ダーリンダーリン
「大好き」
ソファに座り雑誌を読む彼の耳元で、囁いた。
「うちはあんたのことめっちゃ好き」
微笑んで告げた。
そうするとちらり、と一瞬だけこちらを見る彼の視線。
すぐにそれは雑誌に戻ってしまうけれど。
「知ってる」
ため息と共に返事が戻る。
私はますます笑みを深くする。
「大好きやよ」
ソファの横から腕を伸ばし、悪戯に彼に抱きつこうとするが。
「やめろ」
ぽすん、と軽く雑誌で頭をはたかれた。
「なんでー」
ソファから立ち上がった彼に恨みがましい視線を送る。
上目遣いに見上げる私に彼はもう一度。
「知ってる」
と応えた。
「だけどオレはそうじゃない」
冷えた眼差し。冷えた口調。
今度は私が
「知ってる」
と返した。笑顔で。
それでも愛する私を許してくれるあなた。
「うちは、大好き。
あんたが過去に何をしてても。
これから何をするとしても。
うちはあんたのこと、大好きよ」
だから傷つかないで、マイダーリン。
世界の全てが君を嫌っても。愛しているわ。