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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第373話:もっと稼がないと

 ――――――――――七九日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「おっはよー、オニオンさん」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん。本日はお早いですね?」


 今日は朝から魔境、こんなに早く来たのも初めてだ。


「珍しく何も用がないんだよ。昨日おっぱいさんにもっと魔宝玉稼いでこいって無言の圧力かけられたから、今日は頑張ろうかと思って」

「御苦労様です」


 オニオンさんがうんうんと頷く。


「ユーラシアさんはクエストに対して誠実ですねえ」

「何事に対しても全方向に最大限に誠実だけどね。この依頼の話する時、おっぱいさんが怖いんだよ。うちのヴィルがビビるくらい。依頼主と何かあるのかなーと思うんだけど、誰だか知らない?」

「知りませんし、知ってても言えませんが……」


 ま、オニオンさんもギルドの職員。

 守秘義務があるしな。


「でも普通に考えて、高級魔宝玉を可能なだけ持ってこいなんて依頼、相当な財力がないと出せないですよ。となると依頼者はレイノスの富豪か、あるいはドーラ総督か」

「あたしも帝国のお偉いさんが依頼出したんじゃないかってチラッと思ったんだけど、戦争近いこの時期に、ドーラにおゼゼ落とすことなんてあるかなあ?」

「流通するお金が増えてものが少なくなると、社会をかき乱す要因になり得ると思います」


 おゼゼの価値が下がっちゃうのは混乱要因とゆーことだな?

 となると現時点で一番怪しいのはドーラ総督?

 いやでも依頼を出した時点で、あたしが魔宝玉の山を納めるなんて知らんわけだし。


「うーん、わかんない。稼いでから考える」

「ええ、ゆっくり考えてください」

「あ、そーだ。昨日ペペさんから新しい魔法買ったんだよ」

「ほう、ペペさんの」


 オニオンさんの眼鏡がキラリと光る。

 オニオンさんはスキル好きだから。


「あたし専用の魔法作ってくれたんだ。『大魔道士の祝福』っていう、回復効果率二〇〇%、ヒットポイント自動回復一〇%、マジックポイント自動回復五%、クリティカル無効、能力低下無効を、味方全員に与える支援魔法」

「支援魔法なんですか?」

「そうそう。うちのパーティーだとあんまり使わなそーな魔法ではあるけどさ。まだ試し撃ちしてないんだ。オニオンさんも見たいかと思って」

「ぜひ見てみたいですねえ。特に全体支援魔法は綺麗な視覚効果が付随するものが多いですから」


 クララの『精霊のヴェール』なんかすげえ綺麗だもんな。

 ドアを開けて彼の魔法を撃つ!


「大魔道士の祝福っ!」


 あっ、これはいい!

 綺麗というよりも、降るような光に包まれて幸せという感じだ。

 まさに祝福だなあ。

 我ながらピッタリの名前つけたもんだ。


「美しい魔法ですねえ」

「あたしも満足だなあ。行ってくるね」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊出撃。


          ◇


「じゃ、予定通りワイバーン帯に沿って北を目指すよ」

「「「了解!」」」


 現れたワイバーンを軽く倒して……。


「しまった。卵ドロップした」


 これ重いんだよな。

 行きに拾っちゃうと割れるの気を使うし。


「もったいないですけど、置いていきますか?」

「いや、置いてくなんて美食ハンターとしてできないから持ってく」

「いつからグルメハンターね?」

「生まれつき」


 さて、どーすべ?


「今日一日あるとどうせ素材やアイテム持ちきれなくなるから、適当なところで切り上げて一旦帰ろう。もう一度来ればいいや」

「そうでやすね」

「卵はどうします?」

「ギルドの大将に使ってもらおうか。あそこが一番喜んでもらえるし」


 大き過ぎてうちでは調理できないしな。


「ベリーグッドね」

「よし、方針決定。先行こう」


 ワイバーン帯を東側から反時計回りで北へ。


「……アンノウンのモンスター、メイビーベヘモスね」

「やたっ! 今日はツイてる!」


 『雑魚は往ね』で軽く倒して、『ベヘモス香』ゲットだぜ!


「これ多分レア素材だよね」

「はい、レアドロップのはずですよ」


 あまり遭えないモンスターのレアドロップって、手に入れるの結構キツいな。

 パワーカード『るんるん』とバトルスキル『豊穣祈念』のおかげで、レアドロップであろうとかなりの確率で落としていくからありがたい。


「またベヘモスね?」

「あれ? 遭遇し始めると続くなあ」


 とゆーか、ベヘモスはワイバーン帯東側に生息してるっぽいな。

 軽く倒して『ベヘモス香』ゲットだぜ(二回目)!


「一つはアルアさんとこだね。新しいカードが交換対象になるだろうから。もう一つは海の女王んとこ用に一応取っておこうか。レアだし」

「そうですねえ」


 ワイバーン帯を大回りし魔物を倒しつつ、北辺西の人形系レア魔物エリアを目指す。


「ブロークンドールね」

「三体か」


 薙ぎ払い一閃、一体逃げられたものの藍珠二個と杳珠一個を手に入れた。


「そーいや、ギャルルカンっていう人形系レアがいるんだっけ?」

「どうやら魔境には生息していないようですが」


 エルが言ってたヒットポイントが二の人形系レアだ。

 これまでのあたし達の転送先にはいなかったようだ。


「人形系レア魔物ハンターとしては倒しておきたいねえ」

「魔宝玉ハンターの方が語呂がいいでやすぜ?」

「アトムの正論だね。語呂は大事だもんな」


 うちの子達が不思議そうな顔してるけど、二つ名として考えると語呂がいいことは必要なんだってば。

 さて、ここからは狩りの時間だ。


「もう少し中へ行って、デカダンスと単体のウィッカーマンを主目的に戦うよ」

「「「了解!」」」


          ◇


 昼前くらいになり、素材と魔宝玉他のアイテムでナップザックがパンパンになりかけた頃、マンティコアが現れた。


「珍しいね。北辺のこんなところにマンティコアが迷い込んできたよ」

「ユー様、人形系レアパラダイスエリアを『こんなところ』扱いはよろしくないのでは?」

「おおう、あたしとしたことが、いつの間にかあたし達に富を与えてくれる人形系への感謝の気持ちを忘れていたよ」


 経験値君達に敬礼!


「バイザウェイ、マンティコアとはバトルね?」

「もちろん」


 溜めて溜めて雑魚は往ねっ!


「やたっ! ドロップした! 凄草だ!」

「ユー様、一度ホームに戻りましょう」

「うん、帰ろう」


 凄草は新鮮な内に食べるか植えるかするのが基本なのだ。

 畑番の精霊カカシに持ってきてくれって言われていることもあるしな。

 転移の玉を起動して帰宅する。

『働かざる者食うべからず』というのは嫌いな言葉じゃない。

たくさん働いたら腹一杯食うべし!

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