第78話:パワーカードを充実させる
ほこら守りの村から帰ってきた。
さて、チュートリアルルーム行くまでには時間があるからどうしようかな?
『大掃除』の件がある。
ギルドに行くのは避けたいし……。
「アルアさんとこ行こうか。まだ日も高いし」
「そうしやしょう!」
アトムが真っ先に賛成する。
パワーカード大好きっ子だなあ。
よーし、行くか。
フイィィーンシュパパパッ。
「アルアさーん、こんにちはー」
「よく来たね。素材を売ってくれるかい?」
「もちろん。お願いしまーす」
交換ポイントは二八〇か。
もうちょっとでパワーカード三枚分だな。
本の世界で新しい種類の素材を得たので、交換できるカードの種類も増えている。
現在交換できるのは以下の通り。
<五〇ポイント>
『逃げ足サンダル』敏捷性+一五%、回避率+五%、スキル:『煙玉』
<一〇〇ポイント>
『ナックル』【殴打】、攻撃力+二〇%
『シールド』防御力+二五%、回避率+七%
『光の幕』防御力+一五%、魔法防御+一五%、沈黙無効
『ニードル』【刺突】、攻撃力+二〇%
『ボトムアッパー』攻撃力/防御力/魔法力/魔法防御/敏捷性全て+七%
『ルアー』狙われ率+五〇%、防御力+一五%、魔法防御+一五%
『スナイプ』攻撃が遠隔化、攻撃力+二〇%
『スラッシュ』【斬撃】、攻撃力+二〇%
『火の杖』魔法力+一五%、スキル:『プチファイア』
『マジシャンシール』魔法力+二〇%、MP再生三%
『シンプルガード』防御力+二五%、クリティカル無効
『鷹の目』命中率+五〇%、攻撃力+一〇%、敏捷性+五%
『ハードボード』防御力+三〇%、暗闇無効
『アンチスライム』【スライム特攻】、攻撃力+二〇%
『フレイムタン』【火】、攻撃力+一二%、火耐性三〇%
『寒桜』【氷】、魔法力+一〇%、氷耐性三〇%、麻痺無効
『オールレジスト』基本八状態異常および即死に耐性五〇%
<一二〇ポイント>
『サイドワインダー』【斬撃】、攻撃力+一五%、スキル:『薙ぎ払い』
<一五〇ポイント、一枚限り>
『癒し穂』魔法力+二五%、スキル:『些細な癒し』
『風月』攻撃力+二五%、スキル:『颶風斬』、『疾風突』
新たに『フレイムタン』『寒桜』『オールレジスト』の三種が交換対象となった。
『フレイムタン』や『寒桜』はおかしなカードだ。
攻撃属性が付属し、それと同種の耐性がついている。
どういう経緯があって作られたカードなんだろうな?
ちょっと思いつかないけれども。
ただ『フレイムタン』がほこら守りの村の参道で使えてたら、『雑魚は往ね』に頼ることはなかったかもなあ。
火属性はゴーストによく効くから、溜め技を使うより安全だったろう。
『オールレジスト』は状態異常耐性に優れたいいカードだ。
こいつをあたしが装備していれば、運の高さと合わせて『雑魚は往ね』使用時の安全度が上がりそう。
ぜひ欲しいな。
「ボス、アイシンク『オールレジスト』はマストね」
「うん、一枚手に入れとこう」
『オールレジスト』をあたしが装備し、交換ポイントは残り一八〇か。
どのパワーカードを手に入れようかってのは実に悩ましいな。
攻撃が遠隔化する『スナイプ』はいつか絶対必要になるカードだと思うし、クララやダンテの防御力だって上げたい。
さて、どーすべ?
「『オールレジスト』だけかい?」
「うーん、今日は以上で。外で戦ってきまーす」
欲しいパワーカードは多くても、今絶対に必要なものはないのだ。
『大掃除』の情報を得て、必須のパワーカードが出てくるかもしれない。
一枚くらいはいつでも交換できるように、余裕を残しておくのが賢い冒険者とゆーものだ。
ちなみに現在の装備はこう。
あたし……『スラッシュ』『アンチスライム』『シンプルガード』『誰も寝てはならぬ』『オールレジスト』『ポンコツトーイ』
クララ……『マジシャンシール』『エルフのマント』『逃げ足サンダル』『癒し穂』『ポンコツトーイ』
アトム……『ナックル』『サイドワインダー』『シールド』『ルアー』『厄除け人形』『ポンコツトーイ』
ダンテ……『火の杖』『プチエンジェル』『ボトムアッパー』『ポンコツトーイ』
本の世界の帰還時ボーナスでレベルが上がった。
クララが蘇生白魔法『レイズ』を、アトムがスタン・即死付与の単体刺突強攻撃バトルスキルである『朱屠拘束』を覚えている。
今までも蘇生魔法としては、パワーカード『プチエンジェル』装備時に使える『天使の鐘』があった。
しかし『天使の鐘』は、ヒットポイント満タンで蘇生できる代わりに消費マジックポイントが非常に大きいという難点もあった。
マジックポイントをなるべく使わずに長時間探索したいということがあるので、新しく覚えた『レイズ』の方が使い勝手は良さそう。
もっとも蘇生魔法を使わなきゃいけないようなエリアで、探索なんかしたくないけどな。
『朱屠拘束』は単体の強敵向けかな。
あたしの『雑魚は往ね』が効かない魔物に対して使う場面がありそう。
スタンは強敵にも比較的効くというし、期待しておこう。
ところで本の世界じゃなく、アルアさん家の外で戦うのは理由がある。
ぶっちゃけコブタ肉が飽和状態なのだ。
お肉をムダにするのは申し訳ないしな。
こっちの方が一回の戦闘で得られる経験値は低いのだが、魔物の強さの関係で回復魔法陣をほぼ使わなくてよく、時間当たりの獲得経験値はあまり変わらないから。
おっと、早速魔物の群れだ。
「雑魚は往ねっ!」
ここで食らう可能性のある状態異常は、殺人蜂の毒と食獣植物の『眠りの花粉』による睡眠だけだ。
あたしは睡眠無効の『誰も寝てはならぬ』を装備している。
よって安全に『雑魚は往ね』が使えるのだ。
「ユー様は今日から『オールレジスト』もありますしね」
「安全度はさらに高くなったね」
あたしは『自然抵抗』持ちで沈黙・麻痺・睡眠には耐性があるので、将来的には混乱無効のカードを装備すべきかもな。
考えるのは楽しい。
レベル上がるまではいかなかったが、『実りある経験』『雑魚は往ね』のコンボで割と経験値が稼げた。
薬草も素材もまずまずの量を採取できたので満足だ。
今日はバエちゃんとこ行くから、ステータスアップの薬草は明日食べることにしよう。
充実した時間だった。
不満があるとすればエンタメ成分が少なかったことだけだ。
パワーカードが大分手に馴染んできた気がする。
長年の修練の賜物だ(冒険者生活23日目)。




