Q.31 人類王と変態巫女は気が合うみたい?
短めです。ゆるして……。
「結論から言おう。ここに貴様らが求めているものは何も無い」
それは人類王の一言でした。
思っていたよりもあっさりとお会いできたと思った矢先の一言。
「賢者など存在も知りえぬし、貴様らの祖先の事も知らん」
「そんな! 魔術痕跡は確かにあるんです! 土の賢者はこのガーデン内部に居ます!」
「だとしても我は知らん」
これは本当に知らないのでしょうか……?
それとも現段階では胡散臭い私たちに賢者を渡せない理由がある……?
「セトラ。このままじゃ堂々巡りみたいだよ。一旦退く~?」
クアさんの言う通りですけど、そもそも王と謁見できただけでもまたとないような幸運。この機を逃すのは……。
その時、荘厳な謁見室の扉が小さく音を立てて開きました。
僅かな音に反応し振り返るとそこには、
「お、お兄様……、その方達は……?」
か、かわいい……!
じゃなくて! 金髪碧眼の絵に描いた様な美少女がいるではありませんか! さらさらなブロンドヘア! くりくりとした眼! ああ、何とフリフリした可愛らしいドレスが似合うのか!!
フレイヤちゃんの対抗馬がここに来て現れるとは……世界って広いですね……。
感動です。
「あ~もう、変態セトラ、涎よだれ。こんな厳かな場所ではしたないって~」
「はっ! そうです、ここは交渉の場。こんな精神攻撃を仕掛けてくるとは中々どうして侮れませんね人類王!」
「いや、我にそんなつもりはないんだが……。それよりもソルレーヌ、謁見中は入ってくるなと言ったはずだが?」
ふむ。ソルレーヌちゃん。覚えました。
「う……ごめんなさいっ! ちょっと用事があって」
「後にしろ。今は大事な客人と話している」
「は、はい……」
ぱたり、と寂しそうな音を立てて閉まる扉。
「無礼を許せ。あれでも第六王女なのだがな……。末妹故か礼儀を知らぬまま育ってしまった」
「いえいえ、眼福です!!」
「巫女……だったか、中々面白い奴だな。貴様は」
「ふ、人類王。貴方もですよ」
「多分褒められてないと思うんだけどぉ~」
「しかしだな、知らんものは知らんとしか言えん。我に出来るのはこの国に滞在する許可のみだ」
む~、困りましたねぇ。もしかしたらクアさんと同じようなパターンでしょうか……。
魔力探知をするにも未知の人物相手じゃ限度がありますし、シロ様ミラ様不在の今上空からの偵察も使えない。
「……分かりました。突然の訪問にもかかわらずお会いしていただき感謝します」
「ああ、また来ると良い。時間が許すならば茶くらいは振舞おう」
「……! はっ、有り難きしあわせ!」
綺麗な跪く騎士の構え、決まりました……!
まあ、何故か人類王に気に入られたので押しかけ訪問にしては上出来ですかね。
「……セトラお姉ちゃん、きっとあれがやりたいだけ……」
「そうだね~。あんなにふざけててあの王様じゃなかったら不敬罪で打ち首もあったかも……」
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「さてさて、どうしましょ」
少し早めに宿に入り、これからの指針について会議です。
随分と歓迎されているのはラッキーですが、肝心の賢者についての情報が一切手に入らなかったのは少々厳しいスタートです。
こんな時シロ様がいれば賢者の記憶から発見できるのでしょうけど、フレイヤちゃんの手前そんな弱気な事も言ってられませんし……。
しばしの沈黙。するとクアさんが独り言のように呟き始めました。
「ん~、あの王様名に隠してる気はするんだけどなぁ~」
「お得意の『勘』ですか?」
「そうだけどさ~」
ベッドの上でコロコロと転がるクアさん。
「……どうする? ……このままじゃぜったい見つからないよ?」
「ふむぅ。何かこの国に無いですかねぇ」
「何かって例えば~?」
「王家の歴史とか。ほら、シロ様に代わって勇者を名乗ってたのが現王族であるアールグランド家の次男、ノイン・エルド・アールグランドなんですよ」
「へぇ~、初知りだぁ~。この国そんな歴史長かったんだねぇ」
「……なんでうそ、ついてたんだろうね?」
「その辺に何かヒントがあると踏んでるんですよねぇ。やっぱり不自然ですもん。そんな国に賢者の反応があるなんて」
「でもあのテラ・なんとか・なんとかって王様は賢者じゃないんでしょ~?」
「テラ・エルド・アールグランドですよ……。クアさんこそ不敬罪で打ち首ですって。んー確信はないですけど葉分違いますね。彼は賢者というよりはシロ様に近いです」
勇者の気質って言うんですかね。民を守るために生まれて来たような生粋の王みたいな。
シロ様はその対象が世界、もしくは私のご先祖なんでしょうけど。
「あ、そういえばお茶しにきてって言ってた……」
「あーですねぇ。そこで探り入れてみますかね。皆さんも一緒に行きます?」
「ん~、あたしはあの堅苦しい雰囲気はパス~。街で色々探ってみる」
「了解です。フレイヤちゃんはどうする?」
「……クアお姉さんについてく」
えっ。
フレイヤちゃんが……? 私を避けてる……?
「ちょっ、セトラぁ~? 何で無表情のまま泣きだしたの~?」
「だって、ふ、フレイヤちゃんが……私と一緒に行きたくないって……!」
「……ちがうの。街で見てみたいものがあるから。セトラお姉ちゃんは嫌いじゃないよ?」
「うっ、うっ……!」
「ダメだ、絶対聞いてないなぁ~これ」
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「さて、話をまとめますね」
「こんなロリコン巫女に世界を託してるとかあたし不安なってきたかも~……」
「いや、クアさんに言われたくないんで。それで、私は人類王に接近。ハニトラやらなんやらで情報を引き出します」
「……はにとら?」
「ふふ、フレイヤちゃんはまだ知らなくていいです♡ あ、知りたいなら教えてあげましょうか?」
「おいこら待て巫女ぉ~」
あら、意外と知ってるんですねクアさん。おませですねぇー。
……私の方が多分年下なんですけど。
「もう、冗談ですって、クアさん。それでクアさんたちは街にて探索。毎晩八時にはこの宿に戻ってきて情報共有。これでいいですか?」
「冗談なら異議なしかなぁ~」
「……ん。だいじょうぶ」
「じゃー今日はもう休みましょうか。それともガールズトーク、しちゃいます?」
「おやすみ~」「……わたし子供だからもう寝るじかん」
つ、つれないですね。何故でしょうか。つい先日の似た様なシチュエーションでは二人ともノリノリだったはず……なんですけど。
すると、間髪入れずクアさんが容赦なくランプの灯を消しにかかりました。
「ちょ、まだ話したりな――」
「お、や、す、み~!!」
確実に負の感情を伴っている迫真の笑み。
こ、こんなクアさん見たことないです……。
フレイヤちゃんはもう寝息たててるし……。
「はい……。おやすみなさい……です」
どうしてこうなったんでしょう……。
一人涙で枕を濡らし、眠りにつく。
悲しい!
シロ様ミラ様、我がパーティは早くも崩壊しています。早く帰ってきてぇ……!!
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……ぜんぶ、セトラお姉ちゃんが悪いとおもう。……あれのせいで朝に弱いんだ、きっと。
夜のセトラは一種の危険指定魔獣だからねぇ~。もうあんなのはこりごりだ~。
クアが突っ込みに回らざるを得ないこのパーティはおかしいと思う。
あ、ちょっとした報告ですけどPV10000 UV3000を超えました!!
いや、月曜くらいには行ってたんでちょっと遅くなってしまいましたけど本当にありがとうございます!! 見たときおおっ!ってなりました!
前回評価を着けてくださった方もいていっつも書いてて繰り返しになっちゃいますけど感謝の限りです!
もう半年以上続けてますけど完結まで何とか頑張っていこうと思います。
いつも支えてくださる皆さま、改めて本当にありがとうございます!
という事で引き続き、いつものコーナー。
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