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2019/2453

第2019話:ドーラのイヌは皆大きい

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 夕食後、毎晩恒例のヴィル通信だ。


『ヴィルから絵を受け取ったよ』

「モデルがスライム少女ニライちゃん。スライム令嬢の方がいいかな?」

『お好きなように』

「つれないなー。ニライちゃんは今回の貴重な幼女枠だね」

『それは必要な枠なのか?』

「各種の要望に応えることが商売上必要とゆーことはあるね。世の中ロリの国の住人もいるから」


 ピンクマンみたいな。

 小さくて可愛い子を愛でるとゆー嗜好はわかる。

 あたしも可愛いもの好きを自覚したところではあるし。


『熟女枠は?』

「残念ながらないんだなあ。絵師が描きたがらないもん」

『ハハッ、イシュトバーン氏の嗜好もあるか』


 イシュトバーンさんは見た目年齢の高い人はあんまり。

 口ではババアはいらねえって言ってただけだけど、そのババアの基準が案外低いんだよな。

 三〇代くらい?


「男性ばかりが画集買うわけじゃないからなー。もう一人くらい可愛い系ロリがいてもいいんだけど」

『ラグランドの王女は年少なんだろう?』

「ああ、オードリーがいたわ」


 ニライちゃんより若干年齢が上だが、やっぱ幼女枠だな。

 アグレッシブさがニライちゃんと印象被るから、ポーズは注意しないと。


「ニライちゃんの絵頼むね。もちろんポスターにして構わないから」

『わかった。それで今日の顛末だが』

「随分とかかり気味だね」


 まあ今日のわんちゃんイベントのことを指しているんだろう。


『フェイ族長から大体の話は聞いているんだ。だけど君に同行はしてなかったらしいじゃないか』

「あれ? 詳しいことを聞きたいのか。大したイベントじゃなかったぞ?」

『君にとっては大したことなくても、カラーズにとっては重要なことかもしれないから』

「なるほど?」


 妙な理屈で飾ってきたけど、要は話を聞きたいだけだな?

 サイナスさんもわんちゃん好きなのかしらん?


「人数多いとわんちゃんが逃げちゃうじゃん? あたしが単独行動で歩いて探して、うちの子達が一塊で飛んで空から見つけるっていう方法だったの」

『それ以上分割しても、見つけた時合流できないってことか』

「ヴィルでの通信の都合だね。たまたまあたしの方が水場近くですぐ発見したんだ。面白いイベントにはならなかったよ」

『イヌは逃げようとしなかったのか?』

「必殺技聖女の微笑みを見せつけて悩殺してやったよ。皆お腹見せて撫でてくれって」

『イヌは賢いなあ。逆らってはいけないって、瞬時に判断したんだろうな』


 わんちゃんでもガルーダでもそうだが、逆らう子は可愛くない。

 いや、そーでもないな?

 時々腕白なクソガキも構いたくなる気はする。


「群れのリーダーだった白イヌが一番なんだけど、どの子もそれなりにもふもふなんだよね。あたし大きいわんちゃんほど好きだな。大きい方から順番にシロ・クロ・マッチャ・アガリ・コーヒー・ユズ・サクラって名前つけたよ。心の中で」

『ドーラのイヌは皆大きいだろ』

「えっ? 他所の国のイヌは小さいの?」

『ネコ以下の大きさの犬種もあるそうだぞ』

「マジか。知らなかったわ」

『屋内で飼うんだと、小さい方が都合がいいんだろう』

「ええ? そんなのイヌじゃない!」


 夢が壊れた気がする。

 でもこの会話がフラグになって小さいイヌが登場しちゃうのかなあ?

 出てこんでいい。


「フェイさんと黄の民が責任持って飼ってくれるそうだから、わんちゃん達はもう安心」

『イヌ達を働かせるって聞いたな』

「うん。山のパトロールね。魔物に対する警報装置になってくれればいいじゃん?」

『族長の親族連は、イヌまで働かせるのかって驚いてたらしいじゃないか』

「あたしがいた時は驚いてた様子はなかったけどな。働かざるもの食うべからずの原則は、たとえわんちゃんにだろうと適用されるのだ」

『問題は、君が無事黄の民族長一族と和解できたかってことなんだが』

「あんまり気にしてなかった。和解できたんじゃない? まだあたしの推しカプであるフェイさんインウェンに文句つけてきやがるから、あんたら推薦の二人には問題があるわインウェンがベストだわって言い聞かせてきた」

『お団子ちゃんが族長のパートナーとしてベストだってことを、説得力のある外部の人間に語らせたかったのかもな』

「あっ!」


 あり得る。

 フェイさんは悪いやつだから。

 インウェンを認めさせろっていう魂胆があったのか。

 どうも今日の感触だと、族長一族はインウェン嫁にまだ納得し切れてないようだったもんな。


「報酬以上に働いちゃった気がするな。まーいーや。御祝儀だ」

『ハハッ、午後は何してたんだい?』

「クエストもらってるヴォルヴァヘイムってとこ行ってた。簡単に言うと帝国版魔境みたいな場所」

『帝国のどの辺りだ?』

「ヤマタノオロチが出たとこの近くなんだ」

『ああ、はいはい。以前も魔境みたいなところって言ってたな。帝都からさほど遠くないんだろう?』

「帝都から強歩二日くらいのところだよ」

『……思ったより近いな。大丈夫なのかい?』

「どーだろ? 何かあった時、帝都から軍を出動させやすいってことはあるけど、所詮兵隊さんは対魔物戦に慣れてるわけじゃないじゃん? 冒険者みたいなのを育てた方がいいと思うけどね」

『魔境クラスの魔物と戦える人材を育てるったって、どうするんだ?』

「帝国のお偉いさんが考えることでしょ」


 ドーラに派遣してもらってあたしがパワーレベリングするでもいいんだし。

 報酬次第ですよ。


「魔境から吸い取られた魔力が『永久鉱山』から出てくるって説は、多分正しいんだよ。そーゆー魔力の流れを確かに感じるから」

『撹乱話法でもなさそうな?』

「違うとゆーのに。真面目な話だとゆーのに。ヴォルヴァヘイムはどっちでもないんだよね。魔力が停滞してるような感じがする。だけど魔力濃度は高いという」

『ほう? 面白いな』

「もう一回で多分、一番魔力濃度が高そうなところまで行けるんだ。新たな発見があるといいなあって思ってる」


 ヴォルヴァヘイムはよくわからんところなのだ。

 次回の探索で謎が明かされる。

 乞う御期待。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、御苦労だったね。おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日は盛りだくさんの日。

明日は天使国アンヘルモーセンと笑える王女がいるとゆーフェルペダへ行く予定。

もっともフェルペダは行くだけで、イベントは明後日だと思う(フラグ)。

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>シロ・クロ・マッチャ・アガリ・コーヒー・ユズ・サクラ 毛の色かな?でもアガリって何?寿司屋のお茶か? などと疑問に思っていたところで、感想欄を見てCMネタと分かり検索しました。 動画を確認しました…
ロシア文学のロリータがない世界で幼女のことをロリと呼ぶようになった理由はなんだろうか まあロリータは14だけど、ロシアのフィギュア選手くらいの見た目のはず
>シロ・クロ・マッチャ・アガリ・コーヒー・ユズ・サクラ ぽぽぽいのぽぃ ぽぽぽぃのぽぃ
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