようと情報を取り入れたりしているのある。止まっていない姿を見ているので追われているようになったとしても大丈夫だと安易に言わないのだ。たとえ、自信がかすかにあっても。


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