表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

徒手格闘、空手の若かりし達人(2)

父の仕事も終わり、喫茶店に迎えに来る、ゆりさんが、父にいつの間にか連絡を入れておいたようだ。

「ゆり義姉さん、すみません、一刀は迷惑かけませんでしたか?あと、例の件のお願いは、どうなりました?」

話しつつ、ウェイトレスの方に目線をずらす。

「秀には、了解とりましたよ、最後まで女の子と勘違いして、口説こうとしてましたし」

「そうそう終始、ニヤニヤしてましたし、俺の嫁にとか言っていたし」

おい、余計なことを言っているぞ、このふたり。

「そういえば、妹にできないかな~とか言ってなかった?」

ゆりさんは、ウェイトレスのお姉さんに、話しかける。

「え~と、それはそれで、そんだけ一刀くんが可愛い訳でって、ゆり!そんなに言うのひどくない?

 稽古つけられるように協力したし、一刀君が男の子か女の子かもおしえてくれなかったし・・・

 あんなに、中性的な顔立ちじゃわからなかったわよ」

困り顔で唇を少し噛みながら、一刀に抱きつく、ウェイトレスのお姉さん。

一刀の顔が、お姉さんの胸に押し付けられる。

「くるしいよ」

やっとの思いで、胸から脱出する。

ゆりさんは、楽しそうに一刀を見ながら、

「そう言えば、ウェイトレスのお姉さんのことは、名前も教えてなかったわね、この子の名前は、美咲って言って、短大の時の親友なのよ、胸のサイズなんか、Eカップもあって。あと、弟の秀くんには・・・まさか短大時代に親友の弟に告白されるとは思ってなかったけど、そんな腐れ縁かな。秀君、まさか、夫の部下になるとは思ってもみなかったなぁ」

なんかすごいこと、言ってないゆりさん。

「そうだよね、秀の奴、ゆりを家に呼んだ時、挨拶に来たと思ったら、一目ぼれです、付き合ってくださいだもんね。でもゆりだって、間髪入れずに、ごめんなさいだもんね」

唇をかんでいた美咲さんは、笑顔になって「、話し出す。

父まで笑い転げている。

秀さんごめんね、酒のつまみになっているよ。

「あしたは、お母さんと、図書館に行くのだろう。もうこんな時間だ。お母さんも心配しているかもしれん。ゆり義姉さんと美咲さん、ありがとうございます」

頭を深々と下げる父を見て、あわてておじぎをする。

挨拶をかわし、車に向かう。

車を置いてある駐車場に向かう際に、今日の出来事を振り返る。

美咲さん、なんか怖そうな雰囲気を持ってたけど、話をしているうちに温かい人だったのが解ってきた。

つり目で、金髪、周囲に人を寄せ付けそうもない美人だったな・・ツンデレみたいだけど。

秀さんは、稽古で会えるけど、美咲さんにも会いたいと思う一刀であった。

車の中で父は

「一刀、今日、ゆり義姉さんと美咲さんの会話は、勇義兄さんには、ぜっっったい、絶対に言うなよ。

血の雨が降るからな」

「お母さんには、言っても平気?今日の事、絶対聞かれるよ?」

少し黙り込む父だが

「稽古は付けて貰えること、教えてくれる人に会ったことだけにしとけ」

「じゃあ、ゆりおねえさんが告白されたこと以外なら、話してもいいんだね」

「そうだな」

うなずく父。

何も考えていないのだろう。

「でも、ゆりお姉さんってなんだ?なんで、ゆり伯母さんって呼ばないんだ?」

「お父さんは乙女心が、まったく解ってないんだね」

「そうなのか?お母さんを愛してることは、伝わっているし、乙女心も解っていると思うのだが」

しかしなんだか、今日は、悪戯したい気分なのだ。

母に報告する事で、父を困らせる悪戯をしてやろう。

もちろん、父と約束した義姉が秀に告白されたことがあることは、言わない。

乙女心を馬鹿にした父に天誅を!




車を走らせること20分、家の明かりが見えてきた、すると、父は、クラクションを鳴らす。

「プップーーー」

なんともかわいらしい音である。

安っぽい音だが、このクラクションの音が一刀は好きだ。

「一刀、そろそろ、カー用品店でクラクション変えていいか?ほかの奴にも、似合わないですよね、鬼の一騎2曹の車のクラクションの音とは‥‥と笑われているんだ」

「そんなこと言ってるけど、お母さんもこの音、かわいいから好きっていってたよ」

「そうなのか・・・そうか」

なんだか、寂しいのか、嬉しいのか、声が濁ったように聞こえる。

田舎で、家が近くに無いからこそ、クラクションを鳴らすことにより、家に着くことを母に教えているのである。



家に着くなり、母の声が聞こえる。

「お帰りなさい、一刀、一騎さんてっ言うか、ア・ナ・タ・・♡」

「ああ・・ただいま」

いま、流したのか?それとも恥ずかしかったのか?あっ顔が赤い・・うれしはずかしかったのか。

「お姉さんには会えた?一刀」

「ゆりお姉さんだったら、会えたし、徒手格闘と空手を教えてくれる人は、ゆりお姉さんの親友の弟だったんだよ。それに、勇おじさんの部下だったんだ」

目をキラキラさせて、話す一刀の話をさえ切り、母が質問をしてくる。

「お姉さんは、一刀に、なんでゆりおねえさんと呼ばせてるの?ゆり伯母さんじゃあ無いんだ」

ちょっと、助けて、お父さん・・目で合図を送る。

ちょっとは、身に染みたか一刀、お父さんはなにもできないと目で訴える。


しょうがない、しょうがないよね、ゆりお姉さん・・・


「あのね、お母さん、ゆりお姉さん・・ゆり伯母さんは、女性なんだよ。いつまでも若くいたいんだよ、伯母さんなんて、僕‥僕言えないよ」

「一刀、女心が解る子に育ったんだね。・・・・女たらしには、なってはいないよね」

慌てて父は何かを言おうとしてるが、考えがまとまらず何も言えない。


「一刀くらいの、いや、一刀の10分の位1くらい乙女心を理解できれば、もっと、女性にモテるのに」

少しのため息が聞こえる。

「女性は、龍美さえいればいいんだよ」

やっとのことで声を掛けることが出来た父。

拍手を送りたい。

しかし、母だけってなんなんだ。

いいたいことは、わかるけどさ、妹が生まれてきたら、どういう風に言うのよ。

もっと気の利いた事を行動しながら言わないと。

壁ドンしながらとか・・・古いか?


母から、耳元で、

「一刀、今日はお母さんと一緒に寝ようね♡ お父さんは、一人で寝て頂戴ね」

少し,とげのある口調で言う。

残念過ぎたね、おとうさん。

ご飯を食べたのち、一人寝室へ行く父。

「さあ、一緒に寝ましょうね、一刀」

久々に、母の胸の中で眠りに就く一刀であった。

母と二人、布団の中に入るなり、一刀に抱きつく母、これはなんか嫌な予感がする。

「一刀、おかあさんに言ってないことがあるでしょう」

鋭い、俺の顔に、出ていたか?そんなそぶりも、したつもりもない。

「おかあさん、なんでそんなこと聞くの」

母は、一刀の体のにおいを、クンクンと嗅ぎながら、ニヤニヤしている。

「なんか、女性のにおいがする、お姉さんのにおいとも違うし、抱き着く位の可愛い女の子でもいた?

お父さんと違って、一刀は、乙女心が解る子だもんね」

抱き着く力が強くなる。

「ちがうよ、ゆりお姉さんの友達に可愛いって言われて・・・・・ちょっと抱きしめられただけだよ」

「ふ~ん、それで?」

「あとは、ゆりお姉さんの友達の美咲さんの弟の秀さんに、あったの」

「それから?」

へ、何か気がついてる?僕は何も言ってないし、父も何も言わず、寝室に入っていった。

白状するしかないか。

「秀さんが、僕のこと、嫁にするとか、美咲さんと秀さんに妹にするとか言われて、大変だった」

「ふ~ん、(怒)一騎さんも勇さんも、お姉さんまで、ちゃんと、説明してなかったの?一刀が男って」

「してなかったから、こんな風になったんだよね?」

一刀は、泣きそうな声で話す。

「今度、3人には、謝ってもらいましょう、明日は早くから、図書館に行きたいのでしょう?

 じゃあ、おやすみなさい」

部屋の電気を消して、寝に入る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ