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巨石

 結城の「あの石を、破壊するしかない」という言葉に、神楽と呉羽は静かに頷いた。


「どうやって、あの石に近づく?」


 呉羽がタブレットの画面から顔を上げ、広間を見回しながら尋ねた。信者たちの間隔は狭く、迂闊に動けばすぐに気づかれてしまう。


「俺が注意を引きつけ、その隙に神楽が石に近づく」


 結城が即座に作戦を立てる。


「神楽、頼む。君のその力で、あの巨石から何が見えるか教えてくれ。この石の力の正体を突き止めるんだ」


「…ん。わかった。…やってみる」


「僕は、結城と神楽のサポートに回る。遠隔で状況を分析し、最適な指示を出す」


 呉羽は、結城と神楽に視線で合図を送った。


「よし、行くぞ」


 結城は大きく深呼吸をすると、広間に足を踏み入れた。詠唱に集中していた信者たちは、その突然の闖入者に一斉に動きを止め、驚愕の表情で振り返る。しかし、信者たちは詠唱を止めることはなかった。


 信者たちの列を縫うようにして、フードを被った男が結城の前に立った。


「……侵入者か」


 男の口調は冷たく、感情が一切感じられない。


「どけ!」


 結城が叫ぶと、男は手のひらを結城に向けた。指先から澱んだ水気が凝縮し、無数の水の刃となって結城へと襲いかかる。


 結城は、水の刃を打ち消す。その攻撃を受けるうち、男の攻撃方法が宮司から聞いた神社の襲撃犯と一致していることに気づく。(こいつが、多くのものを奪った張本人だ)心の中で怒りが沸き起こる。


「お前が…!」


 結城は怒りに任せて突進する。水の刃を無力化しながら男の懐に飛び込み、渾身の拳を突き出した。男は、水の壁を作り出して防御するが、結城の拳が触れると、壁は瞬く間にただの水に戻った。結城の拳は、そのまま男の頬をかすめた。


 男は、自分の能力が通用しなかったことに驚き、一瞬怯む。


「今だ、神楽!」


 呉羽の言葉に、神楽は広間の中央へと走り出した。信者たちの注意は結城と男の激しい攻防に集中しており、彼女の動きに気づく者はほとんどいない。


 神楽は巨石の前に立つと、両手を石に触れさせた。


 途端に、彼女の視界に強烈な光が走り、過去の膨大な情報が流れ込んできた。石の表面から、強い感情の残滓が奔流のように押し寄せ、神楽はその重圧に顔を歪める。


 神楽の意識は、石に触れた瞬間から、その石が作られた太古の時代へと引き戻される。視覚に飛び込んできたのは、人々の手によって巨石が掘り出され、霊的要所から奪ったエネルギーを増幅させるための機能が埋め込まれる光景だ。その情報が鮮明な映像として神楽の脳裏に焼き付いた。


「これは…」


 神楽は、巨石から両手を離すと、その衝撃的な情報を叫んだ。


「呉羽!石の中に霊的エネルギーを増幅させる機能がある!」


 遠隔で結城を援護していた呉羽は、その言葉に目を見開いた。彼は神楽からの情報を聞き、即座にタブレット画面に映し出された凛のホログラムに視線を向ける。


「りんたん、神楽からの情報を基に解析を再構築する。増幅器の機能部分を破壊するため、波動をぶつけるべき位置を割り出してくれ!」


「かしこまりました、マスター。解析を再構築しますぅ!」

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