第2074話:楽しい女子会
「ハンネローレ様は、直接ペルレ男爵邸へ行かれるそうです」
「おっぱいピンクブロンドの家は、ハンネローレちゃん家の近くなんだ?」
「そうですね」
おっぱいピンクブロンドの家まで、ルーネ及びビアンカちゃんと話しながら行く。
ちなみにヴィルはいつものように肩車だ。
ビアンカちゃんに聞いておかねば。
「えーと、本日はお日柄もよく……」
「あはは、何ですかそれ?」
「いや、ビアンカちゃんの婚約破棄の原因になった子じゃん? おっぱいピンクブロンドって。遊びに行くのはいいのかとゆーことはなかなか聞きづらいわって、全部言っちゃったじゃないか」
「全部言っちゃったぬ!」
大笑い。
ビアンカちゃんが言う。
「エリアス様に婚約破棄を申し渡された時は、目の前が真っ暗になったような気持ちでした。でも時間が経って客観的に自分を見つめられるようになってみると……。どの道エリアス様とはうまくいかなかった気がします」
「A太はなー」
うまくいくはずありません、縁が切れてよかったって顔をルーネがしとるわ。
仮にA太とビアンカちゃんの相性がもっと良かったとしても、いきなり婚約破棄宣言するような考えなしはお勧めできんわ。
相性以前の問題だわ。
「婚約した時もお父ちゃん伯爵のグスタフさんが根回しして、断れないような状況だったんでしょ?」
「だと思います。実は最初から、面倒な話だよとは両親から言われていたんです」
「災難でしたね。心中お察しいたします」
「グスタフさんはやること早いし、できる人だけどなー。ただしA太、てめーはダメだ」
「そうですよ。地獄に落ちればいいのです」
「おおう、ルーネが過激だよ」
グスタフさんほどの人が自分の息子の教育に力を入れていたなら、A太だって名家の令息として引く手数多だったろうに。
今のA太は完全にイロモノ扱いなんだけど?
グスタフさんあちこち駆けずり回ってて忙しそうだもんなー。
自分が優秀なだけに、あんまり他人に任せない人なのかも。
「ユーラシアさん、まさかA太を教育してやるなんて考えてないですよね?」
「あたしが貴族の勉強なんて教えられるわけないじゃん。何の得もないし」
「ビヴァ様を構っているではありませんか」
「お父ちゃん閣下とウルリヒさんに頼まれたからだぞ? それにビバちゃんは見込みがあるからね」
ビバちゃんはバカじゃないし、キャラ的に面白いのだ。
トラブルメーカー臭は小さくなったけど、突っ込まれ体質であることは変わらない。
エンタメ精神を刺激されるね。
「ビアンカちゃんのところには結構縁談が来てるんでしょ? 何たって陛下のお従妹様だし」
「はい。しかし今はお兄様とハンネローレ様の婚約が決まったところなので、私の話はゆっくり進めようということになっているのです」
婚約破棄事件からまだ一ヶ月ちょいだしな。
ビアンカちゃんが尻軽に見られるのもつまらん。
先方が了承してるならのんびりの方がいいかも。
「ルーネのラブ話はどうなんだルーネは。あんたは皇女じゃないか」
「私よりユーラシアさんの方が先ではありませんか」
「あたしのことはあたしに決定権があるから、どうにでもなるんだってば。でも皇族貴族の縁談は、家と家のパワーバランスが関係してくるじゃん?」
「はい、わかりますけれども……」
「お父ちゃん閣下は自分でルーネの縁談止めてるクセに、嫁き遅れたらあたしのせいにしそうだからなー」
「そ、そんなことがありますか? はわわわわ……」
「アタフタしているビアンカちゃんは可愛いな。ぎゅーしてやろう」
ヴィルとルーネも混ざってぎゅー。
ハハッ、ビアンカちゃんの従者が微笑ましいものを見る目だわ。
「でもあちこち遊びに行ったり、いろんな話を聞いたりするのは、ビアンカちゃんの小説のネタになるような気がするな?」
「あっ、今書いているのがほぼ終わったんですよ」
「やたっ! あたしにも見せてよ」
「はい。チェックが終わったら、ヴィクトリア様のところへ持っていきます」
「初の帝国側からの企画による廉価本ですね?」
「そーだね。また一歩歴史が進むね」
おっぱいピンクブロンドへのお土産どうしようと思ったけど、画集とフィフィの本でいいか。
「ここですよ」
「ほんとだ。ハンネローレちゃん家に近いな。こんにちはー」
「こんにちはぬ!」
門番が挨拶してくれる。
「ユーラシア様、ルーネロッテ様、ビアンカ様でいらっしゃいますね? 中へどうぞ」
ヴィルもいるけど従者扱いかな?
屋敷の中へ。
◇
「こんにちはー」
「こんにちはぬ!」
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」
応接間の席に案内される。
あ、もうハンネローレちゃん来てるやんけ。
「大勢で押しかけちゃってごめんね」
「いえいえ。ハンネローレ様にはユーラシアさんに身体を治癒してもらったという話を伺っていたんですよ」
「ええ、本当にユーラシアさんの御業は聖女のようで……」
「正真正銘の国のお墨付きの聖女だとゆーのに」
「聖女だぬよ?」
「はわわわわ……」
笑い。
ビアンカちゃんは和むなあ。
あんまり婚約破棄のことをもう気にしてないみたいでよかった。
おっぱいピンクブロンドもいい顔で笑うじゃないか。
昨日会った時は仮面を貼りつけたような顔だったけど。
女の子同志の集まりだと気安いのかな?
大勢で圧迫しちゃうとよろしくないなあと思ってたけど、楽しい女子会になりそう。
「これお土産だよ」
「本ですか? ああ、話題の画集ですね?」
「そうそう。これの帝国美女版が出るから、マイケさんもモデルになってもらいたいの」
「まあ。私なんかがよろしいんですか?」
「もちろん。絵師には早くおっぱいピンクブロンドを描かせろってせっつかれてるんだ」
もう少し人物を知ってから依頼しようかと思ったが構わん。
化けの皮がはがれて面白いところは出てくるかもしれないけど、イシュトバーンさんの美女ボーダーラインの遥か上にいる逸材であることは間違いない。
ハンネローレちゃんが言う。
「私も描いていただいたんです。素敵な体験でした」
「ルーネハンネローレちゃんビアンカちゃんもモデルなんだ。もちろんあたしも」
「大変ありがたい話なんですが……」
残念そうな顔になった。
どうした、何か問題でもあるかな?
乳を少々上げ底してるなんてのはわかってるから大丈夫だぞ?
例えばビアンカちゃんはどこまでも素だなあという感じがする。
でもおっぱいピンクブロンドは違うんだな。
見せてない部分が多いと思う。




