Strange men
皆様、お久しぶりです!遅くなって申し訳ありません・・・。
ナイトスレイヤー第二話開始でございます。
どうぞお楽しみください。
バーのような雰囲気の部屋の静寂を、紅茶を啜る音と食器を洗う音がぶち壊す。
やはり紅茶は最高だ。この香りと色と味がいい。
もう一口啜る。
ン〜。ウ〜マい。勿論、砂糖など入れない。紅茶はストレートに限る。渋くて甘くない。まさに俺の人生そのものだ。
「浩ー。紅茶の温度どうだー?」
食器を洗いながら話しかけるのは白髪の青年、小林雅春だ。尋常ではない面倒くさがりだが、料理が得意な俺の小坊の頃からのダチだ。
そして、俺は鈴木浩。キッチリキメた黒髪のオールバックと、サングラスと、サングラスの奥に潜む凶悪な目付きがトレードマークだ。
「ああ。丁度いい」
猫舌だから熱いもの苦手なんだよなー。
「寝顔可愛いなぁ。襲いたい」
少女の顔を舐めるように見ながらセクハラまがいのことを言っているのは菊川泰志。
癖のある茶髪に細い目。嫁の渡部葉のフルグラフィックのオタTを身に纏っている。俗に言うオタクだ。
「起きたら今のこと言っちゃおっかなー」
対戦車用ライフルの埃を落としながらニヒルに笑うのは美沢和哉。フードを被っていたせいで黒髪はボサボサになり、疲れたような目の下にはクマが酷い。全身黒ずくめで、某探偵マンガの黒服の方々にそっくりだ。泰志と一緒に不審者として警察に突き出そうかな。
そんな下らないやり取りをしていると、少女がうめき声を上げ始めた。お?意識が戻ったのか?
冷や汗をかきながら苦しそうな顔をしている。手足をピンと張った後に恐る恐る黒く澄んだ目を開く。
視界がぼやけているのか、泰志の顔を認識出来ていないようだ。少女の視界が正常になるまで数秒を要した。そして、
「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
少女は目の前に居た泰志に驚き、悲鳴を上げる。それに驚いた泰志も叫び声を上げて椅子ごと後ろにひっくり返る。俺たち四人の視線が少女に集まる。
「なッ、何よ!アンタたちは!誰なの!?」
少女は上半身を起こして、タオルケットで体を隠しながら、プチパニックを起こしている。服を着ているのだから、タオルケットはとりあえず盾にしているのだろう。
「おい。そうゆうのは自分から名乗るモンだぜ」俺は慌ただしい空気を制し、少女の動揺を鎮める。
少女は俺の言葉に怯えて一瞬ビクッとした後、深呼吸をし、落ち着いてから自己紹介を始めた。
「私は渡辺洋子よ。アンタたちは?」
「鈴木浩だ」
「俺は小林雅春。よろしく」
「俺は菊川泰志!無事でなによりだ!よろしくっ!」
「俺か・・・美沢和哉・・・」
全員の自己紹介が終わったところで、少女・・・いや、洋子は自分の置かれている状況を再確認した。
広い部屋に年頃の男と女が一緒に過ごしている。それも、ガラが悪そうな男が四人。それに対してか弱い女が一人。しかも洋子は一般人だが、俺たちはいわば、バケモンだ。さらに、洋子を助けた理由を本人は誤解しているだろう。
洋子は何かに気付いたような顔をし、徐々に顔が赤みを帯びてゆく。両手を肩に回し、長い黒髪を振り乱してまた騒ぎ出す。
「もっ、もしかして、アンタたち!私のこと身代金目当てに誘拐したんでしょ!!!」
「「「「ハァ!?」」」」
根も葉もないことに俺たち一同は素っ頓狂な声を上げる。
「俺らはそんな事しないよ」雅春。ナイス説得じゃ。
「え?売っちゃってもいいの?」
「ひっ!?」
「てめぇは事態をややこしくすんな!」
泰志に拳で制裁を加える。余計動揺するだろうが!落ち着かせないといけねぇのによ。
「アンタたち、本当に何者なの?これ誘拐だよね?マジで警察呼ぶよ?」
「呼べるモンなら呼んでみ。絶対来ねえから」
和哉が鼻で笑いながら煽る。
「なんで来ないって断言できるの?」
「全滅したから」
「え?」
俺の言葉に洋子の顔に恐怖が現れる。さらに質問に答えていく。
「あと、俺らが何モンかっつー質問の答えはそーじゃな、バケモンだぜ」
「バケ・・・モン?」
「そう。人の姿をした人ならざる異形の存在、「ナイトスレイヤー」だ」
最後までご愛読有難うございます!
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ナイトスレイヤー略して「ナイスレ(今考えた)」次回をお楽しみに!