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港町異聞録 ―幼馴染と怪異に振り回される日々―  作者: あったくん
第三章 『繰り返される日々』
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歪み

「うっ……」

 神楽は、突然の強い頭痛に顔を歪めた。こめかみを強く押さえながらしゃがみ込むと、彼女の目の前で街の風景が揺らぎ始めた。それは、通りを歩く人々の、ほんの数秒前の行動が、まるで幽霊のように現在の光景に重なって見える「残滓」だった。


(…どうして……こんなに鮮明…?)


 ワタツミ事件以降、彼女の能力【残影観測】は以前よりも敏感になっていた。だが、これほどまでに強烈な「残滓」を感じたのは初めてだ。まるで街全体が過去の記憶を吐き出しているようだった。


 その頃、呉羽の秘密基地では、結城と呉羽が向かい合っていた。呉羽は、神楽から聞いた「旧試験型動力炉研究所」の看板を手がかりに、凛と共に情報収集を続けている。

「りんたん、このキーワードに関連する過去の情報を検索、解析してくれ。特に、隠蔽されたり、閲覧制限がかかっているものがあれば重点的に頼む。」

「了解ですぅ!マスター!任せてくださいですぅ!」

 凛は愛らしいホログラムの姿で敬礼し、瞬く間に膨大なデータを検索し始める。


 しばらくの沈黙の後、呉羽が淡々と口を開いた。

「…見つけたぞ、結城。やはり、政府が徹底的に隠蔽していた事故があった。研究所の事故、というよりは、そこで行われていたエネルギー開発実験の失敗が、予期せぬ形で『時間位相の歪み』を生み出したらしい。」

 モニターには、一部が黒塗りにされた極秘文書の断片が表示されていた。


 結城は、その言葉に思わず聞き返した。

「時間位相の歪みって…なんだ、それ?」


 呉羽は、結城の質問に、手元のモニターをちらりと見て答える。

「資料によると、時間と空間を構成する基礎的な法則が、局所的に不安定になった状態のことのようだ。詳細な情報は黒塗りされていて不明だが、研究所の事故が原因とされているな。」


 結城は、あまりに難解な呉羽の説明に、頭を掻いた。

「なんだか、全然分からないけど……つまり、ヤバいってことか?」


 呉羽は、しばしの沈黙の後、口を開いた。

「ふむ、あくまで推測だが、時間が過去に遡ったり、ループするような事が起こる可能性があるかもしれん。それがヤバいのかどうかは今のところ不明だな。」


 そして、呉羽はワタツミ事件以降に観測していたデータを解析した結果をモニターに映し出した。そこには、街の至る所に不規則な波形を示す点が無数にあった。

「過去にあった研究所の事故との関連は不明だが、観測された波形は、空間になんらかの歪みを生じさせているようだ。さらに、この歪みは街全体に広がっている可能性が高いな。」


 ここで結城が、ふと「気のせいかもしれないけど」と前置きし、以前コンビニで経験した違和感について話し始める。

「……一瞬だけ、街から音が消えて…なんか、同じ光景が繰り返されたような気がしたんだ。あれはなんだったんだろうなって。」


 呉羽は、結城が話したコンビニでの出来事が、解析しているデータ上の観測地点と一致していることに気づき、わずかに目を見開く。

お付き合いいただきありがとうございました!


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皆さんの応援が、主人公たちの物語を動かす原動力になります。


次回もまた、港町でお会いしましょう。

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