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知識の宝庫のち女難の相

図書館の司書が近づいてくる。

「もう、本を見てもいいんだよ、何か探しているの?」

「えーと、伝承や伝説を調べたいんだけど」

「難しい本を見たいんだね。君ぐらいの子だと普通は、漫画の乗ってる本とかを見るんだけど」

「伝承や伝説、それにゆかりのある場所とか、歴史なんかも面白いと思うけど」

「君は、将来、歴史学者にでもなるつもりがあるのかな?将来、大発見する教授になりそうだな」

「将来は、みんなを守れる武士になるんだよ」

「そうか・・・まだ子供だな  フフッ」

そりゃぁそうだ、この時代に、武士などいない、大名だって、幕府だってないのだ。

笑われてもしょうがない。

司書は、仕事場に戻ろうとするのだが、それを、呼び止める。

「今日は、伝説に関する研究資料と文献をみたいです」

一刀は周りの人に聞こえるぐらいの大きな声を出した。

周りの人たちは、何が起きたのかわからない。

司書は、慌てて一刀の前にくると、

「図書館内は、静かにしてね」と諭す。

時間に前に辺りを探索していた母であったが、今の状況を見て、慌てて一刀の方へと戻ってくる。

「すみません、この子がなにかしましたか?」

「お母さんですか?おおきな声は出さないように注意をしてください」

と言い残すと振り向き、一刀に、

「伝承は、B12の棚、伝説に関するものは、C5の棚にあるから、探したいものがあったら聞きに来な」

手をヒラヒラさせ去っていく。

どこに何があるのかを聞かれただけで、教えられるとは・・・・

この、司書との出会いのおかげで、一刀は、多大なる知識を得ることになる。


この日より、稽古帰りには、図書館に寄っては伝承、伝説、過去の戦略から武器の書物を読み漁り、わからないときには、司書に聞く日々が続く。

司書も司書で、教えるのが楽しいらしい。

趣味が似ているのだか・・・特に伝説が。

図書館の帰りのバスの中で、空に綺麗に輝く月を見ながらつぶやく。

「いったいどこにいるの美月姉ちゃん、僕、美月姉ちゃんが神隠しにあった年になったんだよ。体も鍛えているし、勉強もしてる。教えたいこともいっぱいあるんだ」

美月が、神隠しにあってから、5年の年月が経つのだが、1日たりとも、美月のことを忘れられずにいたのだ、わずか数日、時間にすれば数時間しか一緒にいなかった。

運命の出会いとも言えるであろう出会いだったのだ。

10歳にもなると、剣術、徒手格闘などは、自衛隊の新隊員では相手にならず、レンジャー隊員との組手までするように成長を果たしたのだが、一刀のことを知らない隊員からは、相変わらず女の子と勘違いはされたままでいた。

このままなのかな?

4年前に産まれたのは、女の子であった。

科学の力はあまり信用していない一刀だったが、母の言った通りの妹が生まれたときには、驚きが隠せずにいた。

父は、娘に利発になって、恩を大事にとの思いで、りおんと名前を付けたらしいのだが、漢字の利恩は、なんか呪ってそうと母の意見が勝ち、ひらがなになったのである。

一刀にとって、いや、過去の小次郎にとっても初めての兄妹である。

やる気になった一刀はすごかった、りおんを守る為にはと、やる気スイッチがオンのままになってしまったのだ。

そのおかげかは知らないが、学校の成績は常に上位、運動に関しては、教員ではあいてにならないのだから教員の顔は、丸つぶれもいいとこだった。


稽古の最中に父から声を掛けてきた。

「父さんは先に帰るけど、今日は、りおんの誕生日だから、稽古は早く切り上げ、家に帰るように。可愛い妹、りおんがお兄ちゃんの帰りを待っているのだから」

慌てて着替えるために、更衣室に向かうのだが、慌てすぎた一刀は、女子更衣室に間違えてはいってしまった。

「女の子?ここは、自衛隊の武道をする人たちが胴着を着替える所なのよ?子供は入ってきちゃダメなの」

奥の方から女性の声が聞こえる。

「え?え?女の子?どこに?僕これから、着替えなくちゃいけないのに」

慌てる一刀。

「え~男の子?嘘でしょう」

「声だって女の子みたいだし」

「女子更衣室に男の子が入ってくるわけないじゃない」

「でも、男だったら?」

「痴漢てこと?」

「仮にも自衛隊の基地内で、痴漢がいるのであれば、取り押さえなくちゃ、隊員の意地を見せなさい」

ロッカーの奥にある化粧室の中に数人の女性自衛官がいたようだ。

「あのー、ごめんなさい、一刀と言います。男子更衣室と間違えて入ってしまいました」

「え、真名、あんた鍵かけなかったの?」

「最後に入ったの美菜じゃない」

「一刀君、私たちは、ここから出ないから、着替え終わって、出ていく時教えてくれない?」

「わかりました。ごめんなさい」

着替える最中に化粧室から話し声が聞こえる。

「一刀君て、あの噂の子でしょ」

「噂?なにそれ」

「男の子なんだけど、どこから見ても女の子みたいで可愛いって」

「あれって本当の事だったんだ、私つい最近こっちに来たでしょう。今の私のいる部隊長の甥っ子らしいの、部隊内で、未公認ファンクラブまであるらしいって噂があったの」

「なんか、彼がファンクラブに入ったとか言ってたけど」

「着替え終わりました」

声を掛けるのだが、間髪入れずに

「ちょっと待って一刀君、着替えたら、ロッカー室の前で5分待ってて」

「それは~ちょっと、妹の誕生日・・」

「お・ね・が・い」

「本当に少しいればいいですか?」

「少しでいいから」

ロッカー室で、何やら、大きな音が経っている。

「?なんか騒々しいけど」

しばらくすると、女性隊員がロッカー室からでてくる。

「すみません、更衣室間違えて」

頭を下げる一刀を目にした女性隊員は、

「女の子だよね?男の子だったら、神様がまちがえたんだね」

とか

「あ~~~納得、彼がファンクラブに入った意味解るわ~私も入ろ~」

とか

「私の妹になりなさい」

とか言われまくる言われまくる、ってなに?ファンクラブ・・誰の?僕じゃないのは確かだな、だって男だもん妹になりなさい?意味が解らない。

「すみませんが、妹の誕生日なので、今日は帰ります。また、後日きちんと謝りますから、お先に失礼します」

後ろで話声がする

「きちんと謝りますって、もう誤ってもらっているし」

「この基地内の推しはあの子一択だね」

「いくら課金すれば、デートいけるの?」

全く意味が解らない一刀は、妹の待つ家に帰宅した。

自衛隊に女性の自衛官がいることに驚かれた人もいるのではないでしょうか?

普通に、隊員として、男の人と訓練をしています。

事務職が多い訳でもありません。

ちなみに、女性自衛官の言い方なのですが、陸上自衛隊の場合、WACワック,海上自衛隊の場合WAVEウェーブ,航空自衛隊の場合は、WAFワッフと言います。

国の防衛、災害救助、危険の多い仕事ですが、頑張ってください。


                                 A,.K.I


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