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叫騒の歌  作者: 実嵐
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宴の声

「でも、もっぱらおふくろが研究者になったほうがよかったんじゃないのかって言われているみたいで、戻ろうとしているらしい。修士だったから受ければすぐに取り戻せるとか言ってさ。流暢なこと言っているけどうまくいくかなんて保証が付いていないんだよ。親父はあきれてしまっている。」

「親父さんはあきれるだろうな。あの親父さんは決めた道を突き進むのはよしとしても引き返すのは嫌う人だったから。」

若槻が以前武田の親父にあった時に思ったのだ。決めた道を進むのは止めないようだったのだ。だが、明らかに引き返すようなことをすれば苦笑いをするような顔をしている。それを鮮明に覚えているのは確かに武田の姉に対するものだったのだろう。優柔不断なような態度ばかりを見せるので嫌気がさしてしまうのだろう。

「親父も最初のほうは口を出していたみたいだけど、今じゃ放っておいているみたいだよ。大学院なんて社会人でも行けることもわかったみたいだから行くんじゃないのか。」

借金をしてまで行くのかもわかっていない。大学院にいたころはまだ教授の請負もあっただろうが、一度出ているようなものなのでどうするつもりなのかもわかっていない。研究もそこまで珍しいものを扱っていなかったと姉の友人から聞かされたときがあった。珍しいものでもないうえに特段変わったことを研究するようなこともしなかったのだ。大学院での話を聞いても大したものじゃないと思ってしまった。

「姉は半端な考えしかないからさ。教授に最近になって頻繁に会っているとも言っていたよ。あったところで困るんじゃないのか。」

「そりゃそうだろうな。大学院をいったところで社会に出たといっても1年も出ていないんだからよく思われないのが筋だと思うぜ。もしその上でやめようとしているならなおさらだ。」

武田の姉の話は高校の時から愚痴を言うように聞かされていた。その上にその影響を受けてしまうのだとも言っていた。武田は高校の時から先生に頼んでバイトにもいそしんでいた。普通の家庭であった上に大学院に行くとなれば火種が散るのがわかっていたからだ。ただ、姉はバイトをしたとしても遊び代に消えてしまうのだ。姉は金遣いに荒くなってしまう。弟に金をせびっているのだ。返さないことがしばしば続いたので高校の3年の時には貸さなくなってしまった。それに対して愚痴を言っていたが、母親もそれに乗っているのも嫌らしく思ったのだ。そこからどんどん関係がなくなった。

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