第1章ー2 度重なる恐怖
一方……3人組は
「うぐぐグゾォ」
「やられすぎだぞ俺たち......」
「そうだなぁ次は必ず殺してやる…」
やられたチンピラ達は痛みでその場から動くことは出来ていなかった。まさかあんな奴に負けるとは思ってもいなかったみたいだ。
「おい!てめェーらぁ!」
その時とても低い声が3人のチンピラを呼んだ。
その声を聞き3人組は一気に顔を青ざめる。
「仕事はどうした?もう片付いてる頃だろぉ?約束のものはまだなのか?」
低い声のこいつは3人のチンピラのボスで間違えないようだ。
「ボボボ、ボス!?」
「すすす、すみません!!逃げられてしまいました!!」
「逃げられただァ!?ふざけるなァ!!もうお前らは使い物にならないな…」
そう言った途端3人のチンピラはわずか一瞬の間でねじ伏せられてしまった。
「俺が消されちまうだろうが!」
「俺が直々に仕事を実行するとするか…」
場面は酒場に戻り腹ペコの晃孝はできるだけ腹に食べ物を詰め込んでいる。
「てかあのチンピラ達名前日本じゃ無くねぇか?そこんところどうなのよ礼羽」
ずっと気になっていたことを質問する晃孝。
「そ、それは私にも分からないの…ごめん…」
なんか隠しているような気がするがしょうがない。女の子に問い詰めるなんて出来るわけがない。
「まぁそんなことどうでもいいけどさ、助けるって言ったけどどういうことすればいいの?」
助けると言ってもなんか目的が必ずあるものだろう。それをすれば絶対に助けることが出来るだろう。
「ごめんなさい…それも私にもよく分からないの…」
助けると言ったはいいが何を助けるか分からないのでは晃考はいらないだろう。
「えぇぇ?じゃあこれからどうすればいいの?俺必要なくね?」
「ごめんなさい…」
「謝んないで!!俺が悪くなっちゃうよ!」
そんなことを話していたらすぐに事件は起きた。
ガタン、先ほど壊れたドアを踏んで急いで勢いよく入ってきた男がこう言った。
「おい!!今すぐここから逃げろ!早くこの酒場から離れるんだ!!」
周りがザワザワし始める。
「え?なんで」
「どういうことだ!?」
ザワザワザワザワ……
答えはすぐその男から聞くことが出来た。
「すぐそこの交差点でバケモノみたいなでかい男があば、暴れてるんだよぉ!!み、みんな殺されるぞ!」
逃げよう!
ワーワーキャーキャー
色んな悲鳴が酒場の中に響き渡った。
喚きながらみんな急いで酒場から逃げていく。
「俺達も急いで逃げよう!」
「う、うん」
晃孝達も急いで酒場から出ようと出口に向かう。
だが出口の手前で晃孝はこう言い放つ。
「だめだ!!来るな!!」
「え?どうして?」
「いいから中に戻れ!!」
「う、うん!」
礼羽はその理由をなんとなく分かった。
晃孝が礼羽を店の中に急いで戻した。
「女はどこだァ!女を出せェ!!俺は絶対に逃がしはしない!!」
酒場の外ではその大男がそう言っていて、その大男は礼羽を狙っているんだと晃孝は瞬時に判断し、礼羽を店に戻した。大男はでかい棍棒を振り回し、歩行者をぶっ飛ばしながらこっちに向かってきていた。晃孝の身長の170cmに比べて大男の身長は3mの高さだった。晃考はどう見ても勝てない相手だが守るためには戦うしかないと思った。
「おいおい!!こんな人間ぜってェーいねェーだろうが!!」
「おい!!そこのでかいやつ!」
「あぁん!?てめェーは誰だよ!?」
「俺の名前は前田晃孝だ!!心の強さは誰にももう負けねェ!!俺はてめェを倒す真の勇者になる!!」
「フフッフハハ笑わせてくれる!そんなチビが俺に勝てるわけねェだろうが!!」
「うるせェー唇分厚いでかいヘチマがァ!!」
大男の顔をそのままいじり倒す。
「許さねェー!!よくも顔をバカにしたなァ!?」
大男は怒って棍棒を晃孝に向けて振り回してくる。
「は、速い!」
あっという間に晃孝は棍棒の餌食になってしまった。
ドガァン
「ぐァァァァァァァァァァァァァァァか、顔がァァ…あぁぁ…グッ…」
1発棍棒を食らっただけで晃孝の骨格は変わってしまった。
「今の骨何本かいっただろ!?」
血がたくさん流れ出す。次に休む暇もなく大男は腹を狙ってきた。
「次は食らわねェーよ!!」
大男の追撃を上手く避けた晃孝だったが大男はそれを知っていたかのように晃孝の後ろに素早く回り込み棍棒で晃孝の顔を地面に叩きつけた。
「ーーーッッガァァァァーーー!!」
晃孝は痛みでもうその場から動くことは出来なかった。
「やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろォッ!!」
「もう喋るな…弱いやつは喋る資格も持つことは出来ねんだよ!」
大男は地面に倒れて悶えている晃孝にトドメの一撃を食らわせた。物凄い痛みだった。
「ーーーーっ!!」
「よし片付いたか」
大男は店から心配そうに見ていた礼羽に気づく。
「おっとぉ~ここにいたのかい!フフフフ………ハハハハハハハハハハ」
大男はそのまま礼羽に向かい歩き始める
「まだ……まだだっ………」
「あん?なんだなんだ?」
大男は不意に足を誰かに掴まれる。
掴んだ相手はボロボロになった晃孝だった。
たとえ倒れて…体がもう動かなくても……
「ーーっ!!ご、ごの腕が動く限りィ!!ま、まだ、まだ礼羽を守ることがでぎる!!」
「だがらァこの手は死んでも話さない!!」
「うっとおしいわァァァ!!俺は任務を遂行するだけなんだよォ!なんでお前は関係ないのに邪魔をするんだァ!!なんで女に手を貸し、助けるんだァァ!!」
「約束じたからなァ!……お、俺が絶対助げてやるって!!約束は俺は死んでも守る男だァ!!」
ボロボロになりながらも立ち上がる晃孝。
まだやれる。まだ戦える。とこの男は立ち向かっていく。
「ふっははははははいいだろう!!てめェーを粉々にしてやろうじゃねェーか!!!」
棍棒を再び持ち晃孝の右耳を狙う。
「ぐッ!!あぶねェギリギリだ!!」
晃孝はその攻撃を顔を下にして避けていた。晃孝はそのまま手をついて足を後ろから持ってきてドロップキックをしようとしたがそれを大男は簡単に掴み真後ろに投げ飛ばしてしまう。晃孝は急いで空中で体勢を整えてすかさず右ストレートを顔面に入れる。
「当たった!!」
「どうした?全く痛くねェーぞ!!」
晃考の攻撃は大男には全く効いていなかった。大男の蹴りで晃孝は上へ跳ね飛ばされ、大男は上へ飛びそのまま棍棒で晃孝を地面に叩きつけた。晃考はすぐに立ち上がり後ろへ飛んで逃げる。
「くっそ!!全く攻撃が通らねェ!」
「次の攻撃で息の根も止めてやる!どんな仕事でも完璧にこなすチェルノボグだァ!死ぬ前に覚えときなァ!!」
棍棒を持ったチェルノボグは闇を纏ったように素早く晃孝の真後ろに移動し晃孝の後頭部を野球の様に打った。
「ーーーっ……………」
高く打ち上がった晃孝はもう声も出すこともできなかった。チェルノボグは勝利を確信して酒場に入っていく。
「ちょっ……とまっ……ておねが………いだ…………」
晃孝のお願いはもうチェルノボグにも届くことは無い。
お願いだ。待ってくれ。そいつだけは。くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそ!くそ!
「くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
この時自分は弱くて誰も助けることが出来ないし、約束も守れない最悪な人間ということを知った。
涙が溢れて止まらない。自分がとても情けなかった。
どうして……………………
あぁぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁーーーーーー
「お、俺がァ俺がァ俺がァ俺がァーーー..............」
「ごめん……許してくれ………」
涙を流し過ぎて晃孝の周りは軽い湖のようになっていた。ボロボロの体の男は今本気の戦いに負けた。
しかし次の瞬間チェルノボグが何者かによって店から外にはね飛ばされて来るではないか。
「えっ!?……」
晃孝は何が起きたか分からなかった。たった今戦いに負けてしまった、その相手がボロボロな体になり吹っ飛んでくるのだから。
「これで恩を返すことができたかな?晃孝君!!」
そこにはある男が立っていた。この戦闘が始まるちょっと前に晃孝はこの男と出会っていた。それはチンピラと戦い酒場に戻った時の話だ。
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「てめェーどうしてくれんだ!!代金払わねェーと警察呼ぶぞ!!」
酒場のおやじに隣の客が怒鳴られている。
「どうしたんだよ何怒ってんだよ!!」
心配になった晃孝は事情を聞く。
「こいつ代金払ったと思ったけど日本の金じゃねェーんだよ!!」
「す、すみません!これしかお金を持っていないもんですから…」
「日本じゃ使い物にならない金なんて必要ねェっていってんだよ!!」
「おいおい!!おっちゃん!どうかこの家族と同然な俺の顔で許してやってくれよォ!」
「うるせェー!!金払えねェなら警察呼ぶからな!」
遂に酒場のおやじは警察を呼ぼうとする。
「おぉーおぉーおっちゃん分かった分かった!!俺がこいつの分の金払うから許してやってくれ!!」
流石に警察沙汰はまずいと思ったのか晃考が必死に止める。
「こいつの分の金払うから……じゃねェーよ!!!お前はさっきの分のお金を払いやがれ!!!」
晃孝は急いでチンピラの所に向かったためお代を払っていないことはすっかり忘れていた。
「えっ!?す、すまんいくらだ?」
「800円!!」
800円を酒場のおやじに払う。
「で、こいつの分も払うっていったか?こいつも800円だ」
「あぁ払う払う…………………………あッ!!!」
「急に声上げてどうしたよ?」
「い、今の俺の分で金が無くなった。ど、どうしよう…」
大きな犬を見るハムスターのような目で酒場のおやじを見る晃孝。
「ふざけるな!!それじゃどうすんだ!!」
「あっ…………わ、私お金あるよ……」
喋ったのは礼羽だった。
「ほ、本当か!?こいつ助けられるのか!?おっちゃんどうだ?」
「俺はお代を払ってくれれば何も言わねェよ!」
「あ、ありがとうございます!助かりました!!」
「いやいや全然こんなのって俺は何もしてねーけど………礼羽!!俺も助かった!!ありがとうっ!」
「あっ………うん!!」
命の恩人の晃孝からありがとうと言われるのがとても嬉しくて笑顔になった。
「お礼がしたいのですが…そ、その前にトイレに行っても宜しいですか..............」
恥ずかしそうにもじもじしながらトイレに行きたいことを言う。
「てかお礼なんていらねェーよ!!って俺は何もしてねェーんだった!!」
「うん!お礼は全然平気!」
礼羽も晃孝に続けて言う。
しかしその男は
「いいや!!お礼はさせてください!!僕の名前はベリト!よろしく!!」
「俺は前田晃孝!こっちが星野礼羽だ!よろしくな!」
「はい!!って事でトイレに行ってきます!」
「おう!」
「てか人助けるのはやっぱり気持ちがいい!!」
「うん!!」
晃孝と礼羽はこうしてその男に出会っていた。そして今の場面にもどる。
「お、おい!!お前本当にベリトか!?」
まだその男がベリトと言う事を信じることができない晃孝。
「うん!トイレから出たら晃孝が血まみれで倒れていたからびっくりしたよ!!でもこれで晃孝と礼羽さんに恩を返せるよ!!」
「どこのどいつかしらねェーが覚悟しろよ!!」
急に出てきた奴と戦うのはあまり気に食わないがしょうがないので戦うことを決めた。
「うん覚悟します!!」
ベリトは率直にチェルノボグに返答する。
そして今ベリトとチェルノボグの戦いが始まった。勢いよくベリトは走り出し光の様な速さでチェルノボグの周りを飛び跳ねる。
「僕の速さには誰も追いつかない!!君は特に大男だ、尚更追いつかないだろう!速さには弱そうだ!!」
「お前!!いまこの俺をバカにしやがったなァ!!!俺の速さ舐めんじゃねェーーよ!!!」
大男のチェルノボグもまた物凄い速さでそれに応戦する。
「おいおい!!こんなん人間技じゃねェーよ!!!アニメかよ!?」
晃孝はもう2人の速さに全くついていけなかった。だかチェルノボグは次第に遅くなってきてベリトについていけなくなってきた。それを見たベリトはチェルノボグの後ろへ回り背骨の場所を蹴り飛ばす。
「ぐぁぁぁぁぁぁ」
チェルノボグは後方に飛んでいくがベリトはチェルノボグを地面につかせる前に光の速さで下について上へ蹴りあげる。またまた光の速さで、蹴りあげたチェルノボグの頭上にいきそのままかかと落としで勢いよく地面に叩きつけた。
「やっぱり遅かったね!大男さん!!」
勝負は簡単についてしまった。
「つ、強ェ………」
晃孝はベリトのあまりの速さと強さに声が出なかった。
久しぶりですが2話目を作りました。まだまだ初心者なのでアドバイス貰えると嬉しいです。皆さん見てないと思いますがもし見ていたらコメント貰えると励みになります。