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荊の棺
イラスト:桧野陽一さま ( http://10819.mitemin.net/ )
指定ジャンル・必須要素:なし
→→ ジャンル:詩
この作品は277字となっております。
窓から見える景色はあまりに狭くて
淀む空は遥か先まで
溶けてしまえるならいっそあの雲に混じりたい
赦されないから今日もまた庭の隅で荊を食む
息ができなくなるほど強く抱かれて
温かな胎をぼんやり思う
巻きつけた布切れを飛び越えて
血潮を撫ぜる棘
頬をくすぐる葉
柔い感触は胸を裂くから
どうか隙間なく包み込んで
何度だって来る最期の夜に
何度だって朝日が差して
また蕾が解れる音がする
ただ苦しみたくて 悲しみたくて
甘い荊の苦みを探る
溶けてしまえるならいっそ土に染み込み糧になりたい
赦されているから今日もまた庭の隅で荊が誘う
息ができなくなるほど強く抱かれて
輪郭のない陽をぼんやり見つめる
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