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叫騒の歌  作者: 実嵐
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出番

高校の訪問が終わって警視庁へと戻った時に遠藤がやけににやけた顔を張り付けている。手招きをしている。

「どうしたんですか?」

「さっき、榎並邦彦の元秘書を捜査一課の連中が捕まえたって聞かされたんだよ。その上に上原夫妻の殺害を自供したと来た。いい知らせだろ。」

「ですね。榎並自身は秘書が勝手に言いたいんでしょうけど、まぁ資料じみたものの扱いは疎かったでしょう。素人の学生に名前を見られているんですから。」

遠藤が引き留めた意味があると思った。捜査一課は意地でも自分たちの手柄を得たくてしているようにしか思えなかったのだ。うるさく言うのはもっぱら出世のことばかりにすぎず、遠藤にとっても性に合わないのだ。若槻や若槻の近くいる人物は似た考えを持つ。出世よりも被害者の家族に意地でも笑顔にさせたいとエゴでも思っているのだ。それが少なからず共感した。仕事をしたら知らず知らずのうちに考えるものだ。うわべの初心だといっていたりするように。

「まぁ、強敵と戦うにはいい条件だな。これが最後かもしれないな。」

「構わないですよ。俺はこれっぽちも思っていないからですよ。榎並は強敵なんかじゃないですよ。最悪の悪党と戦うには絶好の場を設けたんです。あぁ言う人間に限って以上な自尊心によって保っているんですから。」

遠藤は若槻から吐き出された言葉に少し笑いがこみあげてきた。人を見てきたのだ。嘘や偽りにあっても戸惑っていなかった彼の背中を知っているから。彼の相棒が自分の失態を彼の所為だといったのだ。上司も疑いもせずに鵜呑みにした。その裏では榎並邦彦との交流があることが何処かで漏れるのを恐れているようにも見えた。刑事部長となってからも捜査一課に出向いたのは活躍を見ていたのではなくて、不安なのを打ち消すために行ったのだとしたら全てが打点が言った。彼は警察をやめることになるだろう。国会議員の単独ならまだ目をつぶるまでも行かないが、考えたのかもしれない。警察が金で買われて行っていったのが週刊誌に出回っているので止められそうにないのが現状だ。突き出すことをするのが一番手っ取り早いのだ。

「若槻、好きなだけ暴れてこい。邪魔ものはいないよ。むしろ、歓迎してくれる人達だ。」

「わかってますよ。だから、佐伯、片桐、益子、間瀬、鵜坂とかをあら使いしているんですから。」

遠藤はそういうと声を聴いていなくなった。聞くまでもないとは最初から思っていたのだろう。

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