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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第2298話:ビアンカちゃんのお相手は

「宮廷魔道士なんじゃないかと思うんですよ」

「宮廷魔道士だったかー」

「ビアンカ様の言葉の端々から察するに、ですけれども」


 ルーネウルリヒさんとともに施政館へ行く途中だ。

 ルーネのアンテナに引っかかってきたところによると、どうもビアンカちゃんが今お付き合いしているのは宮廷魔道士らしい。

 ふうん? かなり意外な取り合わせだな。


「当然貴族の宮廷魔道士だよね?」

「だと思います」

「ルーネの感覚ではどう? うまくいってそう?」

「もちろんです。ビアンカ様楽しそうですもの」


 最近のルーネのカンは当てになる。

 ビアンカちゃんは順調に愛を育んでいるんだろうなニヤニヤ。


「あたしの認識では、宮廷魔道士はお給料の高い立派な仕事だと思うんだ。お付き合いを秘密にしなきゃいけない理由があるのかな?」

「宮廷魔道士だと、大きい任務を抱えているとか昇級前で目立ちたくないという理由かもしれない」

「ヤニック様が跡取りですから。ヤニック様ハンネローレ様の方をまず前面に出したいという理由かもしれません」

「なるほど。やっぱつつかない方がいいか」


 消化不良ではあるけど、どうせいずれ紹介してくれるだろ。

 正式な婚約を待つべし。


「そーいやあたしは、貴族の現役の宮廷魔道士って知り合いいないな」


 エメリッヒさんは辞めちゃったしキーファー君はこれからだし。

 ちょっと盲点だった。

 ビアンカちゃんが婚約したら紹介してもらうのがいいか。


「ドルゴス宮廷魔道士長は確か平民だろう?」

「とゆー話だね。魔道研究所詰めの平民に気軽に『ドルゴスさん』って言われてるもん。あれで貴族だったらビビるわ」

「平民のトップでは貴族を御しがたかろう。貴族出身の宮廷魔道士をまとめているのは誰だ?」

「知らないな。とゆーか今まで気にしたことなかった」


 貴族の宮廷魔道士は護衛任務に就くことが多いらしいけど、あたしがいれば護衛なんていらんしな?

 今までほとんど絡みがない。

 ソロモコ遠征やラグランドの総督室で会った人くらいかな?


「そもそもビアンカちゃんと宮廷魔道士って、どこに接点があったんだろ?」

「紹介ではないですか? 宮廷魔道士も年頃の令嬢と知り合いやすい職業とは思えないですし」

「紹介か。お貴族様っぽい」


 適齢期の貴族だと、紹介で知り合うケースは多いだろうな。

 にしてもビアンカちゃんに宮廷魔道士? って疑問は残るわけだが。

 ビアンカちゃんはプリンスルキウス陛下のお従妹様だから、婚約破棄後の手出し無用期間さえ過ぎれば、貴族嫡男の嫁にって話はかなりあったんじゃないか?

 一方でビアンカちゃんの性格からして、爵位持ち領主貴族の妻として家内を切り回すってのは向いてない気もする。

 となると宮廷魔道士って案外いい選択なのかも。


「ヤニック君とハンネローレちゃんの方は順調なの?」

「順調ですけど、ヤニック様ってマイスイート何とかマイラブリー何とかって、誰にでも仰るではないですか」

「言うねえ」

「ハンネローレ様が面白くないようで」

「ヤニック君バカ過ぎる」


 口癖になっちゃってるんだろうな。

 でもハンネローレちゃん案外可愛いとこある。


「どうしたらいいでしょうか?」

「あたしに振るのかよ。そーだな。誰にでも言うから特別感がないじゃん? ハンネローレちゃんを呼ぶときだけ、形容語を増やせばいいんじゃないかな。マイ『スペシャル』スイートエンジェルとか」

「あっ、いいですね! ビアンカ様に提案しておきます」

「ところでウルリヒさん。これビアンカちゃんの本だよ」

「くれるのか? ありがとう」

「内容は女性向けだと思うけど、コミカルだから男の人でも読めると思うんだよね」

「これは帝都では販売されているのか?」

「どーだろ? まだじゃないかな?」

「まだですね」

「貿易商の都合があるからねえ。今月中には入るはずだよ」


 メチャクチャ売れる本ではない。

 しかしヴィクトリアさんが力を入れている本なのだ。

 知名度を上げてファンを増やし、次に繋げたい。


「ウルリヒおじ様は今日どうされたんですか?」

「東の貿易港キールを帝国直轄領にする手続きが終わったのだ。その報告と、カルテンブルンナー家領の北にある未所属領域を帝国領に繰り入れるための魔物狩りを行う旨の連絡だな」

「まず試しに魔物狩りやってみようってのが明後日なんだ。ルーネも行く?」

「行きます! 『アンリミテッド』も使ってみたいですし」

「ウルリヒさん、あそこって人形系の魔物はいるんだっけ?」

「いるという話だな。滅多に出ないんだろうが」

「活躍できるといいねえ」

「はい!」


 楽しそう。

 まー明後日は地元の人も集めて祭みたいなことになるんだろう。

 昨日の第二次掃討戦よりは若干強い魔物が出るんだが、ルーネにとってはいい経験になるだろうから、積極的に魔物退治させてやりたい。


「その未所属領域ってのが草食魔獣の多い、一見牧場みたいなところなんだよね。狩り尽くさなきゃいけないのが惜しいくらい」

「ハハッ、草食魔獣が多いのは草原だ。森や利用価値の少ない土地ならば自然保護区として、あるいは魔物狩りの訓練地区として残す手はある。草原はムリだ」

「だよね。畑たくさん作れるしな」

「モガム川の水利で農業生産力は飛躍的に上がるな。どこかで鉱産資源が出てくれるとありがたいが」


 夢が広がるなあ。

 人口を増やすのに食は重要だ。

 移民を受け入れるのでも、農業生産可能な土地がたくさんなければならない。

 しかしカルテンブルンナー家領北には、魔物さえどうにかなれば沃野があるのだ。

 キール直轄領化で東方貿易が完全解禁されることも追い風になる。


「北の未所属領域って、地図で見るとすごく広いですよね?」

「ドーラのノーマル人居住域に近いくらいの面積があるね」

「一〇〇万人の人口を支えられるだけの農業生産力は優にあると見積もっているんだ」

「素晴らしいなー。やっぱ人口が欲しいんだよね。数が多ければそれだけすごいこと考えつく人もいると思うんだ。そーゆー人大事にしていい世界にしたい」

「ユーラシアさんは人を重要視しますよね」

「そーなんだよ」


 人はひっじょーに大事。


「弧海州を視察したいんだ」

「ルーネも行きたいだろうから、四日後どうだろ?」

「わかった。では四日後で」


 楽しみだなー。

 さて、施政館に到着だ。

夢を夢だけに終わらせないことが大事だな。

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