ふるさと
イラスト:檸檬絵郎さま (http://22105.mitemin.net/ )
指定ジャンル・必須要素:なし
→→ ジャンル:詩
この作品は322字となっております。
帰りの電車でやっと息を吐いた
くたびれた夜のにおいと始まりの音
冬の夜はどこも同じようなものね
闇に吸い込まれて消えてしまいそう
朝の電車には居場所もなく
吊り革の感触も覚えがない
目的地まで数分の距離
居眠りする余裕もありはしない
ぼんやり車窓を眺めても
流れるのはホームとコンクリート
交差点の人波にも惑わされなくなって
話し言葉を笑われることもなくなった
時計を見る回数は増えて
お世辞と笑顔は上手くなる
アルバムで見つけたいつかの写真
焼けた肌に白い歯だけが浮いて
カッコ悪いなんて思わなかったはずなのに
蜂蜜たっぷりの珈琲が苦い
「いつでも帰っておいで」
その言葉が苦しくて未返信のメール
もう子供じゃないとうそぶいて
深夜 コンビニの前でビールを呷るけど
明るい空に星は見えない
檸檬絵郎さま、ありがとうございました。
地元で暮らしているわたしは、都会で生きることは知りませんが。でも大人になると変わってしまうことってありますね。
久しぶりに電車に乗ると、妙に感慨深い気持ちになるのはなぜだろ?