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第244話:ウィッカーマン対策のカード

 魔境から帰宅後、うちの子達に手早く指示する。

 何で手早くかって?

 時間が遅いってこともあるけど、ゲットしたレア素材『氷晶石』が冷たくてまいっちゃうんだよ。

 これどれくらいの時間で魔力抜けるんだろ?

 早くアルアさんとこ持っていこ。


「クララは夕御飯お願い、ダンテはサポートね。あたしはアトムとアルアさんとこ行ってくるよ。『ファイブスター』か『三光輪』、どっちか交換できるようになってたら四つもらってくる」

「行ってらっしゃい」


 『ファイブスター』と『三光輪』、細かい性能は異なるが、どちらも火・氷・雷の属性攻撃を緩和するパワーカードだ。

 ウィッカーマンの撃ってくる高威力の攻撃魔法『メドローア』対策に絶対必要なものである。


 アトムを伴って転送魔法陣へ。

 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさーん、こんにちはー。もうこんばんはの時間かな?」

「アンタはいつも元気がいいね。いらっしゃい」

「うちで取れたサツマイモだよ。お土産でーす」

「ありがとうよ、素材売ってくれるかい?」

「お願いしまーす」

「おや冷たい、『氷晶石』があるね」


 あるんだよ。

 冷たいから早く手放したいの。

 交換ポイントは四三〇になった。


「交換レート表だよ」 


 新しく交換対象になったパワーカードは以下の四種だった。


 <一〇〇ポイント>

 『三光輪』火耐性/氷耐性/雷耐性三〇%、魔法防御+一五%

 『サイコシャッター』防御力+五%、魔法防御+一〇%、睡眠/混乱/激昂無効

 『必殺山嵐』防御力+一五%、反撃率+三〇%、会心率+五%


 <一五〇ポイント、一枚限り>

 『ミスターフリーザ』魔法力+二五%、スキル:『アダマスフリーズダブル』


 やたっ! ウィッカーマン対策に必要な『三光輪』が交換対象になった!

 四人分の交換ポイントも足りる!

 手に入れるべし!


 いやいやどうどう、落ち着けあたし。

 他のパワーカードにも検討を加えてからだ。


 『サイコシャッター』は精神系三種の状態異常を無効にする強力なカード。

 睡眠しか無効にならない『誰も寝てはならぬ』と置き換える手はあるが、『誰も寝てはならぬ』は装備時の最大ヒットポイントが大きくなるという無二の効果があるからな。

 一応検討を要す。


 『必殺山嵐』は物理攻撃を食らった場合、自動で反撃する確率が三〇%あるというユニークなカード。

 装備するならアトムだな。

 『ルアー』で相手の攻撃を引き付け『必殺山嵐』で反撃するというコンボは、物理攻撃メインの魔物に一定の効果を発揮すると思われる。

 ただそんなチマチマした戦法はうちのパーティー向けではない。

 ザコ相手にはあたしの雑魚は往ね、強敵相手にはあたしアトムダンテで火力を集中と戦法が決まっているから、必要のないパワーカードだ。

 

 『ミスターフリーザ』はわかりやすく強力な後衛向けのカード。

 魔法力補正が大きく、付属する魔法『アダマスフリーズダブル』は強力な単体氷攻撃魔法『アダマスフリーズ』を二連で放つというもの。

 いつかダンテに持たせたいパワーカードではある。


「ようやく『三光輪』が出たねえ」

「これでリベンジできやすぜ!」


 アルアさんが興味深そうに聞いてくる。


「リベンジ? 何だい、ドラゴンスレイヤーでも苦労する魔物がいるのかい?」

「魔境の中央部にウィッカーマンっていう、黒っぽい人形系レア魔物がいるんだよ。『メドローア』を連発してくるもんだから、ダメージを軽減しないと勝てそうになくて」

「ウィッカーマン? 聞いたことあるね。誰も倒したことないとかいう噂の人形系魔物かい?」

「そうそれ」


 アルアさんもウィッカーマンを知ってたか。

 しわだらけの目を見開くアルアさん。


「倒さなきゃいけない理由があるのかい? 経験値稼ぎなら他の人形系レアでもいいようなものだが」

「今、黄金皇珠以上の魔宝玉を持ってこい。相場の五割増しで買ってやるっていうクエストを請けてるんだ。これ」

「どれどれ……」


 アルアさんに魔宝玉クエストの依頼書を見せる。


『期限は妖姫の月の末まで。黄金皇珠以上の魔宝玉。個数に制限なし。相場の五割増しで引き取ることを依頼料とする』


「個数に制限なしかい。こりゃまた見たことないような難儀なクエストだねえ」

「やっぱ難儀だよねえ。でももう既に一個黄金皇珠は確保したんだ」

「ほう、大したもんだ」

「でもこのクエストの醍醐味は個数無制限のとこじゃん? ごそっと高級魔宝玉を届けて大金持ちになってやろうと考えてるんだ」

「実にアンタらしい豪快な計画だねえ」


 かかかっと特徴的な乾いた笑いを響かせるアルアさん。

 機嫌が良さそう。

 でも豪快って、美少女精霊使いに相応しい形容語かなあ? 


「で、今のところデカダンスが黄金皇珠をたまにドロップすることがある、ってことしかわかってないんだ。どこから高級魔宝玉を手に入れたらいいか物知りの冒険者に聞いたら、ウィッカーマンなら可能性があるって言ってたもんだから」

「確かにね。魔境中央部の魔物はどいつも高級魔宝玉をドロップするという話を聞いたことがあるが……」

「そーなの?」


 じゃあウィッカーマンに拘ることない?

 誰も倒したことがないような魔物にチャレンジするのは損かな?


「いや、噂だよ。もし本当だとしても、おそらくレアドロップさ。魔境中央部の最強魔物を数多く倒してようやく一個魔宝玉手に入れるんじゃ、ちょっと割に合わないね」

「うーん、ごもっとも」

「ウィッカーマンは人形系だ。確実に魔宝玉をドロップすると思われる。倒せるならウィッカーマンの方が断然お得だ」


 お得か。

 大好きな言葉だ。


「しかし、こんな依頼を出そうとするのは……。アンタ、これ誰の依頼か聞いてないかい?」

「聞いてない。言うのはギルド職員の守秘義務に引っかかるらしくて」

「まあね。話すわけないか」


 あれ、やっぱり依頼者に何かあるのかな?

 ポロックさんやおっぱいさんの言い方からしても、少し気になる点はあるんだが。


「……まさかやつってことはないかね? まあいい、いずれ明らかになろだろ」


 アルアさんに心当たりがあるっぽい?

 といってもあたしは知らん人だろうしな?


「じゃあ『三光輪』四枚もらっていきまーす」

「ああ、あんまり無茶するんじゃないよ」

「はーい」


 交換ポイントは残り三〇。

 ちょっと寂しくなったな。

 転移の玉を起動し帰宅する。

ウィッカーマンを絶対倒さなきゃいけないのかって言われると、実はそんなことはない。

でも美少女精霊使いの前に立ちはだかる壁だしなー。

魔宝玉クエストにも関わるし、ぜひとも経験値とおゼゼになって欲しいのだ、うん。

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