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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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2081/2453

第2081話:弧海州へお出かけ

 ――――――――――三一七日目。


「……とゆーわけで、七日後におっぱいピンクブロンドでーす。いいかな?」

『おう、右腕が唸るぜ』


 朝からイシュトバーンさんと連絡を取っている。

 右腕が唸るって現実にはどんな現象だろうな?

 イシュトバーンさんの腕だからなー。

 メッチャうるさそう。


『おっぱいピンクブロンドは領地で描く方が面白えのか?』

「うーん、何とも。ただ帝都にいる時は気が張ってるんだよね。領地に帰った時の方が、素に近いおっぱいピンクブロンドを見られるとは思うんだ」

『あんたの見立てだ。期待してるぜ』


 イシュトバーンさんがどっちを好むかわからんけれども。


『面白話を寄越せ』

「すかさずクレクレしにくるなあ。一昨日会ったばっかりじゃん。いかに聖女といえども、そんな簡単にハプニングに恵まれないわ」

『ねえのか?』

「おっぱいピンクブロンドも含めて仕込みの時期かな。あたし『魔魅』持ちになってから魔王島に行ったんだよ。そしたら魔王バビロン含めて悪魔が皆ぎゅーされたがるの」

『面白えじゃねえか。悪魔の反応が見たくて魔王島に行ったのか?』

「悪魔を可愛がるばっかりじゃないんだ。魔王島の漂着民に有用な植物を教えてあげるっていう目的が一つ」

『一つ? まだあるのか?』

「悪魔を研究している帝国の宮廷魔道士がいてさ。あたしが『魔魅』持ちになったことで他の悪魔とどう関わるか見たいって言ってたんだ。で、連れてった」


 何か『魔魅』持ちになってから、悪魔が皆可愛くていい子に見えるんだけど。

 こっちの心境も変化するのかしらん?

 悪魔が可愛くて有能なのは確かなので、メッチャありがたいなあ。


「あと『世界最大のダンジョン』っていうクエストもらったんだ。これがおそらく『アトラスの冒険者』で関わる最後の……最後から二番目の転送先になる」

『意味深じゃねえか』

「実はもう一つ、使ったことのない転送魔法陣があってさ。上に立つと『この転送魔法陣を使う資格を満たしておりません』って言われちゃうの」

『ほお』


 わかる。

 あのえっちな目をしているに違いない。


『あれだろ? ほこら守りの村の幼女占い師が、使うと冒険者じゃなくなるって言ってた魔法陣』

「うん。イシュトバーンさんは存在は知ってたんだったか」

『まだ使ってなかったのかよ?』


 あれ? イシュトバーンさんはあたしが謎魔法陣を使ったから、『アトラスの冒険者』が廃止されると思ってたのかな?

 なるほど、考えてみればそうも疑える状況だわ。

 傍からどう見えるかを把握するのって難しいな。

 

「管理者用の転送魔法陣なんだって。多分『アトラスの冒険者』本部のある異世界に繋がるやつ。使い方はわかった。とゆーか『アトラスの冒険者』なら使えるんだそーな。でも転移の玉を持ってると使用が制限されちゃうとのこと」

『……うまい仕掛けだな。『アトラスの冒険者』が転移の玉を持たずに転送魔法陣に身を任すなんて考えられねえ』

「だよねえ。でもあたしにはデス爺製の転移の玉があるから」

『実に面白えじゃねえか』

「ただ迂闊に使えないじゃん? どうせ転送先には警備員だの憲兵だのがわんさかいるだろうし」

『とは限らねえが、侵入者が来たらすぐ非常時体制に移行はできるだろうな』


 一度っきりの転送になるだろう。

 使いどころがえらく難しい。

 エルをこちらの世界に留めおくための切り札だ。


「最後の魔法陣の話をするつもりじゃなかったんだ。『世界最大のダンジョン』の方の話ね? 昨日試しに行ってみて、ちょっとまだ面白ポイントがどの辺なのかわかんないんだよね」

『ハズレじゃねえか?』

「おっぱいさんがとっておきだって言ってたんだよ。だから絶対に愉快な展開になるはず」


 おっぱいさんへの信頼感は絶大。

 じっくり楽しむ予定だ。

 何たって世界最大なんだから。


『今日はどうするんだ?』

「弧海州行ってくるんだ。魔王島の漂着民がさ。税金のないいい場所だから、故郷の人達を誘いたいみたい」

『そりゃいいな。魔王島も今の人数じゃ少な過ぎる』


 あたしが世話焼かなきゃ隔絶した集落なのだ。

 最低一〇〇人くらいは欲しいもんね。


「そんなとこ。イシュトバーンさん、またね」

『おう、またな』

「ヴィルありがとう。魔王島行っててくれる?」

『了解だぬ!』


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「御主人!」

「お? おう」


 魔王島にやって来た。

 転送魔法陣で飛んでヴィルが飛びついてくるのはあまりないパターンだ。

 ギルドであったかな?

 いい子には違いないのでぎゅっとしてやる。


「レダも遠慮せずおいで」

「よ、よろしいですか?」

「うん。ぎゅー」


 よしよし、いい子達だね。

 ザップさん来た。


「モテモテだな」

「そーなんだよ。悪魔可愛くて可愛くて」

「じゃ、連れてってくれるか?」

「せっかく行くなら、買い物も目的でいいと思うけど」

「金がねえな。ああ、素材を換金すりゃいいか」


 おお? 結構集めたね。

 誰も魔王島に素材漁りに来ないからか。


「一万ゴールドでよければ、まとめてあたしが引き取るよ」

「随分弾んでくれるじゃないか。よし、売った!」


 あたしも『ウォームプレート』と『クールプレート』の生産を頼んでる手前、素材はいくらでも欲しいのだ。

 もちろん魔王島漂着民に協力したいという気もある。

 代金を支払い、ナップザックに仕舞い仕舞いっと。

 地図を取り出す。


「えーと、どこへ行けばいいかな? ザップさんの故国は聖グラントだったっけ?」

「聖グラントだ。聖グラントだな? 聖グラント……聖グラントでいいか」

「えっ? 何なのよ一体」


 迷うところじゃないだろーが。


「故国は聖グラントに間違いねえが、一番困窮してるのはカル帝国の弧海州植民地に逃げ出したやつらなんだ」

「スラムみたいだって言ってたね。じゃあ帝国の植民地に行ってる知り合いとコンタクト取る?」

「……いや、帝国の植民地で物資を手に入れるのは至難の業だと思う。何も持たねえやつらを受け入れられるほど、オレ達に余裕がねえ。共倒れになっちまうよ。やはり聖グラントで移住の準備を整えられる者を優先する」


 ザップさんの表情が険しくなる。

 苦渋の決断だろうが仕方ないな。


「聖グラントの港湾都市ラライに連れていってくれ」

「ラライだって。ヴィル頼むね」

「了解だぬ!」


 ヴィルの姿が掻き消える。

地図で見ると西の端っこ弧海州だ。

どんなところかなあ?

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