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港町異聞録 ―幼馴染と怪異に振り回される日々―  作者: あったくん
第三章 『繰り返される日々』
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交錯

 照りつける日差しが、アスファルトを揺らめかせ、蝉の鳴き声が降り注ぐ。そんな熱気に満ちた夏の午後、五幡と井口は、晴明神社の鳥居をくぐった。アビスとワタツミの事件を調査する彼らは、神楽の父で、晴明神社の宮司を務める蓬莱ほうらい 江良えらと面会する手筈を整えていた。


 江良は、客間に通した二人に穏やかに微笑みかける。


「お久しぶりです、おじさま」


 五幡は、柔らかな表情で江良に挨拶した。彼女の父と江良は兄弟弟子にあたるため、五幡にとって江良は幼い頃から親しんできた存在だった。


「泉か。もうすっかり大人になったね」


 江良はそう言うと、静かに語りかけた。


「泉から連絡をもらった時は驚いたよ。あの事件に関わった人物を紹介できるよう手配しておいたよ。」


 江良の言葉に、五幡と井口は頷きを返した。江良は穏やかに声をかける。


「皆、入っておいで」


 襖の向こうから、結城、呉羽、神楽、そして桜が姿を現した。


 客間に現れた結城たちに、五幡と井口は息をのんだ。彼らが以前に街中で偶然出会った少年少女たちであること、さらに彼らが例の事件の当事者であったことに驚きを隠せない。


「あのとき、道案内をしてくれたのは君でしたね。」


 五幡の言葉に、結城は小さく頷いた。


「私は、内閣情報調査室の特異現象対応室(特対室)の室長、五幡泉です。こちらは部下の井口大輔」


「井口っす。よろしくお願いします!」


 井口は軽快な口調で挨拶する。五幡は話を続けた。


「君たちが、あの事件の解決に貢献したと聞いています。私たちはこの件を行政の立場から調査しています。ただ……これ以上危険な事象に踏み込むのは、避けていただきたいと考えています。」


 五幡の言葉は、事務的な響きとは裏腹に、彼らへの配慮がにじんでいた。


「何か困ったことがあれば、いつでも私たちに相談してください。私たちにできることがあれば、力になります。」


 結城は、五幡の真剣な眼差しから、その言葉が本心であることを感じ取った。


 おもむろに呉羽が五幡たちに問いかける。

「特異現象対応室では、僕たちが観測した異常な電磁波の件も把握されてるんですか?」


 呉羽の好奇心に満ちた視線が、五幡たちの持つ機器に向けられる。五幡は、その問いに淡々と答えた。


「私たちも調査によって同じような現象を観測しています。」


「そうか…!やっぱりそうですよね!」


 呉羽は興奮を隠せない様子で、手に持ったタブレットの画面を五幡に見せた。そこに表示されていた波形は、確かに五幡たちが観測したものと酷似していた。井口は、その一致に驚き、五幡は、結城たちが持つ力の片鱗を垣間見た。


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