とある古ぼけた手記より
謎導入編。
全く悲しい世だ!
――いよいよ予言にあった「終わり」が始まった。
天使達は力を蓄えながらも駒を進め、人類魔族連合軍は来たるべき進攻に向けて戦力を各地からかき集めている。
天使の現界と同時に魂の概念は世界から消えた。大図書館の死神のあの子が言うには、もう死んだら生まれ変わる事も出来なくなったらしい。
……死にたくない。自分が消えてしまう感覚を想像するだけで明日生きるのが苦痛だ。
だけど長く見積もってもあと五、六年で決着はついてしまうだろう。このまま消耗戦を続けたら天使側が勝つのは明らかだから。
僕が出来ることは何だろう。
僕に出来る事はあるのだろうか。
死にたくないから自分を殺した。
あの子は悲しんでいたけれど、あのまま魔界に閉じこもって隠れていても必ず天使に見つかり殺される。
その時はきっとあの子だって無事じゃ済まないだろう。
僕のせいであの子が苦しむのは嫌だから。
希望が無い訳じゃない。
今は封印されているだろう勇者さえ復活してくれれば。
後はこの闇の力で。
逃げてやる。
いつか来る僕の命が尽きる日まで。
天使に打ち勝ち平和を手に入れる日まで。
あいつらを引っ掻き回すように足掻いて足掻いて足掻いてやる。
やり残したことは沢山あるけど、全部終わってそのとき生き残ってたらやればいい。
あの子がまた笑える世界を。またあの笑顔を見る為に。
…………戦おう。一人で。
四章の開始です。
この章は結構重めの話になりそう。
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