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叫騒の歌  作者: 実嵐
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憂いていると知っている

「誰しも間違えないというのなんて言うのは嘘になるからいいませんけどね。俺も全うなのは若槻のおかげですよ。あいつが間違わないように導いてくれたんです。」

武田の言葉に驚いたのか顔を上げた。涙におぼれた顔だったが、気にすることはなかったのだ。安藤は謝った道に行ったことは自覚しているのにまた告げるのは武田の思いとは違う。後ろに戻っても同じだと教えたのはきっと榎並邦彦だ。

「間違ったとしても誰かに嘆き助けを呼ぶのは悔しがったりするのは間違いですよ。俺は姉貴の相談をしたんです。それに乗っているのか最初はわからなかったんです。でも、聞いていて相談したことすら忘れそうになった時に告げるから驚くばかりでしたよ。・・・姉貴がいずれ間違った道を行ったときに諭す人間になれって言われましたよ。」

高校の時くらいでしたかねといって武田は笑った。高校生が言える言葉でもなかっただろう。弟のことがあったのだ。病人であった弟に愛情を注ぎすぎてしまったと少しでも謝罪をしたら変わった未来を今更嘆いたところで変わらないことも知っている。なら、人を諭すくらいの人間になっていればいいのだと思ったのだろう。彼なりの難しい人間としての生き方だった。

「それで友人のノリで警視庁に受けたらあいつ受かったんですよ。俺にとっては羨ましいとは思わなかった。生い立ちを知っていることもあってか不安だったんです。まぁ、俺にできることはかかわりを途切れさせないことと思ったんだ。それによって起きている。」

武田の心情というのはとんでもないものだった。警視庁に受かったことによって生まれるのは何処かで復讐とか言えぬものが生まれるのが出てくるのではないかと思った。武田は受かったと聞いたときからブレーキとなって存在すればいいのだと。武田の銀行の受験をいいようにして受かるようにしたのが若槻だった。同級生だけでは済まないのは知っていた。忘れらないものをもっている。刑事になると決意しているわけでもないから交番勤務にすればといったこともあった。その時に言われたのが、教授に言ったらいい警察官になれと言われたと。それを請け負いするには刑事になって1つでも被害者遺族の無念を晴らすことだ。

「俺の創造を超えてましたよ。あいつは警察に入ることで被害者として生きるわけじゃないと示したかったのかもなって。憂いているほうがよっぽど無駄な時間だと知ったんですよ。」

「そうですね。」

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