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「また明日」からの第一歩

作者: パルコ

『丁字路で、また明日』の姉妹編で瀬戸くん視点。

これだけでも多分読めます。


 日常に溶け込んだこのやりとりが少しだけ変われば、もっと嬉しさが増すような気がした。

 俺の一週間っていえば、平日の昼は学校で授業を受けて、火曜から金曜の放課後はバスケ部で汗を流す。月曜日は部活がないから、授業が終わったらすぐに帰る。その月曜日の帰り道、裏門から丁字路まで一緒に帰るのは、普段クラスではほぼ話さない水上みずかみくんだ。二年になって初めてのホームルームで女子から『みっくん』って呼ばれてたから俺もそう呼ぶことにした。

 クラスメートのみっくんは、俺とは住む世界が違うのかってくらいほとんど話さない。みっくんはゲームが好きみたいで、オタクっぽいおとなしい四人グループの一人だ。休み時間も次の授業の準備をして、その日やる内容を確認している真面目な子。あ、それとみっくんはスゴーーーく頭が良い。こないだみっくんの模試の結果が机から落ちてたから拾ったらビックリした。二年になって初めての模試で総合偏差値は七十二。なのに何で定期テストの成績上位者の一覧には名前がないんだろう……。

 二年からクラスが一緒になって、自己紹介も緊張気味だったみっくんは俺の二つ隣の席だった。二年初めての授業は水曜日だったと思う。放課後、俺は部活だったから体育館まで走って、みっくんは静かに帰り支度をしていた。その時は仮入部の後輩が来ることで頭がいっぱいだったから、みっくんのことはもう頭から消えていた。そして授業が始まって初めて迎えた月曜日、今日テレビなにやってたかなーと考えながらまだ明るい通りを歩いていると、みっくんが俺の先を歩いてて、俺がみっくんに話しかけたのが一緒に帰るようになったきっかけだった。丁字路で別れたとき、なぜか口に出たのは「また明日」だった。火曜日になったら話さなくなるのに。まぁ明日学校でも会うからと誰にでもなく心の中で言い訳しているとみっくんも「また明日」と軽く手を振っていた。

 みっくんと話すのはなんてことない普通の話。授業のこととかテストのこととか、行事が近づけばその話もする。けど、俺はみっくんともう少しだけ距離を縮めたかった。毎週一緒に帰るようになって九ヵ月くらい経とうとしているのに、この平坦なやりとりが物足りなく感じていたから。

瀬戸せとくん?」

俺が珍しく声を発しないからか、みっくんが不思議そうに俺を見ていた。

「なぁなぁみっくん、最近ハマってるゲームって何?」

えっ、とみっくんが戸惑ったような声をあげた。そりゃそうか。今までこんな会話しなかったし。

「うん、最近はホラーゲーム全般やってるかも」

みっくんがからりとした声でそう言った。良かった、嫌じゃなかったみたいだ。

 そこから、いつもの会話から一歩踏み出せたような、そんな気がした。

「みっくん、ホラーゲームって怖がるの?」

「スプラッタ系は怖がる。」

「怖くてできないんだけど俺」

「大丈夫だよ。画面から出たりなんて無いんだから。」

「そうだけどさぁ……」

「瀬戸くんゲームする?」

「うーん……周りがやってるヤツはやってる感じ」

「あぁなるほどね」

 そこから忙しくてもクリアが簡単なスマホゲームを教えてもらったところで、丁字路に着いた。今日のみっくんはいつもより喋ってたと思う。きっとそういうものだ。日常にある小さな変化っていうのは。

「なんか俺ばっか喋ってたね」

「そんなことねぇよ、みっくん普段は相槌ばっかだし」

そうだったかな、とみっくんが苦笑している。だから俺もそうだよ、と笑った。

ここでいつも別れる。みっくんは左、俺は右。いつもと違うやりとりはここで終わる。

「じゃあね、また明日」

「うん、また明日」

明日の朝、みっくんに「おはよう」って言ってみようかな。「また明日」って言ってるしね。


あれ……?

長いしまとまらない……。 アドバイスありましたらお願いします!

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