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#バズかいま ~ 知らない間に使い魔がバズってました!? ~  作者: 廿楽 亜久
タヌキ編

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28話 ポンポコダンスを披露しよう(前編)

 瑞希とタヌキの息子は、学校の敷地をパパタヌキを探して、歩き回っていた。


「今日の放課後、歌って踊る約束をしてるんです」

「歌って踊る?」

「そうすると、ごはんを食べれるそうなんです」


 よくわからない。

 先程から、このタヌキと会話をしていても、どこかズレていることがあるから、おそらくこの言葉も、どこかズレているのだろう。


「それで、放課後というものが、一体いつなのか……それがわからず」

「あぁ、放課後って言うのは、学校が終わった時間帯の事だよ。ちょうど、今ぐらい」

「なんと!! では、急がないと! あの人間さんが待ってますから!」


 放課後に、学生と一緒に、歌って踊って、ご飯を食べる。


 考えれば考えるほど、わからない。

 動物にエサを上げるタイプの人が、タヌキたちに餌を上げている。というには、歌って踊るのが引っ掛かる。

 あまり深く考えない方がいいのか、それとも本当に歌って踊る部分が大切なのか。


 瑞希も頭を悩ませながら、タヌキの少し後ろをついていく。


「パパーどこー? パパ―?」


 タヌキが、パパタヌキを声を上げながら探しているが、反応はない。


 正直、あまり大きな声を上げて、注目を集めないでほしいが、かといって、静かに見つけられる保証もない。

 瑞希も、周囲に目をやりながら、携帯を取り出す。


「やはり、パパはキツネに食べられてしまったのです……」

「君、意外に、さっくりパパ殺すよね……というか、そんなに簡単に、タヌキって、キツネに食べられるの……?」


 少し見つからないだけで、すぐにネガティブな発言をするタヌキに、瑞希も頬が引きつってしまう。


 野生のキツネはともかく、妖怪のキツネは、それほど積極的にタヌキを食べようとも、攻撃しようともしないはずだ。

 少し、性格は悪いけど、本能を優先するタイプの妖怪ではない。


「我が家の家訓です。”キツネは短気”」


 自慢気に胸を張るタヌキに、瑞希は、それは家訓ではない気がしたが、何も言わないでおいた。


「あ、その板、人間さんも持ってましたよ!」

「携帯のこと?」

「あ、もしや、またあの動く絵を見せてもらえるのですか?」


 歩く足を止めて、ちょこんと地面に座るタヌキに、瑞希は慌てて、手を横に振った。


「あ、いや、違う違う。ちょっと、連絡を入れようと思って」


 今のところ、悪い妖怪ではないようだが、妖怪は妖怪。

 白亜たちに連絡を入れておこうと、メッセージを打っていた。


 使い魔たちの中でも、携帯を持っている者は、少なく、白亜と黒天だけだ。

 経済的な理由もあるが、他の三人は、どうにも携帯がうまく使いこなせないと、本人たちかも拒否されている。


 そのため、こういった、緊急に連絡をしたい時は、白亜と黒天に連絡するのが一番、手軽で早い。


「さすがに、どっちかは来てくれると思うけど……?」


 しばらく、画面に目をやっていれば、既読がひとつ付き、黒天から『めんどくさい』というスタンプが送られてきた。

 そして、数秒もしない内に、メッセージも返ってきた。


≫タヌキとキツネは、十年来の親友だろ。アホ狐に手伝わせろ


 読んだ直後、履歴の上の方にある、使い慣れた罵倒スタンプを返しておいた。


「……で、白亜、既読つかないなぁ」


 半ば予想はしていた黒天からの返事は置いといて、おそらく来てくれるであろう白亜の方の既読がつかない。

 忙しいのだろうか。


「あ、パパの匂いがします!」


 耳を立てて、あちらだと走り出すタヌキを、瑞希も追いかけるように走り出した。



 その頃、白亜は、めんどくさそうに、物陰に隠れながらも、学生が歩いている場所の近くを歩くタヌキを目で追っていた。


 今、タヌキを切れば、学生に目撃される。

 鎹杜神社の近所ならまだしも、こんな場所で、しかも学生に見つかれば、どれだけ禁止だと口にしても、写真を撮るし、ネットにアップする。

 結果的に、面倒事が大きくなるのは、目に見えている。


「はぁ……」


 人語を話すタヌキが見つかっても、相当注目されるだろうが、今のところ、そういった様子はない。


 いつでもタヌキを切れるように、間合いは測りながらも、追いかけていれば、ふと震えた携帯。


「ゲェ……瑞希やん。どっかで見られたか?」


 携帯の画面には、瑞希からのメッセージが入っているという通知。


 この学校は、瑞希が通っているため、どこかで白亜の姿を見て、連絡してきたのだろう。

 周囲を見渡しても、瑞希の姿はないが、近くにいる気配がある。


「……さっさと片付けよ」


 既読はつけないように、メッセージは開かず、携帯をしまう。


 誰にも気づかれず、素早く、あのタヌキを片付ける。

 見た目は、ただのタヌキだ。あとで発見されたところで、野生動物として処理されるだろう。


「――――」


 白亜がそっと刀に手を添え、周囲の気配に集中する。


 授業が終わったばかりの学校は、学生の行き来は多いが、波はある。

 それが引いた一瞬。

 その一瞬で、片付ける。


「ひっ――」


 迫る捕食者の気配に、タヌキも身を強張らせ、刀がその身に迫った瞬間だ。


「パパーーッ!!」

「白亜、ストップッッ!!!」


 息子タヌキと、瑞希の声が響いた。

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