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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第87話:ソル君パーティーに出会う

 『雑魚は往ね』を非常に効果的に使えるので、向かうところ敵なし。

 そこのけそこのけあたしが通る。

 ハッハッハッ、実に気分がいいなあ。


「素材や薬草も結構拾えてるじゃん?」

「全然人が入ってないからでしょうね。ありがたいですねえ」


 魔物がいるエリアに踏み込んで素材や薬草を漁れるのも、レベルが上がったからだ。

 レベルが一五を超えると中級冒険者だそーな。

 レベルだけからするとうちのパーティーも立派な中級冒険者なんだが、どーもそんな気になれない。

 冒険者デビューしてまだ一ヶ月も経ってないってこともある。

 それよりも実際の戦闘経験がなー。


「『アトラスの冒険者』は、石板クエストを完了するとレベルが上がるでやしょう?」

「アイシンク、ベリー恵まれてるね」

「おまけにうちのパーティーには、経験値五割増しパワーカードの『ポンコツトーイ』と経験値倍増バトルスキル『実りある経験』があるじゃん?」


 かなりレベルは水増しされてるよな。

 中級冒険者って言うといっぱしって感じだけど、あたし達はまだそんな域にない。


「数字に実績が追いついてないということですか?」

「さすがクララ。いい表現だね。あたし達は調子に乗ってちゃいけない」

「調子に乗ってない姐御なんて、姐御じゃないでやすぜ」


 メッチャ失礼なことを言われた気がする。

 おいこら、クララもダンテも頷くな。


 遠くに土手が見える。

 あの向こう側がクー川だな。

 何人かいるっぽいから、任せて構わないだろう。


 南下して海へ。

 もうこの辺りに魔物はいないようだ。

 海岸線に沿って西進すると三人組の冒険者がいる。

 あれはひょっとすると?


「ソル君! アン! セリカ!」

「「「ユーラシアさん!」」」


 希代のレア固有能力『スキルハッカー』の持ち主ソル君のパーティーだ。


「よかった! ソル君とアンセリは無事パーティーを組めたんだねえ。ちょっとだけ心配してたんだぞ?」

「ユーラシアさんのおかげです。ありがとうございました」


 ソル君も嬉しそうだ。

 アンセリはともに魔法系固有能力持ちの貴重な後衛だしな。

 パーティーを組めれば、ソロの時と比べて飛躍的に戦術の幅が増える。


「やはりユーラシアさんは掃討戦に参加してたんだな」

「朝、姿が見えなかったから心配していたのです」

「あ、ごめん。あたし『アトラスの冒険者』としてじゃなくて、灰の民の代表として参加してるから、ギルド行ってないんだ」


 格好悪いので遅刻したことは言わない。

 この三人の前でくらい先輩面したいから。


「ソル君、ギルドへはいつ行けたの?」

「四日前ですね」


 なるほど、『地図の石板』出てからすぐギルド行ったんだな。


「ソル君はうちの子達初めてだったっけ?」

「はい。よろしくお願いします」


 頭を下げるソル君。

 いいからいいから、精霊はそういうの苦手だから。

 うちの子達戸惑ってんじゃねーか。


 アンセリに話しかける。


「ソル君は凛々しいからすぐわかったでしょ?」

「ええ、ソール様のあの青い盾、ユーラシアさんからもらったとか」


 おおっとやるなあ、様呼びですかニヤニヤ。


「クエストで拾ったんだ。でもうちのパーティーはパワーカード装備だから、盾はいらないじゃん? 図らずもソル君にピッタリ」


 ソル君のところのパーティー構成だと、前衛のソル君が盾役として敵の攻撃を受け止め、アンセリの火力で仕留めるスタイルになるだろう。

 今後の習得スキル次第で、ソル君がフィニッシングを受け持つのが望ましい。

 が、いずれにせよ防御力はメッチャ大事だ。


「ユーラシアさんの予想通り、ギルドからの石板クエスト割り振りが止まったでしょう? アドバイスに従って、マウさんの転送先を使わせてもらっていました。もし何も知らなかったら、我ら三日間をムダに過ごすところだったのです」

「うん、あれは自分のことながらすんばらしい判断だったもっと褒めろと思う。有効に過ごせた?」

「「「はい!」」」


 元気いいなあ。

 よしよし、頑張るんだよ。


「ただ今日オレ、何もできなさそうなんですよ。あの大型魔物見ました?」

「見た。結界張ってる聖火教ハイプリーストの話聞いたんだけどさ。どーもあのデカブツにダメージ与える手段、あたし達しか持ってないみたいなんだ。うちのパーティーが正面から当たるんで、サポートよろしく」

「ユーラシアさんは『経穴砕き』を習得してるんですか」

「うちの子達も全員使えるんだよ」

「「「全員?」」」


 ソル君アンセリが驚愕する。


「完全に人形系レア魔物に的を絞って?」

「アンセリと別れてからも情報集めてさ。あのデカ人形がボスであることを知ったから、攻撃手段は整えた。やつの魔法に対する耐性装備も揃えたんだけど、あたし達だけで勝つにはレベルが全然足りないんだよ」


 ソル君が言う。


「オレも『経穴砕き』覚えるべきだったでしょうか?」

「何言ってるんだよ、ソル君らしくもない。『経穴砕き』を覚えるならソル君じゃなくてアンセリだろ」


 アンセリがビックリする。


「我らですか?」

「後衛のわたし達がどうして?」

「あのデカブツのことは一旦頭から外して。例えば経験値の高い踊る人形と戦うとするでしょ? 『経穴砕き』は誰が殴ったって攻撃力に関係なく一ダメージなんだよ。アンセリが前衛に出てくればいいじゃん。防御力無視系のスキルなんか他にもまだまだあるんだろうから、本来支援技の『経穴砕き』なんかでスキルハッカーの習得枠を潰すのはもったいない」


 三人はそういったパターンにも考えを巡らせているようだ。


「……世の中にどういうスキルがあるのかは知っておきたいですね」

「ソル君が将来何のスキルを覚えるか、目星をつけとくのは大事だね。灰の民の村の図書室に『魔法スキル大全』があるよ。古い本だけど、どういうバトルスキルや魔法があるか、有名どころはわかるから見ていきなよ。案内するからさ」

「お願いします!」

「じゃあ後で」

「「「はい!」」」


 ソル君パーティーと別れさらに西へ。

 ダンテとアトムが何か言いたそう。


「ボス、さっきのはセッキョー臭かったね」

「背中がかゆいんじゃねえか?」

「うるさいやい。せっかく若者がやる気出してたんだから、道筋を示してやるのが年長者の務めでしょーが」


 アトムが呆れて言う。


「歳変わんねえじゃねえか」


 クララがクスクス笑っている。

ソル君が強力なスキルを得るのはまだ後でいいんじゃないかな。

今出会うスキルなんて、多分たかが知れてる。

そんな気がする。

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[一言] 物理系スキルも大全が欲しいところ
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