悪友も言ったとも・・・
警視庁に行ってみると捜査一課の連中はさほど慌てた様子が見えない。それどころか物取りで確定しているので、是が非でも変えようとしない姿があった。無様だとしか思えなかった。間瀬は小さなところに行った。
「待ってたよ。間瀬。」
「いいえ、若槻さんこそ今日は益子と一緒に会社へ行くんじゃないんですか。」
「行くさ。ただお前に会っておいてお礼くらい言わないとな。遅くまで取り合ってくれたって聞いたから。有難う。」
若槻の不器用な感謝の言い方は幾度となく聞いているが、それでもうれしいことだった。データを扱っていた部署にいたときは駒のように動き回ったとしても参考にされなかったりすることもあってうんざりしていた。そこから離れたいと思っていたころにこの話が舞い込んできてうれしくて喜んで離れた。感謝されるどころか隠すような行動を促されるのを逆らったかいがあったとも思ったほど。
「それじゃあ大きなところへといってくるよ。間瀬、お前も気が付いたことがあったらメールするなりして俺に伝えてくれ。俺はどうも捜査会議ってものが嫌いでね。鑑識の連中に問えば出てくる話だし。大して進展もしてないだろうからな。まぁ、好きにしてくれ。」
間瀬にとっては信頼をしているから好きにしろと言われているのがいい。若槻は下手な干渉をすることを嫌う。愚かなことを費やすくらいなら・・・。若槻はそう言い捨てるように言っていなくなった。間瀬はパソコンを開いた。此処には若槻に指示されたことも書いてあったりする。鑑識のもっている指紋や足跡についてのデータをもってきている。下手にホワイトボードへと書き込まなくてもいいようにしている。捜査一課の人達は出世ばかりに目がくらんで、一番大切なことを見落としているのだ。いきなり肩をたたかれた。
「よっ!何をしてんだ。」
「お前か。」
「お前かっておかしくないか。・・・あれ?若槻さんは?」
「さっき出て行ったよ。ハローバルに行くってさ。リーチと関係あったら行くに決まってるだろう。」
「そうだな。あの事件は忘れられないよ。」
いきなり肩をたたいてきたのはデータを扱っている部署にいる鵜坂だった。此処に異動になるまで一緒に仲間としていた。それでもなお関係が切れないのは彼しかいなかった。間瀬の腕を知っていることもあるのだ。席も隣であったことも深く関係する。ハローバルという会社とは因縁というほど悪い関係なのだ。情報提供を意地というほどの言い訳を使って出さなかったのだ。強引に出してもマスコミに警察が悪いとまで言い切ったのだ。




