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#バズかいま ~ 知らない間に使い魔がバズってました!? ~  作者: 廿楽 亜久


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12/25

12話 肝試し配信って人気だよね(前編)


「やだ」


 差し出されたスマホの画面を理解した直後、ほぼ無意識に溢れ出した言葉に、目森は不満そうな声をあげた。


「えー……行こーよー楽しいよー? 田舎の数少ない長所じゃん!」

「いやいやいや。楽しくないし、もっといいところあるよ」


 不満そうに頬を膨らませている目森に、瑞希も表情を引きつらせる。


 昨日、白亜たちと話したばかりの場所が、まさか目森から見せられるとは思っていなかった。

 しかも、白亜たちがお冠の、肝試しをしたいという理由で。


「瑞希、怖いの苦手?」

「苦手とかじゃなくて……そういうのって、本当に危ないし、そもそも夜に山に入るの、危ないよ」

「じゃあ、夕方! 日が落ちる前に下りてくるって約束でさ!」


 そういう問題ではないのだが、目森をどう説得したものかと、頭を悩ませていれば、ちょうど教室に入ってきた真桐にも、目森はスマホを見せていた。


「えー……瑞希、こういうの絶対行かないよ?」

「なんで? 巫女さんなら、幽霊とか、ハァッ!! とかで、倒せるんじゃないの?」

「「ムリムリ」」


 よくわからない期待をされていたらしいが、瑞希と真桐が揃って、否定すれば、目森は、不思議そうに目を丸くしていた。

 そんなに意外だっただろうか。


「一応、できる人もいるけど、うちはそんなに力が強い家系でもないし、無理だよ」


 巫女の一部には、目森の期待するような、妖怪と実際に戦える人もいるが、それは極一部の話。

 大抵は、瑞希たちのように、荒事は、使い魔が行っている。


 巫女は、歪みの発見や管理、結界の整備が主な仕事で、妖怪に襲われたところで、何もできない。


「なんだァ……このトンネルさぁ、最近、肝試し配信されてて、近場だって知って、めっちゃテンション上がったのに」


 なるほど。人が増えていたとか、騒いでいる人というのは、配信してた人たちのせいか。


「ほら、これこれ。この場所、そうっしょ?」


 大学生らしき男の人たちが、草の茂る奥の見えないトンネルの中に入っていく映像が映し出される。

 そして、トンネルを抜けた先には、古びた墓地。


「話題なのは、この後で」


 画面に向かって、話している男の人が、ふとどこか画面の外の一点を見つめると、画面が大きく乱れた。

 しばらく、ブレ続ける画面と物音だけが、スマホから流れると、ようやく映ったのは、画面端に写った、後ろを振り返る男の姿。


 そのまま、後ろをじっと見たまま、数歩歩くと、思い出したようにスマホの方へ目をやり、手を伸ばす。

 そして、先程通ったはずのトンネルの方へ向けると、真っ暗な奥をズームしているようだった。


『いない? 大丈夫? 画面明るくしても見えないけど、ちょっとみんな、光度上げて見てくんない?』


≫なんかいたの?

≫まっぶし……

 ≫さては、ディスプレイの明るさ上げたな?

  ≫それ以外の方法が……?

≫普通に墓参りしてた人じゃん?

 ≫むしろ、何かを埋めに来てたのでは?

  ≫通報しました

≫なになに? 説明してくれよ


『なんか、墓の奥に、なんかいて……クマかな? 追って来てない?』


≫ガチ案件!?

≫これは戻って確認すべきでは!?

≫大丈夫! 俺たちが一緒にいるぞ! 何かあったら通報はする!

≫GPS情報だけははっきりさせておいてくれ


 画面には、男を揶揄するようなコメントが大量に流れてくる。

 だが、数秒すれば、男の要求通り、画面を明るくして見てくれた人からコメントが流れてくる。


≫いないっぽくね?

≫こっちもなんも見えん……画像、Ywitterにアップしたから、確認してくれ

 ≫乙

≫目がァァ……! 目がァァ……!!

 ≫絶対やると思った

 ≫だから、ディスプレイの明るさじゃなくてだな……


『さっすが、シゴデキリスナー!』


 男は嬉しそうに声をあげながらも、その視線は警戒するように、何度もトンネルの方へやっており、声も最初よりも控えているようだった。


≫誰だ。ターボババアのクソコラ作ったやつ

 ≫(*´∀`*)ノ

  ≫俺も♡

≫真面目に確認してるのが、クソコラに流されていく……

≫AIに聞いたら、”人がいる”だって!

 ≫すまねぇ……この点が、人、なのか……?

  ≫お? 本格的な肝試しになってきたか?

 ≫クソコラが多すぎて、どの投稿かわからんて


 リスナーが上げてくれたという画像についても、もうひとつのスマホで確認しているらしい男も、そのコラ画像ばかりの投稿に、少しばかり困ったような表情をしていた。

 だが、気を取り直した様子で、もう一度トンネルの方を振り返ると、すぐにカメラの方へ向き直る。


『人っぽくはなかったから、クマかなぁ……クマにしては、細かった気もするけど……』


≫こうなったら、確認するまで帰れないな

≫怖くて寝れなくなっちゃうからな!

≫頼むぞ! 我らが切り込み隊長!


『いや、ムリムリ。クマなら、絶対戻らないから』


 戻って確認しろ。なんて無責任なコメントを否定しながらも、男の配信は、そのまま早々に切り上げられ終わったのだ。


「って感じのがあってね。それから、肝試しに来てる人がいるんだけど、その動画が――」

「めーのーもーりー?」


 その動画を見せようとしていた目森の後ろに現れた教師に、目森は肩を震わせると、慌ててスマホの画面を落とした。


「おっはようございまーすっ!」

「元気だけはよろしい! 授業以外で、スマホを使うなと、何度言えば覚えるんだ!」

「すみませんでしたァー!!」


 全く反省していない目森の返事に、教師は、放課後まで没収だと、目森のスマホを職員室へ持っていくのだった。


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