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スイング・バイ・ニビル  作者: 粂田
7/12

墓標

「やはりカレン博士はMEPを完成していました。」

「素晴らしいですね。私も来た甲斐があるというものです。」


カレンが半壊させた実験用宇宙ステーションへ向かう途中に私は実験のレポートを受け取ることができた。


「…あの、本当にお気の毒…」

「弔辞は結構です。」


 私は実験室だった場所にのこされたMEPジェネレーターについて仮説を立てていた。MEPドライブはカレンが主張した絶対空間と我々の宇宙に打ち込まれたホッチキスの針のようなものだ。それを使って宇宙を移動する場合、元宇宙ステーションだった「その場所」もついてくるのではないか。それは簡単に調べられる。MEPドライブを移動させるべく力を加えて、宇宙ステーションだったその場所との相対的な距離を計測すればいいのだ。


「そんなうまくはいかないと思いますが。」

「見てみよう。」


実験室であったその場所はその宇宙ステーションの無事な(ステーションの大部分が吹っ飛んだ)エアロックから外へ出て回り込まなければならない。見てみるとMEPジェネレーターとされるものは多量のチューブがつながっていて動かすどころの騒ぎではなかった。隣接したであろうコントロールルームも蒸発したのか爆発したのか分からないがとんでもない様相だ。


「あの状態で使えるのか?」


私をここまで先導してきた研究員は「そうだ」と答えた。


「この宇宙ステーションを改装して宇宙船を建造するのが最善策だろうな。」

「わたしもそう思います。」


当初の計画からズレは生じたが実験用宇宙ステーションだったその場所は外宇宙探検船「アルゴ」として生まれ変わることになった。実験事故の際にカレンが残した大量のデータは人類に未だかつてないエネルギーをもたらした。しかし、そんなことはもはやどうでもいい。私は人類のいない静かな場所へ旅立つのだ。そこにエイリアンがいて静寂を打ち破られる可能性はゼロではないが、そんな悲運は万に一つだって起こりはしないだろう。

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