戦争開始! オリュンポスの焦りとシャドウ・レイの罠
~ファイア・レイの庭~
「さあ、遊びはここまでにしよう」
戦いの始まりを四天王、白虎が伝えた。
「ブラッド・コンティマルクス」白虎はすぐに必殺技を繰り出す。
白虎は、ヘスティアの前から消えた。そのあとすぐ、目の前に現れていた。
その右に持った大きな刀で、ヘスティアを切った。ヘスティアは、音をたてて飛んでいった。
あとには、カラカラカラ、という岩の音のみが響く。
「あっけないな」白虎が呟いたその時、岩の辺りの煙からヘスティアが現れた。
ヘスティアがその手に持っていたのは、刀2本、剣5本、銃、ハンマー、ブラセス一本ずつ。剣と刀は、少しずつ形や大きさが違う。
そして手は、10本になっていた。
「ヘスティア・アシュラモード!」
高速移動し、一本の剣で切る。白虎は避けたが、腕をかすった。
きれたところから血が出る。
だが、白虎も反撃を始めた。避けたところから刀を振り下ろす。
ヘスティアにはあたらなかったが、100メートル程先の岩が砕けた。
「あれに当たったら死ぬ」と考えたヘスティアは、ヒット&アウェーに戦法を切り替えた。
そしてしばらく緊迫の近接戦が続く。
~塔の最上階~
一方、塔の上に登った第一陣と第二陣は、塔内の魔物をつぎつぎと倒し、塔の最上階まであと一歩というところにいた。そこには、3本の道。
「どうする? 」アフロディテが訪ねる。
「この道のどこかにドンがいるのは確かだ。しかし、我々アキセスは一人でドンに立ち向かえん」エピメテウスが言う。
「今ここにいるのは300と6人。300は各道に100ずつ配置するとして、6人はどうする?」とイアペトス。
こんなことを議論し、30分間。第三陣、アレス、アテナ、クロノス、ヘラがやって来た。そしてアフロディテ、イアペトス、ウラノス、レイアが直進、エピメテウス、パンドラ、アレス、アテナが左、クロノス、ヘラ、プロメテウスが右と、参謀役アテナが決めた。
「皆、気を付けろよ」と言ってアフロディテは道を進んでいった。そしてみんなが散っていく。
~ファイア・レイの庭~
そろそろ決着をつけよう。ヘスティアは思った。アシュラモードは一度だけ必殺技が出せるが、それは諸刃の剣。反動でもとに戻ってしまうのだ。
そんなことを考えていると、白虎の剣がすぐ近くに。
なんとか避けたが、1本の腕が傷を負う。そこでヘスティアは1本の腕を守りに使い、他の腕で必殺技を繰り出すことにした。この技ははじめの5秒くらい隙ができるのだ。
ヘスティアは白虎をブラセスで吹き飛ばした。この隙に、神経を9本の手に集中させる。集中させていると、腕に変化が起きる。問題の5秒も突破。残りの1本も変化し始め、10本の手がさらに10本に分かれた。結果的に腕は100本になった。
「アシュラ2乗モード」
攻撃を仕掛ける。この姿でいられるのは2分だけ。
白虎は1つの攻撃は難なく避けたが、次から次へと剣が飛んでくる。避けきれず、1つが当たる。怯むと、また1つ、また1つと受けていく。こうなったらヘスティアは止められない。
2分後、ヘスティアの前には変わり果てた白虎がいた。ヘスティアは、ゼウスに危険が迫っていると聞いた先程のはなしを思い出し、ハブルトヘ急いだ。
~サハルム・宮殿ハブルト~
ゼウスとポセイドンが、向かい合って座っていた。他の人はいない。
「ファイア・レイには多分第一部隊がいるだけ、ボスはいないでしょう」ゼウスが告げる。
「じゃあどこに行ったのだ?」ポセイドンは問う。
「来るといった方が良い。こちらに向かっている。我らも最強部隊を編成し立ち向かうぞ」
「もちろんですとも。早速リストアップを」
「そんな暇はない、今俺が言うからメモしてくれ」
ゼウスの読み上げる低い声。ポセイドンのメモがこれだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ヘルメス
ヘパイストス
アポロ
アルテミス
アトラス
ベルセポネ
大巨人ギガンテス一族
バーシクル第一部隊
ポセイドン
ゼウス
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「早速呼んで参ります」
「頼んだ」ポセイドンは去っていった。
「みんな頼むぞ」ゼウスが呟いた。明らかに焦りと迷いが入った、らしくない声だった。
~塔の屋上・アフロディテ、イアペトス、ウラノス、レイア直進側~
そこにいたのは、第一部隊副隊長、玄武だった。
「お前が玄武か」アフロディテは尋ねる。
「そうだよ」と答える。
「ドンは他にいるのか」
「いいや、ここにはいない。ハブルトヘ向かっている」玄武が言う。
「まずはお前を倒す。そしてハブルトヘ俺らもいく。いくぞ玄武!」
~塔の屋上・クロノス、ヘラ、プロメテウス右側~
そこにいたのは、第一部隊、青龍だった。
「青龍だな」クロノスが尋ねる。
「そうだ。お前らはここで消させていただく」
「ドンは他の道か」
「ここにはいないぞ。ハブルトヘ向かっているからな」青龍が言う。
「まずはお前を倒す。そしてハブルトヘ俺らもいく。いくぞ青龍!」
~塔の屋上・エピメテウス、パンドラ、アレス、アテナ左側~
そこにいたのは、第一部隊隊長、朱雀だった。
「朱雀か」アテナが尋ねる。
「うん、そうだよ」朱雀がにこやかに答える。
「ドンはどこにいる?」
「いないよ。だってハブルトヘ向かってるから」朱雀が言う。
「まずはお前を倒す。そしてハブルトヘ俺らもいく。いくぞ朱雀!」
~サハルム郊外~
「ハブルトまで後どれくらいだ」シャドウ・レイのリーダー、麒麟が尋ねた。
「後数分かと」部下、第三部隊の鳳凰が答えた。
「アキセスが滅びるまでもう少しだな」
サハルムに不敵な笑い声が響いた。
~サハルム・宮殿ハブルト~
「出撃準備、完了しました」
ポセイドンが戻ってきた。
「もともと天界はひとつだった」ゼウスがつぶやく。
「100年ほど前まではですね」ポセイドンが答えた。
「第八代ゼウス、第四代アキセスの時だった。当時十二神の名を授かっていた初代麒麟は、ゼウスとの仲間割れでその称号を持ったまま今のシャドウ・レイに逃げ込んだ。ゼウスは、その後の後任の十二神に違う神の名をつけた。それがヘスティア」
「麒麟は何の称号を持っていたのですか?」とポセイドン。
「当時ゼウス・ポセイドンと並び最強と言われた冥界神、ハデスだ」
「あのハデスか!」
「あの?」
「有名な神話があるんです」ポセイドンがそれを話そうとした時、ハブルトに大きな音が響いた。
次にアトラスが入ってきてこう告げた。
「シャドウ・レイ側の爆破です」
ゼウスたち3人が戦場へ着いたとき、そこはもういつもの平和なサハルムではなかった。
「この人数で足りる?」ヘルメスが言う。
「まずはひとつひとつ片付けよう。俺は麒麟、ポセイドンは鳳凰とやりあう。後は頼む。いくぞ!」




