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港町異聞録 ―幼馴染と怪異に振り回される日々―  作者: あったくん
第三章 『繰り返される日々』
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証明

「結城くん!これ、絶対可愛いよ!」


 桜の無邪気な声が、またもやループの始まりを告げた。

 結城はこの光景を、もう何度も繰り返し見てきた。数えきれないほどの反復に、もはや回数を数える気力すら残っていなかった。


 隣に立つ呉羽は、先ほどの出来事を何も覚えていない。

 商店街の喧騒、流れるBGM、通りを行き交う人々――すべてが寸分違わず繰り返されている。

 その完璧すぎる反復が、結城の心に底知れぬ絶望と疲労を積み重ねていった。


 しかし今回は、これまでとは違った。

 結城は確信していた。ループから脱出するには、自分一人ではなく仲間たちの力が必要だ、と。

 胸の奥に燻っていた決意を引き絞り、まだ状況を理解していない桜と神楽に向けて声を張り上げる。


「皆、聞いてくれ!今から俺が言うことを絶対に信じてほしい!

 これは俺が何度も繰り返してきた“未来”の出来事なんだ!」


 唐突な叫びに、桜は目を丸くし、不安げに声を漏らした。

「結城くん、どうしたの……急に……」

 困惑の色が隠せない。


 一方、神楽は表情を大きく崩さず、それでもじっと結城の言葉に耳を傾けていた。

 結城は一呼吸置くと、さらに言葉を重ねる。


「俺が言い終わった直後、神楽が『あれ、このお店……』と呟く。

 その瞬間、向こうの通りから黒い軽自動車がゆっくり入ってくる。

 そして、店から出てきたおばさんが、驚いて声を上げるはずだ。」


 結城の宣言が終わるのと同時に、現実が忠実に追随する。

 神楽が足を止め、視線を前方に向けて呟いた。

 その視線の先には、まさに今、黒い軽自動車が現れた。

 さらにタイミングを合わせるように、店の戸口から現れたおばさんが、慌てて目を見開き叫んだ。


「危ないよ!こんなところで車なんて!」


 偶然とは到底思えない、あまりにも出来すぎた一致。

 呉羽も桜も神楽も、思わず言葉を失う。

 結城の“予言”は、現実と寸分違わなかった。


 呉羽は冷静さを崩さず、ただ論理だけを武器に結城を見据える。

「……結城、君の言うことは事実のようだ。どうやら僕たちも、同じ時間を繰り返しているらしい。」


 そう告げると同時に、呉羽は素早くタブレットを取り出し、凛に呼びかける。

「りんたん!時間位相の歪みが最も強い場所を、いくつか特定してくれ!」


「マスター、了解しましたですぅ!」


 呉羽の指示に従い、結城たちは探索を開始する。

お付き合いいただきありがとうございました!


この怪異譚が少しでも心に残ったなら、ブックマークや評価ボタンをポチッと押していただけると嬉しいです。


皆さんの応援が、主人公たちの物語を動かす原動力になります。


次回もまた、港町でお会いしましょう。

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