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番外
大きな窓から降る月明かりだけが照らす、とある一室。
時刻はもうすぐ丑三つ時、草木も風も寝静まり、聞こえるのは怪しく鳴く野鳥の鳴き声と、2人の女性の会話だけ。
「代太くんかー……」
「彼はお気に召しましたか?」
赤みがかった金髪の前髪をくるくる指でまきながら言う女性に、もう一人の両目に包帯を巻いた女性が言う。
「気に入ったというか、気になるというか……」
「おや?恋ですか?
いけませんね~生徒に手を出すのはダメ。ゼッタイ。ですよ」
「は――っ、なわけないでしょうが。
私が気になるのは彼から微かに人以外の『におい』がするってこと」
「っ……!」
『におい』
その一言を発した途端、もう一人の女性は顔の半分を包帯に巻かれている上でもわかるくらいの動揺の表情になった。
「ということは……」
「私達と一緒かもね」