人となりと書き
高校の正門につくと騒がしさが目についた。それに関してはどうしょうもないことだ。駐車場が埋まっているというわけでもなく、一部はスカスカという感じだ。以前の一件があってか今も長引いているというのだから驚きだ。少なからずはといってもいいのかもしれない。偽りのない表し方をしているのだ。警備員が警戒しているようだ。覆面ということもあるのだろう。
「貴方がたはいったい・・・。」
「警察ですよ。」
手帳を見せると驚いたようですっきりとした顔からキリっとした表情へと一変した。そこまで変わるのだと思った。
「民間の未熟者ではありまして、申し訳ありませんでした。ご無礼な行為をしてしまったことに謝罪いたします。」
そういって手を頭の淵にあてた。帽子が邪魔なような気がしてならない。そういって誘導をしてくれた。たぶん、早めには来ていないだろう。自分の地位をとても大切にするのだから。来ていたとしても周りを見ていてわからないだろうから。隅っこに止めた。開いていたことも含まれているのであるからだ。益子はほっとした様子だった。
「あの警備員も警戒心が強いですよ。あまり気にしない人が多いでしょうに。」
「まとっていた空気に違和感を覚えたのだろうよ。警備員としてもうでがいいな。たぶん、元刑事とか元交番で働いていたんじゃないのか。」
さっきの警備員がそそくさとこちらへ向かってきた。帽子を取りながら来た。周りを見てみると、少し車の流れがないように思えたのだ。
「先ほど話されていた会話を聞いてこちらに来たんです。・・・確かに元刑事です。それも警視庁捜査一課にいました。」
「何故、そんなあなたが警備員なんて仕事をなさっているんですか?」
「私は上原信夫とのコンビでした。彼は正義感が強くて組織に歯向かって動くことが多かったんです。まぁ、若かった時はですよ。年老いてからは一応は型にはまったように過ごしていたんですけど・・・。」
彼は言いにくそうに言った。
「高木幸喜っていう人物の事件を知った時に以前のように動きだしたんです。退職まじかでする必要はないと止めたんですけど聞かなくて・・・。上原は昔、息子をまれな病で失っているんです。死に際にも事件の捜査で会えなかったこともあったんでしょう。葬式の時にいったら悔いていましたよ。親父らしいこともしなかったと嘆いていましたから。かぶさったのだと思いました。」
上原自身の後悔と合わさって追っていたのかもしれない。その人の命すらも傲慢にも奪ったのだと思った。
「上原がいなくなって喜んだのは幹部とかですよ。それで言いがかりをつけられて天下り先に生かされた始末です。」
乾いた笑みは世の中をあざ笑っている人間に向けられているようでもあった。




