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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第753話:あたしに都合のいい運命

 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「ユーラシアさん、いらっしゃいませ」


 ちょっと時間が余ったので魔境に来た。


「ユーラシアさんは魔境が好きですねえ」

「大好きなんだよ。魔境よいとこ一日に一度はおいで」

「アハハハ!」


 いや、マジで。

 暇さえあったら魔境来たい。

 あたしは冒険者活動の中では探索が一番好きだからな。

 肉狩り? それは義務だろ。


「ドーラが独立してさ」

「はい」

「新任の在ドーラ大使が来て移民も来て。今は物事がドカンと動き始める直前みたいな気がするんだよね」

「なるほど、ユーラシアさんはそう見ますか」

「うん」


 運命が動き始めたら、あたしの都合のいい方向に転がさなくてはならない。

 忙しくなっちゃうと、魔境にもなかなか来られなくなっちゃうかもしれないな。

 でも魔境で可能な限り稼いで有用なものを見つけて、変化があった時に即応しなきゃいけないのだ。


「今日も時間遅いですね?」

「来る予定なかったんだけど、お昼に食べ過ぎちゃってこのままだと夕御飯が少ししか入りそーにないんだよ。お腹減らそうと思って」

「そんな理由で魔境にいらっしゃる方、他にいませんけれども」


 アハハと笑い合う。

 もっとも出版にしろ『ウォームプレート』買い取りにしろ、おゼゼがたくさん必要になるのは事実なのだ。

 未来がどういう方向に流れようとするか、今はまだわからないけれども、おゼゼは重要。


「その後、おっぱいさんとはどう?」


 イシュトバーンさん家での会食以降のことは知らないのだ。

 うまくいって欲しいな。


「一度ギルドの食堂で夕食を御一緒させていただいたのですけど、どうも二人だと居心地が悪いというか」

「むーん?」


 他の冒険者の目もあるもんな。

 かと言ってギルドの職員は忙しいから、他の場所で会うってのも難しいし。

 あたしもギルドにあんまり行けないから……。


「今、魔境によく来る冒険者って誰かな?」

「ヤリスさんキーンさん、ダンさん、ラルフさん、エルマさんくらいですかね」

「ダンがいい」


 ダンはおっぱいさんとオニオンさんのラブ事情をある程度知ってるから。


「事情話して協力してもらいなよ」

「ダンさんを交えて三人でということですか?」

「だけじゃなくて、他のギルドの店員さんを混ぜたり、マウさんに渡りつけてもらったりとかさ。複数人で会うようにすればいいんじゃないかな。ダンならうまいことやってくれるよ」

「そうします! ありがとうございます!」


 会えない時間が愛育てるったって限度があるしな。

 目を瞑ればおっぱいさんが見えるよ。


「じゃ、行ってくる!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊出撃。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 

「ユーちゃん、いらっしゃい」

「ユーラシアさん、こんにちは」

「こんにちはーって、もうこんばんはの時間だな。お土産のお肉だよ。シスターは何か用だったの?」


 楽しい魔境散策の後、チュートリアルルームにやって来た。

 ここんとこ新人さんの塩梅がどうか、毎日様子だけは見に来ているのだが。

 今日はシスター・テレサも来ている。


「査察に来たのですけど、いよいよ絵を描いていただけるそうで」

「うん。いつがいいかな?」

「明日の夜はいかがでしょう?」

「オーケー。絵師と連絡取るね」


 赤プレートに話しかける。


「ヴィル、聞こえる?」

『聞こえるぬ! 感度バッチリだぬ!』

「イシュトバーンさんに繋いでくれるかな」

『わかったぬ。ちょっと待つぬ』


 しばしあとにイシュトバーンさんに通じる。


『おう、精霊使い。どうした?』

「絵のモデルの話だよ。チュートリアルルームの係員さんとその上司なんだけど、明日の夜が都合がいいんだって。大丈夫?」

『全然問題ないぜ。どうするんだ、うちへ連れてくるのか?』

「係員は緊急時以外、チュートリアルルームを離れちゃいけないんだよ。だから……」

『よし、オレが行けばいいんだな? 用意して待ってるぜ』

「夕方迎えに行くよ。ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『わかったぬ!』


 よし、連絡もできたし。

 バエちゃんとシスターが感心している。


「ヴィルちゃんはすごいのねえ」

「すごく役に立ってくれるんだよ。メッチャありがたい」

「どこにでも連絡が可能なんですか?」

「ヴィルが相手の人を知っていて、大体どこにいるかわかるなら」

「「へえ」」


 ヴィルはいい子だからね。

 もっともヴィルの言うパワー、おそらくはレベルが低い人を見つけるのは難しいのかもしれない。

 また先方がヴィルを嫌っているなら、行きたがらないだろう。

 今のところヴィルを嫌うような人はいないけれども。


「明日連れてくるから御飯食べよ」

「ユーちゃん、目的が変わってるわよ。カレー作るね」

「あっ、お願いする! やったぜ、かれえだ! ちょうどついさっきワイバーンの卵を手に入れたんだ」

「「ワイバーンの卵?」」

「こっちでは高級食材だよ。黄身の部分が多くて旨みが濃厚。ただ塩入れてスクランブルエッグにするだけですげえおいしいの。明日持ってくるよ」

「うわー楽しみぃ!」


 高速クネクネが炸裂する。

 イシュトバーンさん、かれえ初めてだからな。

 きっと驚くだろう。


「明日の服装はどうすればいいでしょうか?」

「多くのモデルのいろんな面を見せる画集になるんだよね。だから二人で被らない方がいいな。バエちゃんはいつもの聖職者服の正装で。シスターは周りの人に一番似合ってるって言われる服着てきて」

「わかりましたわ」


 バエちゃんが首をかしげる。


「……シスターも修道女服にならないかしら?」

「シスターに修道女服はあんまり似合わないと思うぞ?」


 仕事をバリバリこなすいい女コーデにしてくれればいいのだ。

 エルの服を知らなかったらイメージ湧かなかったろうけどな。

 あ、シスターの服も、帝国にセレシアさんデザインの服を知らしめる一助になりそーだ。

 傾向はきっと似てるから。


「じゃ、明日よろしくね。ところで新人さん、何か変化あったかな?」

「ユーちゃんが来た目的はそれよね? 今日は来なかったの」


 ふむ、慎重だな?

 とっくに冒険者の世界に飛び込んで来ちゃってもいいようなものだが。

 『アトラスの冒険者』が胡散臭い以外に、何か理由がありそう。


「帰るね。明日楽しみにしてるよ」

「またね」「さようなら」


 転移の玉を起動し帰宅する。

かれえは美味い。

ぜひこっちの世界でも再現するのだ。

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