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先生、あのね
イラスト:主宰・牧田紗矢乃さま (http://12498.mitemin.net/ )
指定ジャンル・必須要素:なし
→→ ジャンル:詩
この作品は286字となっております。
階下の声
風の音
先生、あのね
毎日楽しく過ごしています
幸せを感じて余りさえあります
幸福の意味はまだ知らないけれど
だから何の心配もいりません
冷えた爪先
膝の傷
先生、あのね
見られたくないものは多いのです
だから見たくないものが多いのです
知られたくない荷物が増えたから
誰の鞄の中も覗かないのです
記憶の花火
雪の道
先生、あのね
昨日初めてキスをしました
何の感慨もありはしません
哀しいくらいにかさついた感触が
あまりに確かだっただけです
刺さる視線
終の鐘
先生、あのね
誰に抱き締められるよりも
自分の腕の中が優しいのです
あなたの嘘つきな笑顔の後には
いつも震えるほど皮膚が痛むから
先生、あのね
先生、あのね
牧田紗矢乃さま、ありがとうございました。
この詩はどんな解釈を持たれるのだろう?
イラストの中のあの子が吐き出した言葉を書き留めてみました。