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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第2076話:本のサロンをお勧め

「で、ヤニック君とハンネローレちゃんのラブラブな話が聞きたいの」

「えっ?」


 意表を突いてもハンネローレちゃんの仮面は剥がれないなあ。

 本物の淑女だからか。


「女子会と言えば恋バナなんだもん。ルーネに話すことなし、ビアンカちゃんはヤニック君のあととなると、ハンネローレちゃんの話が聞きたくなるのが乙女心」

「ユーラシアさんの話だって聞きたいではないですか」

「あたしに最近そーゆー話はな……黙秘で」

「卑怯ではないですか!」


 目が泳ぐビアンカちゃんを見て何かを察するルーネ。

 あたしの一番最近の恋バナ対象になり得る相手ってヤニック君だよ。

 マイパワフルハニー言ってたことなんか、ハンネローレちゃんに聞かせられないだろーが。

 ヤニック君がハンネローレちゃんにギュウと締められるのは構わんけど、婚約がパーになったら後味が悪いわ。


「禁断の恋ってやつはあるのだ。話せるやつは話すよ。皆今年の縁談ね」


「……お、残念なのかよ? オレんとこへ嫁に来るのはどうだ? なんて言うから、年齢考えろ、色ボケジジイが。どこかに捨ててくるぞという、世界的絵師を産業廃棄物扱いするあたし」

「「「「あははははははは!」」」」


「……たまには悲劇のヒロイン役だってやってみたいんだってばよって言ったら、こんなドヤ顔の悲劇のヒロインはいねえって。たまにはいいんじゃないの? 笑える悲劇も」

「「「「あははははははは!」」」」


「……気に入った。予の妃にならんか? ってウルピウス殿下がいきなり言うのでした。他人の心が読めるリモネスのおっちゃんのあんなビックリした顔は、なかなか見られないんじゃないかな。人生どこにラブが落ちてるか、予想がつかないものだよ」

「素敵です!」

「ラブストーリーは突然ですねえ」


「……ヘルムート君にはリリーがいるじゃんって答えたら、オレの嫁はどうだ! ってパスカル君が立候補。色々頑張れって言ったった。アーベントロート公爵家の三人の息子達の中で、一番性格が軽いのはパスカル君だな。悪いわけじゃないけど注意は必要。末っ子っぽい」

「「「「ふんふん!」」」」


 全員食いついてくるなあ。

 あたしの話はこんなもんでいいだろ。


「で、ハンネローレちゃんはどうなのよ?」

「と、言われましても……」

「ハンネローレちゃんの赤い顔見てるだけでお腹一杯だからいいけれども」

「お腹一杯だぬ!」


 あれ、ヴィルちょっと体温上がってるかな?

 いや、まだ全然大丈夫だろ。

 ビアンカちゃんが言う。


「ハンネローレ様が帝都に戻ってから、まだお兄様とは二回しか会っていらっしゃらないはずです」

「やっぱ貴族ともなると、ちょっと会いに行くだけでも大変なんだな」


 皆が頷く。

 アポが必要なのは当然として、あんまりしょっちゅう会っててもはしたないとか言われそう。

 面倒なもんだ。

 考えてみりゃフットワークの軽いグスタフさんは結構すごい。


「手紙は毎日いただくのですけれども」

「手紙は何と書いてあるんですか?」

「当ててみせようか。マイスイートエンジェルどうのこうの」

「その通りです」

「……思った以上に思った通りでつまらんな。自分で何言ってるんだかわからんけれども」

「これからですよ」


 楽しみが残ってると思えばいいか。


「マイケさんはどうなの? 恋愛強者のオーラがプンプンしてるけど」

「どうしてマイケ様に対してはさん付けなんですか?」

「だっておっぱいには敬意を表さないといけないから」


 納得するルーネハンネローレちゃんビアンカちゃん。

 あれ、ため息吐いてるけど、どーしたおっぱいピンクブロンド?


「殿方が皆嫌らしい視線を向けてくるのです」

「そりゃそーだ。あたしが男だったら放っておかないわ」

「私は下心満載のお誘いは好きではないのです。ただ領地のこともありますし、社交は必要でしょう? お相手をしていると、今度は御婦人方が離れてしまって……」


 軽くこめかみを抑えるおっぱいピンクブロンド。

 その仕草が色っぽいんだとゆーのに。

 商売上の話だけなら、男と人脈が繋がった方が良さそうなものだ。

 でもおっぱいピンクブロンドは女性との人脈も欲しいみたいだな。


「御婦人方のお茶会に誘っていただきたいのですけれども、うまくいきません」

「サロンに誘ってやってよ」

「「そうですね」」

「サロン?」

「上皇妃様と和解したヴィクトリアさんが本のサロンを開いているんだ」

「読書サロンですか? 優雅ですね」


 顔をほころばせるおっぱいピンクブロンド。

 先帝陛下の第一皇女のサロンだ。

 将来的にかなり様々な人が参加すると思うし、おっぱいピンクブロンドとしてはぜひ食い込みたいだろう。


「本も読むけど、読書サロンとは性格が違うかな。安い本を出して本を一般的なものにしようっていう試みなんだ。これマイケさんにあげる」

「これも本ですか? ああ、最近話題のフィフィリア様の本ですね」

「あっ、フィフィのこと嫌いだった?」

「ということはありませんが……」


 隠してるつもりでもわかるとゆーのに。


「フィフィはお父ちゃん男爵が失脚したあと、行き場がなくてドーラに渡ったんだ。まあマイケさんが嫌うのもわかる。ドーラに着くやいなや、ド田舎のおサルさんの言いたい放題だったわ。高飛車な性格がドーラのおサルにウケるわけないから、強歩三日の街道を歩かせて苦労させたったの。これはその時の道中記だよ」

「あのフィフィリア様が強歩三日の道のりを? 御冗談でしょう?」

「大マジなんだよ。最初は一時間ちょっと歩いただけで靴擦れ起こして歩けなくなってたけど、結局一〇日以上かけて目的地まで辿り着いたよ。今は冒険者やってる」

「フィフィリア様が……」


 ハンネローレちゃんが言う。


「フィフィリア様は随分お変わりになりましたよ。何というか、逞しくなったようにお見受けいたしました」

「うん、フィフィは変わった。昔のイメージを嫌ってこの本読まないのはもったいないから読んでやってよ。面白いよ」

「わかりました。ありがとうございます」

「それからビアンカちゃんが恋物語を書いてるんだ。これもドーラで刷って、帝都では三〇〇ゴールド以内で売ろうと思ってる」

「帝都に戻ってきてからになりますが、サロンには必ず参加させていただきます」


 いいだろ。

 参加する側される側にウィンウィンだ。

あたしの恋バナはいいとゆーのに。

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