表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#バズかいま ~ 知らない間に使い魔がバズってました!? ~  作者: 廿楽 亜久


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/19

18話 Vだと思ってた推しが、現実として目の前にいる件。しかも、友達の使い魔でした(前編)

 瑞希と目森は、吽野の言う通り、崖から離れた場所でふたりのことを待っていた。

 墓地周辺には、吽野が結界を張ってくれているようだから、下手に移動するより安全だ。


「あの、さ……ごめんね。こんなことになると思ってなくて」


 待っている間、ポツリと目森が溢した言葉に、瑞希は少しだけ言葉に迷った後、頷いた。


「本当にね。心霊スポットって言われてる場所は、こういうことあるんだからね」

「う、うん……今度から、気を付けます……!」

「気を付けるっていうか、行っちゃダメだからね!?」


 今回は、吽野がいたから、事なきを得たが、もし、目森だけで来てたらと、想像しては、首を横に振った。


「瑞希は、こういうの慣れてるの?」

「慣れてないよ。うちは、こういう危ない仕事はほとんど受けてないし、するにしても、使い魔だけのことも多いから」


 巫女が同行するにしても、瑞希は成人していないからという理由で、紬希から禁止されている。

 黒天に、強制的に連行されることは別にして、だ。


「でも、まぁ……初めてではないかな。だから、昔から口酸っぱく言われてることはあるよ」


 不思議そうに瑞希を見つめる目森に、瑞希は鼻高々にそれを口にした。


「使い魔の言うことをちゃんと聞く!」

「…………フハッなにそれ、わかりやすー!」

「でしょー」


 ようやく少し安心してきたのか、いつもの調子に戻ってきた目森に安心していれば、ふと聞こえた粘着質な音。


 それは、目森にも聞こえたのか、ふたりは同時に同じ方向を見て、お互いの腕を掴む。

 そこには、先程、吽野たちと共に崖の下に消えたはずの、毛むくじゃらの妖怪が、じっとこちらを見つめていた。


「や、ヤバくない……? 逃げた方が……!」

「大丈夫。ここ、吽野が結界張ってくれてるから。下手に動く方が危ない」

「そ、そうなの……?」


 言われてみれば、あの妖怪も、墓地の向こう側から、こちらに近づいてくる様子はない。

 瑞希の言う通り、近づけないのかもしれない。


「吽野も動くなって言ってたでしょ」


 瑞希の言葉に、目森が何度も頷くと、瑞希もゆっくりと妖怪の方に向き直る。


 何かできるわけではないが、恨めしそうに呻いている妖怪から目を逸らしている方が、恐ろしい。

 だが、そんな瑞希の態度が気にいらなかったのか、興奮したように両腕を上げ、大きく口を開き、先程以上の嘶きを上げ始める妖怪に、瑞希も目森も小さく肩を震わせる。


「ぅ、うるさいっ! うるさいっっ!! 声のデカさなら、アタシだって負けてないわ!!」


 瑞希の手を掴みながら、妖怪と同じくらいの大声で張り合う目森に、瑞希が動揺していれば、また妖怪がその長い毛を大きく震えさせる。

 その様子に、瑞希が前のめりになっている目森の肩を掴んだ瞬間だ。


 その妖怪の体が、吹き飛び、地面に転がった。


「いくら山やからて、にぎやか過ぎるわ。アホ」


 ゴロゴロと転がっていく妖怪に目をやる瑞希と目森は、不思議そうな顔で、先程まで妖怪がいた場所に視線を戻す。

 そこには、呆れた様子で、ゆっくりと妖怪を蹴り飛ばした足を下している白亜の姿。


「ぇ?」

「あ゛」

「『あ゛』やないわ! この状況で、文句言うたら、張っ倒すからな」

「あ、ハイ」


 吽野の結界があるとはいえ、吽野と逸れ、妖怪に襲われている状況で、助けに来てくれた白亜に、文句が言えるはずがない。


 苛立った様子の白亜から顔を逸らす瑞希に、白亜も露骨にため息をつくと、妖怪の方へ視線を戻した。

 四つん這いになりながら、敵意剥き出しと言った様子で、白亜たちを睨んでいた。


「おやまぁ……ややこがかわいらしなぁ」


 白亜が一歩近づけば、妖怪は腰を低く落とし、睨み上げる。


「大方、瑞希の匂いに釣られたんやろ。大きな目されはっとるのに、えろう鼻がええんやね」


 微笑みこそ携えたまま、その切れ長の目は、静かにその妖怪を見下していた。


「瑞希ィーそのお友達の目、塞いどいたり。JKには刺激が強いさかい、セルフレイティングや」


 刀を取り出した白亜に、瑞希はすぐに呆けている目森の目を塞ぐ。


 直後、妖怪の首は飛んだ。



「――正直、予想はしてた」


 戻ってきた真桐が、瑞希と共にいた白亜を見て、ついそう言葉を溢してしまった。

 後ろで、青い炎となって燃えているのは、先程の妖怪だろう。


 自分たちを襲った後に、先に戻ってきては、瑞希たちを襲おうとしたところ、白亜が止めた。そんなところだろうか。


「えーっと、それで、陽は?」


 妙に静かな目森に目をやれば、顔を覆ったまま、ピクリともしていない。


「それが、さっきからこんな様子で……」

「あらま……ボクの時は、もっといい反応してたのに。白亜より、ボクの方がよかった?」

「そ゛、じゃな゛、て……!!」

「あ、反応した」


 吽野の言葉に、絞り出した言葉を上げながら、顔を上げる目森だが、白亜と目が合うと、すぐに目を口を閉じては、また両手で顔を覆った。


「~~~~~~っ!!!!」


 もはや、声になっていない声を上げながら、すぐに瑞希の方へ顔を向けては、顔を背け、真桐の元に駆け寄ると、その腕を掴む。


「え、私?」


 驚く真桐に頷くと、目森は少し離れたところに、真桐の腕を引いて連れて行くと、三人に向かって、手で『T』を作ると、三人に背を向けるのだった。


 そんな様子を楽し気に見つめる吽野と、めんどくさそうに耳を垂れさせている白亜。


「限界オタクかいな……」

「だから、白亜来ないでって言ったのに……」

「状況的にしゃぁなかったやろ」

「そうかい? あのレベルの妖怪が破れる結界じゃなかったんだけどなぁ」

「…………」


 ニヤニヤと白亜に目をやる吽野に、白亜は静かに視線を逸らした。


「……そっちも、一体逃がしたやろ」

「白亜が一緒に燃やしたんだから、いいじゃない」

「待って待って。さらっと何言ってるの。もう一体いたの?」


 頭上で静かに交わされる言葉に、瑞希は慌てたように会話に入れば、頭に乗せられる白亜の手。


「もう一体というより、半身や。時々いるやろ、分裂するやつ。それやそれ」


 稀に、自分の体を分けることのできる妖怪がいる。

 単純に増えたり、分身として操るためだったりと、分裂にも種類はあるが、今回は単純に体と魂を分けるタイプだった。


「魂なんて、手垢や髪どころの騒ぎやないからなぁ」


 何でも無さそうに、瑞希の頭を軽く叩く白亜に、呆れるような、安心したような、何とも複雑な表情をする瑞希だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ