表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

朧京森(ろうきょうしん)

幽霊船

作者: とおか

初めまして!とおかです。

主人公が一切名乗らないので注意してください!

幽霊船(ゆうせいせん)


◇◇◇


 春夏秋冬、昼夜(ちゅうや)()わず、ずっと(きり)の出ている《霧の海》には座礁(ざしょう)した船がある。


 正確には乗り上げる暗礁(あんしょう)など無く、偶然(ぐうぜん)そこに()まっているのだが(くわ)しい話は別の機会(きかい)に話すことにする。


 その船―幽霊船と呼ばれる―にただ一人で()む人形、ソクロヴィスチェは長きに渡り封印(ふういん)されていたそうだ。そのせいで少し狂人(きょうじん)がかっていると言う話もある。


 そんな幽霊船の(まわ)りで奇怪(きかい)な噂が立っていると言う。


 風の(うわさ)(妖精(ようせい)精霊(せいれい)の話)によると、今、霧の森では、妖精同士(どうし)衝突事故(しょうとつじこ)相次(あいつ)いでいるらしい。


間抜(まぬ)けな妖精のことだから余所見(よそみ)でもしていたんだろうが、霧のなかでも地形を把握(はあく)できる妖精がそう度々(たびたび)ぶつかるのもおかしい。


 私の第一の予想は、この近くに棲む霧を(あやつ)る妖怪が、霧に方向(ほうこう)感覚(かんかく)を狂わせるような効果を混ぜた、ということ。

もうそれしか考えられない。うん、きっとそうだ。



 しかし実際(じっさい)に聞いてみるとそんなことはしてないと言う。


おまけに「そう言う効果を付けてみるのもおもしろそうね」と言われた。


もし霧の森で行方(ゆくえ)不明者ふめいしゃが続出したとすれば、それは私の所為(せい)だ。ああ、頭が(いた)い。


 こうなったら実際に幽霊船に調査(ちょうさ)しに行くしかない!


◇◇◇


 霧の向こうに幽霊船が(かす)んで見えている。


いつも霧に(おお)われているから、道具が妖怪となった九十九髪(つくもがみ)湿気(しっけ)やカビを嫌い、ここ一帯には近寄らないらしい。



 霧のせいで()し暑いなか、耳に入る鳥のさえずりに、ふと違和感(いわかん)を覚えた。


鳥の鳴き声ってこんなんだったか?


それは、よく聞いてみるとぶつかる音と妖精達の悲鳴だ。


 なるほど噂は本当らしい。歩いていると何度かぶつかっている妖精を目撃した。


 しかしこれだけ妖精同士でぶつかりながら、私には一回もぶつからないのはなんとも不思議(ふしぎ)だ。



 幽霊船に入ると、霧とそこにいる幽霊たちとの相乗(そうじょう)作用さようで少し肌寒い位だった。


 しかし―、呼び名の雰囲気(ふんいき)から荒廃(こうはい)しているものだと思っていたが、意外(いがい)と、あまり荒廃していない。

マストもまだ使えるだろうというくらい、しっかりしている。


(もう少し(やぶ)けてたほうが幽霊船っぽいのにな…。気味が悪いのは、どこかから視線を感じることぐらいか。)


 たたまれた()を見ていると、不意(ふい)になにかの音楽が聞こえてきた。

高めの、(はず)むような音。


耳を()ますと、どうやら音は船の中から出ているようだ。


 船内へ続く(とびら)を開き階段を降りる。音はちょうどこの階から聞こえるようだ。



 音が出ている部屋にたどり着き、入ってみたが、人形と音の正体であろう木琴(もっきん)が落ちているだけだった。


 九十九髪は道具の姿に戻ることができたりするが、これらの物からは妖気(ようき)霊気(れいき)魔力(まりょく)と言った(たぐ)いのものが感じられない。


私が知る限り、道具に戻った九十九髪にも、そうったものが残っているはずだ。



―どんどんどんどんどんどん!


 人形を見ていると扉が(はげ)しく叩かれた。腰の短剣を抜き、扉を開ける。

が、そこには何もなく、人形が落ちているだけだった。


 振り返りざま、(にぎ)っていた短剣を振り下ろした。


手応(てごた)えがあった。


 真っ二つに切れた人形が落ちて行くのを一瞥して、私は部屋を出た。

もちろん、扉を(たた)いていた人形も、動けないようにしてある。


 私はかくれんぼは嫌いじゃない。見つけてやろうじゃないか。


◇◇◇


 しかし意外とすぐ見つかった。


 人形を操っていた犯人は、船体の一番下、木箱が部屋の(はし)(いく)つか積んであるまあまあ広めの部屋で隠れていた。


 いろいろなもの、人形や玩具(おもちゃ)が散らかっているところをみると、普段(ふだん)からここの部屋に住んでいるのだろう。


「なんで(こわ)がらないのさ」


 人形を操り怖がらせようとしていたらしい、金髪の(アヤカシ)、ソクロヴィスチェは不満そうに(ほお)(ふく)らませて言う。


 怖がれ、と言われても…。

いや、普通は怖いのか?


 とりあえず無視して、このあたりで起こっている妖精の衝突事故の話について、心当たりはないか聞いてみた。


 ソクロヴィスチェはやけに(うれ)しそうに聞いていた。

 そして話が終るとニヤリと笑って答えた。


「私の所為(せい)だよ」


◇◇◇


 天井(てんじょう)の板の隙間(すきま)から差し込む光は幽霊船の廊下(ろうか)(かす)かに照らしていた。


 ソクロヴィスチェは自分が妖精の事故の原因と答えた。

 私の求めていた答えだ。


 しかし、一体何故(なぜ)どのようにして、妖精同士をぶつけているのだろうか。それについて聞いてみると、


「どうやってると思うー?」


と、逆にソクロヴィスチェが()き返してきた。


 人形を操っていたように妖精同士をぶつけたのか?


「それだと妖精達は気付いちゃうよねー?」


 両手でバランスをとりながら、木箱の間に渡された棒を渡って遊んでいたソクロヴィスチェは、楽しそうに口をはさんできた。


 ああ、確かにそうだ。妖精は敏感(びんかん)だ。

妖精の話の中で、そういった話は聞かなかった。


降参(こうさん)だ。どうやってやったんだ?」


 私がそう訊くと、ソクロヴィスチェは待ってましたとばかりに一言。


「ただの偶然だよ。私はねぇー、偶然を操るの!」


 よく分からずにいる私を他所(よそ)に、ソクロヴィスチェは落ちている数十個のサイコロをすべて拾い集めた。

 そしてソクロヴィスチェは両手で宙にばら()いた。


 床に散らばったサイコロはの目は全て…。


◇◇◇


 ソクロヴィスチェの能力は本人にも何が起こるのかわからないらしい。だから自分が(まね)いたなんらかの《偶然》を繰り返し起こしていたとか。


 私のおかげで今回の偶然を知ることができたと言っていたが、外に出ればすぐに気づけただろうに…。


 何故(なぜ)外に出ないのだろうか。


 何か外に出ることのできない理由でもあるのか…?



幽霊船 おわり?

今回はシリーズのプロローグ的な?何かなので謎な内容になりました。

次からはもう少しわかりやすくなってると思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ