かけと
心の知れた人間に会って喜ばしいと感じているようだ。
「此処って一応は学生街だって聞いたんですけど・・・。」
「あぁ、すたれているっていう話は簡単よ。高校のいじめが原因だったのよ。確か主犯格は榎並さん所の娘っていう話じゃなかったかしら。」
危うい記憶をたどっているようである。そのため、若槻に頼みこむように目線を送った。若槻は悟ったのか悩んだようだが、すぐに口にした。
「確かに。榎並恵美子って言ってましたね。亡くなった学生に対して全くもっていい対応をしなかったんだ。不慮の事故として処理をしようとしたの知った被害者の家族が訴えたんだよ。それの行為を誤ってしまったのを警察にしようとしてまたたたかれてしまって救えない学校とか言われていたね。」
「そうだったわ。榎並邦彦が娘可愛さにした行為らしいけど、結局引きこもりになってしまってね。大学に行ってもいじめていたことが知れ渡っていて嘘みたいな噂を流されてもいじめていたこともあって、言い返せなくて最後には中退したという噂を聞いたことあるわよ。」
コーヒーとケーキの準備ができたのか一時的に会話からいなくなった。奥に引っ込んでいる男性の顔を見た。余計な話をするなとでも言いたげだったが、彼女は知っていながら素知らぬふりをしているようだった。
「でも、そんな彼女が社長になるみたいなんでしょ。やれるのかしら。」
「やれないと思いますよ。旦那が殺されていてもけろっとしていたみたいですから。」
「まぁ、なんて人なのかしら。高校の時から来ていたことがあったのを思い出した。傲慢な態度をとっていたもの。まだ確か、中小企業の社長の時だったのに自棄に偉そうにしていたわよ。毎回、おごる立場じゃなくて言い訳をつないでおごってもらう立場だったみたい。その癖、高いコーヒーやらケーキを頼むの。おいしそうに食べないの。食べてやってるとか思っていたのかしら。そんな共感を呼ばない人が社長になっても困るばかりよ。」
彼女の早口の言葉と鼓動が一緒になっているようになっている気がした。せわしないのが嫌気がさしたのか旦那さんが出てきた。
「こら、お客さんに迷惑じゃないか。・・・それに高校生たちに残してほしいといわれているんだ。文化祭の寄付額によっては考えるだなんて言ってしまったんだから引き返しがつかない。」
「高校生が残してほしいといったんですか?」
「そうなのよ。ファミリーレストランとかファストフードとかあるからそっちに行ったらって伝えたのよ。騒がしいほうが集中できるんじゃないのって。そしたら、此処のほうが落ち着くし愚痴を聞いてくれる環境があるほうが嬉しいだなんて言われちゃってついね。」
文化祭で此処に対しての寄付額がいくらになるかによってやめるかどうかをかける選択肢を与えたらしい。




