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港町異聞録 ―幼馴染と怪異に振り回される日々―  作者: あったくん
第三章 『繰り返される日々』
40/64

ループ

 連日の猛暑は、今日もまた最高気温を更新し、街角の影さえ頼りなく揺らいでいた。そんな中、結城たちは駅前の商店街で、来週末のキャンプに向けた備品を揃えていた。


「結城くん!これ、絶対可愛いよ!」


 桜が満面の笑みで、動物のキャラクターが描かれたシェラカップを手に取る。彼女は、日焼け対策ばっちりのつばの広い麦わら帽子を被り、涼しげなTシャツにショートパンツという軽やかな格好だ。


「桜、そういうのキャンプにいるか?もっと実用的なのでいいだろ。」


 結城は苦笑いしながら言った。少し離れたところで、呉羽がスマホを操作しながら歩いている。彼は、キャンプグッズのレビューサイトをチェックしているようだ。


「ふむ、このランタンはレビュー評価が高いな。だが、防水性能に不安が残る……」


「いらっしゃいませー!いらっしゃいませー!」


 八百屋の威勢のいい声が響き、商店街のスピーカーからは陽気なBGMが流れていた。そんな、いつもと変わらない賑やかな光景の中で、ふと、結城の胸に違和感がよぎった。


(…また、この感覚だ…)


 次の瞬間、BGMが、一瞬ノイズを挟んで途切れた。そして、また同じ曲の冒頭部分が流れ始める。


 結城は、はっと顔を上げた。


「いらっしゃいませー!いらっしゃいませー!」


 八百屋の威勢のいい声が聞こえてくる。


「結城くん!これ、絶対可愛いよ!」


 隣を歩いていた桜が、同じ笑顔で、同じシェラカップを手に取る。その表情も、声のトーンも、先ほどと全く同じだ。


 結城は、全身の血の気が引いていくのを感じた。


「嘘だろ……なんで……?」


 呆然と立ち尽くす結城に、呉羽が怪訝な目を向ける。レビューサイトから顔を上げ、声をかけた。


「どうした、結城?急に立ち止まって。」


 その声に、結城は改めて背筋が凍るような感覚を覚えた。仲間たちには、この異常が理解できていない。戸惑いと不安が胸を締め付ける。

お付き合いいただきありがとうございました!


この怪異譚が少しでも心に残ったなら、ブックマークや評価ボタンをポチッと押していただけると嬉しいです。


皆さんの応援が、主人公たちの物語を動かす原動力になります。


次回もまた、港町でお会いしましょう。

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