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叫騒の歌  作者: 実嵐
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派手と地味

毎年といっていいほど榎並邦彦の公演中の動画を強制的に取らされており、その上文化祭の担当者は卒業生にしろと言いつけているのだと新人の教員はおどおどしながら言った。それで新人であってよく知らない人に任命されることをベテランの教員から聞いた。授業のこともあるので訪れてほしいのがやまやまなのだが、全くもって来ないのだ。その上地元に帰った時くらいに連絡するなりしてほしいのにそれもしないでおいて東京に来いというのだという。広々した部屋に来させてまるで子供の自慢話ばかりを繰り返して本題へといってくれないのだという。

「だから、僕は嫌いですよ。榎並邦彦っていう人がね。学生の時からずっと・・・。口走るのは毎回説教じみた事ばかりでもありますしね。」

「それはそうですよね。担当されている学年というのは?」

「1年です。1年だからだって侮れないのは知っていますし、受験に重きを置くための授業だってしていますし、いじめなんて起きたら死活問題だっていうのも校長からこっぴどく言われますし・・・。」

彼の心には憤りしかないように見えた。榎並の公演している最中の何処か恍惚とした表情がうざったく見えた。時折の出張も榎並に会うためで全く自分の身になるような研修の時にかぶったりしてしまえば嫌気がさすばかり。

「大切な研修だってあるんでしょう。それに研究や相談だって・・・。」

「頼ってくれる学生だっているんですよ。それも遮られてしまうのは全くもって理解できないですよ。もう本当に・・・。」

マニュフェストについても話されるらしいのだが、言っていることとやっていることに矛盾がありすぎるのだといった。子供が増えないと嘆きながらろくに子供に対しての政策をしないのだからといった。頼ってくれる学生のために相談に乗ろうとしようとしても無駄な電話で遮られてしまうのだ。

「大学へ行く試験への方法も変わってしまう。そのことによって負担が増えるのは教師。教師には叱りにおいても制御されている。なるような職業じゃなかったって今更ながらに後悔しています。」

「その後悔もきっとい何時かの糧になると思いますよ。きっと。」

益子がそっと言った。益子自身、捜査一課ではあったが違ったことに後悔をしてしまった。けれど、その後悔が全てなくなってしまった。それは若槻の人となりを見たからかもしれない。

「そういわれると何処かほっとします。無駄じゃないって否定されていないって。」

彼から淡い笑みを漏らした。

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