転生にて生まれたて候 (1)
死ぬこと自体、間違いなんてあるんだと考えながら、目を覚ます。
おぼろげに目が開く・・・
目の前に、クマのような、もしくは鬼を連想させる男が、俺をのぞき込み笑っている。
「目を開けたぞ、龍美、、お前にそっくりの美人さんだぞ!」
「あなた、なにいってるの、男の子なのだから美人じゃなくて、美男子でしょう」
横の方からくすくすと笑いが聴こえる。
ああ、俺は転生とやらをしたのか。
目の前にいるのが、父上で俺を優しく抱いているのが、母上なのであろう。
とりあえず、礼儀作法はしっかりとしなくては、武士の風上にもおけん。
礼儀正しく「父上様、母上様、ご機嫌麗しゅう御座います」
正しく挨拶を試みたが、発音がどうもおかしい。
「あううあううううあうう」きちんと発音ができない。
まあ、生れたばかりでは、しょうがない。
「おい、笑っているぞ!かわいいなぁ」
「あなたに似て正義感に溢れる子に育ってほしいわね。フフフ」
この様な話を聞いているうちに眠りに就いてしまう。
朝起きては、母上から「ママよ」父上からは「パパでちゅよ」の連呼で体を動かそうにも、身動き一つ出来やしない。
母上様は、栗色の髪が腰近くまであるスレンダーではあるが胸もそれなりにある美人で、よくこんなクマと婚姻したものだ。
転生し赤ちゃんになったとはいえ、転生前(78歳)の記憶もある。
「政略結婚か弱みを・・・」
「自分が成人していればこんな、クマみたいなやつに渡さず自分の妻に」
いや、やめておこうというかそれは無理なのだった。
この、クマがいなければ俺は、生まれてきていない。
食事といえば、母乳なのだが、母上様は、「あなた(鬼の形相)一刀がご飯のうちに、お風呂の準備!」
「わかった、わかった」といそいそと走る父上は、うらやましそうに俺をみている。
可愛い我が子ではあるのだが、妻を取られ寂しいのであろう。
「布団と食器洗いはまだ?」
母強しである。
政略結婚も弱みを握られてとかは、なさそうである。
尻にひかれている父上を見ているとこの世界は、女性も方が強いように思えてきた。
あとで知るのだが、俺の名前は、一刀で伊藤一刀斎から名をもらいつけたそうだ。
この伊藤一刀斎とは、戦国時代きっての無頼派剣豪で最強最速の強さを持ち、一刀流の開祖である。
生後9ヶ月になるころ「ママ、パパ」と呼べるようになった。
どうもこの世界は、母上、父上と呼ぶことはないらしい。
転生前の記憶では、ママ、パパと呼ぶことはなかったはずなのに、時代の流れなのか?
また、ハイハイで動きまわり始められるようになった。
実のところ、体を動かしてうごきまわれるのは素晴らしい。
「そこにいっちゃダメ~」と叫ばれたが、洗濯物の中に潜り込み隠れていたのだが、軽く抱きかかえられてしまった。「メッ」と笑顔で怒られる。
時は立ち・・・・
5歳の誕生日に両親に、弟と妹どちらがいい?と聞かれ「妹」と即答する。
両親は終始ニコニコ顔である。
どちらが生まれても、守りたい、カッコイイ兄をめさすためパパ改め父さんに武道をやりたいことを言ってみた。
父さんは、少し苦い顔をしつつ「どのような武道も苦しく辛いけど、それでもいいのか」と聞きかいして
きた。
転生前は、人を殺すための武術を身に付けていたため、苦しいことや辛いことなど、とうにわかっているし武道をやるなら、剣道と柔道に決めていた。
笑いながら「妹もしくは、弟を守れるなら苦しくても平気」と微笑んだ。
その顔を見つめつつ両親も微笑むのであった。
転生したばかりの為、書くことがまとまらず、情けなく思います。
これからの成長を見守ってもらえたらと・・
2500文字を目指しましたが、、半分ちょいでした。
2000文字が平均にできるようにめざします。