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朝の幸せ

〔ジリリリリリリ〕

朝、目覚まし時計の音が鳴っている。

ベルを止めようと手を動かそうにも、動かない。

何故に動かない?

体を動かそうにも、母に抱きつかれたままの状態に気が付く。

「お母~さ~ん、起きてよ」

「う~~んん・・・むにゃむにゃ、この抱き心地、・・むにゃむにゃ・・・」

「お母さんってば」

「あと5分」

「あと5分なんかで起きれるの?いつも、そんなこと言ってるけど、なかなか起きてこないのに」

「一刀が悪いの、こんなにお母さんは起きたいのに、抱き心地が・・・・いいから」

昨日の夜からこの状態だったのか?

「今日は、図書館につれて行ってあげるって言ったのは、誰だった?」

「はい・・・・私です・・」

申し訳なさそうに、抱きしめていた腕を一刀から放す。

「ふうううう、呪縛から解き放たれた」

「一刀(怒)、お母さんは、呪いじゃないのよ」

頬を膨らませ,にらんでくる。

「何に怒ってるんだ?」

寝室から一人寂しく出てきた父が母に問いかける。

「一刀が私のこと、呪縛とか言うのよ、呪いみたいに言って」

動きたくても動けない状態にするから皮肉を込めて言ったのだ。

父は、頭を掻きながら、いつものやつかと苦笑いをしている。

たぶん、夫婦の寝室では、毎朝こんなことになっているのだろう。

「龍美、今日は朝から図書館に一刀を連れて行くと言っていたじゃないか」

「・・・・・・・・・・・・・そうね」

「あれは嘘で、お昼からとかは、ないよな」

「・・そうね」

答えに間が・・嘘が・・・・・・あったのかもしれない。

これは、父に感謝だ。

「お父さんも起きてるのに、お母さんは起きないの?」

「今から、起きるわよ、こんな可愛い、呪縛なんかないから」

もしかして、まだ根に持っている?

「今から、朝ごはんを作って、着替えてから~、化粧をして~~」

「朝ご飯は、いらないから、一刀を早く図書館につれて行ってあげろ」

「えっ、朝ごはんは?」

「部隊に行く途中のコンビニで買って食うから、二人は、ランチでも食えばいいじゃないか」

「本当?一刀、お母さんすぐに出かけられるように,パッパーと化粧も着替えもするから」

着替えるといっても、そんなおしゃれをするわけでもない、いつものTシャツ姿から、パーカーを羽織るくらいだ、着替えより、いつも化粧しないのに、化粧する為、時間が少しかかる位なのである。

「ランチ、ランチ、おいしいランチ♪」

鼻歌を歌いながら準備を進める母。

「どこのランチにするの?」

「図書館近くに、朝からやっている「愛」って名の喫茶店で朝ランチがあるから、そこにしましょう」

「オムライスもある?プリンと、あとリンゴジュース」

「朝ランチのメニューにあったかな?オムライス」

「お母さんは何にするの?」

「愛の朝ランチ定番、サンドイッチセットよ、パンに挟まってるスクランブルエッグがすごくおいしいの

 それと、セットについてくるカフェオレとの相性が抜群なのよ」

「そんなにおいしいの?僕もそれにしようかな」

「ふわふわのスクランブルエッグは、お母さんが作りたくても作れなかったの、マスターに聞いても

 秘伝の作り方なんだって」

「だから、おかあさん、スクランブルエッグをご飯の時に作らないんだ」

「一刀が生まれる前に、毎日、毎日、朝ごはんで出していたら、お父さんに、「ニワトリになった気分だ」なんて言われたから、作るのやめたのよね」

[ぐ~~~・・・・ぐ~~~]


お腹から、音が鳴る。

「もう家から出れるから一刀、靴を履いて待っていて!一騎さんは、ガスの確認と家のカギお願いね」

「わかったから、気を付けて」

「いってきます、愛してるね」

「愛してる」

馬鹿夫婦健在だ。

それよりも早く、ご飯が食べたい一刀であった。


田舎なので家庭に車は2台,3台は当たり前、免許を取ったら、車も購入しないと生活がままならない。

バスもあるのだが、多い時間で、1時間1本少ない時間になると、3時間はバスが来ない。

「今日は、一刀とのんびりバスで行こうと思ったんだけど、車で行こう、朝ランチが待っている」

母はご機嫌に車に乗り込む。

それから、車で走ること20分、図書館の駐車場に着く。

バスで行こうとしていたのか、車だと20分で着くのに、バスなんか使った日には、倍以上の時間がかかり、それだけで疲れてしまう。

図書館の前の道を挟んだ向かい側にある喫茶店の看板に目が行く。

喫茶店「愛」

[カラ~ン・カラ~ン♪♪]

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

「2名で」

テーブル席も少ない小さな店なのだが、常連らしい人が集まり、コーヒーをおいしそうに飲んでいる。

「すみません、テーブル席は埋まってまして、カウンター席でよろしいでしょうか?」

「お願いします」

そう答えると、若い店員は、カウンターに案内する。

母は店員を見て、マスターの娘さんなのか疑問を持ち、注文を聞きに来た店員に質問を投げかけた。

「サンドイッチセット2つお願いします。それと、ちょっと聞きたいのですが、店員さんは、マスターの娘さんですか?」

あっけにとられた店員だったが

「はい、娘です。年が離れてますよね?孫にでも見えましたか?ふふふ」

「旦那と付き合っていた時によく来ていたのですが、お見掛けしなかったもので」

「これからもよろしくお願いします。サンドイッチセット2つでよろしいですね」

しばらくすると、サンドイッチセットが運ばれてきた。

一刀はサンドイッチを一口食べた瞬間、口の中にパンの甘さとふわふわの触感のスクランブルエッグの

虜になった。

「おかあさん、ナニコレ、口の中に甘さとふわふわが同時に来る」

「ね、一刀おいしいでしょう」

しばらくの間、余韻に浸る2人の姿があった。

レジに行き、お金を払う。

そのとき、店員から声を掛けられた。

「ありがとうございました。また、来てください。あと・・変なことを言いますが、私、5年前以前の記憶がないんです。なんか、お2人と話していると思い出すような気がして・・・それに、マスターと私は実の親子ではないんですよ。そんな私に愛情を注いで、育ててくれました。だから、ここで働かせてもらっているんです。」

「記憶が戻るといいですね。また、来ます。ここのサンドイッチ食べたら他の店では食べられないから」

笑顔で店を出て図書館へと向かう。

横断歩道の歩行者信号が赤の為、ボタンを押し、信号が青になるのを待つ。

「そういえば、朝ランチセットの中に、オムライスセットもあったね」

「そうだったの?そっちの方が良かった?次に行くときは、オムライスセットにする?」

「ううん、今日は、お母さんの言っていたサンドイッチセットで良かった。思い出の味だったんでしょ」

「若い時の思い出の味よ、一刀も、好きな人が出来たら、連れて行ってあげてね」

「次の行く時って言っていたから、今度また連れて来てくれるんだよね?今度は、オムライスセットを

 食べるんだ」

「一刀の思い出の味は、サンドイッチとオムライスのどちらになるのかしら?」

横断歩道の信号が青に変わる。


図書館に着き、自動扉の前に立つ。

「あれ、開かないわね」

「お母さん、まだ開館時間前だよ、あと15分ある」

自動扉の前では、司書の人が、あわただしく開館にあわせ、走り回っている。

司書の男性と目が合うなり、自動扉を開け、話し掛けてきた。

「疲れたでしょう。中の椅子にお掛けして、お待ちください。開館時間になりましたら、質問なども受け付けます」

中の椅子に座り、開館時間をのんびり待つことにした。

今は、パソコンで調べることが出来るようになりました。

図書館で調べることが少なくなりましたが、その土地その土地の歴史を調べるには、図書館のありがたみがあります。

小説や漫画にしても,紙派で電子版は苦手でした。

今でも、漫画、小説は出来れば紙の方が好きなのですが、なろう系の投稿サイトが出来てくれたおかげで、今までは、陽の光を見られなかった小説ボツにされたもの、にも陽の光が見えるようになりました。

素人の小説等も掲載することが出来るようにもなりました。

心から感謝申し上げます。

そろそろ、美月の謎解きをして、異世界にも飛びたいし・・・

構想の100分の1にも進んでな~いなんて、口が裂けても言えません。

でも、頑張りますので・・・・時間もください。

あと、私事で、すみませんが、今年の4月に亡くなった愛犬がいました。

11月3日の今日に、区の長寿犬として、表彰されました。

辛い病気を2回経験し、最後の時は私を見守るよう安らかに天寿を全うしました。

これからも、見守っていて欲しい思いがいっぱいです。



                                     A.K.I


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