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なろうラジオ大賞7の応募作品

たぶん舞踏会

作者: 霧澄藍

 教室の窓から西日が差して、持っていたスマホ画面に反射した。まぶしい上に画面が見づらい。流し見ていた動画を諦めて顔を上げる。カーテンが遠い。動くのは面倒だ。

「ねえー」

 後ろの席に座る友人に声をかける。

「なに?」

「なんか面白い話ないー?」

 友人がスマホ画面から顔を上げた。ニヤッと笑って言う。

「あるよ」

「マジ!?聞かせて」

 友人の机に手をついて身を乗り出した。友人はコホンと一つ咳払いをして、落語家みたいに手をそろえた。

「昨日、我が家に招待状が届いたんだけど」「ほんと?」

「うん。ほら、これがその写真」

 友人がスマホ画面を操作して私に見せる。黒地に金の縁取りがしてあるその封筒は、確かに招待状っぽい。アニメとかで見るやつ。手が込んでるな、と思った。

「手作り?」

「え?どういうこと?」

 友人は何を言ってるのかという顔を向けてくる。どうやら本当に招待状が届いた設定で進めるみたいだ。それ以上追求するのは野暮なのでやめておいた。

「ううん。なんでもない」

「そっか。じゃあ続けるよ。この招待状の中身がね、すっごい不思議なの」

「と言うと?」

「説明が抽象的すぎて、一見何に招待されてるのかがわからない」

 それは招待状としての役割を果たしていないと思う。抽象的な要素はそのパーティーか何かに行ってからでいいのだ。どっちかと言うと事務連絡の招待状に入っていい要素ではない。

「でね、その内容を話すから、何の招待状か当ててみて」

 まさかクイズだったとは。こういうことでも、クイズとなると正解したくなる。聞き逃さないようにより一層頭の回転速度を速くする。…速くなってるのか分かんないけど。

「まず、持ち物。『表面を美しく隠せるものを持ってきてください』」

 こういうときの私をなめないでほしい。招待状と聞いたときから発想として舞踏会はあった。でもこの令和の世にリアリティを求めるならあり得ないのでは?と思っていたのだ。

 この文脈、持ち物はたぶん「仮面」だ。ならば仮面舞踏会に違いない。

「あと、『怪我をする可能性があるので、対応できる衣服で来てください』」

 怪我?舞踏会で?社交ダンスで転んだら笑い草だろう。

 このとき、私の脳裏にある三文字がよぎった。まさか、「武道会」なはずがない。

「もうちょっとヒント頂戴」

「ごめん。もうタイムアップ」

 そう言った親友がドアのほうをみていたので振り返る。黒い服の人が立っていた。

「正解は、実際に見て確認しよう?」

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