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第1954話:幸せの形がたくさん

『おう、精霊使いか?』

「そうそう世界の架け橋たる美少女のあたし」


 帝都からの帰宅後、イシュトバーンさんに連絡だ。


「画集帝国版の話なんだけど」

『楽しみなんだぜ。どうなってる?』

「明日大丈夫かな? アポ取ってはいないんだけど、踊り子のキリアナさんって人のとこ、新聞記者が案内してくれるって言うから、描かせてもらおうよ」

『おおお? 踊り子か。そそるじゃねえか』

「踊り子って聞いただけで期待したくなるよねえ。期待通りの人が出てくるとは限らないけど」

『おい、妙なフラグを立てようとするんじゃねえよ!』

「あたしが予言してやろう。イシュトバーンさんの普段の心掛けがよければ、素敵な女性を望めるであろう」

『普段の心掛けなんか今から変えられねえじゃねえか!』


 アハハ。

 でも人気投票上位の人だよ?

 どんな人だか聞かなかったけど、色っぽい姉ちゃんだと思うよ。

 ただし保証はしない。


『で、面白話だが』

「いつもいつもあたしが面白話を抱えてると思ってもらっても困るんだけど?」

『隠すなよ。あんたは笑いの神に愛されてるんだろ?』

「笑いの神様の寵愛は著しいけれども」

『舞踏会はどうだったんだ?』

「そりゃもーミッションコンプリートだわ。完璧過ぎてお父ちゃん閣下泣いてたわ」


 あたしの魅力という名のパワーを見せつけてどうのこうの。

 ついでに腕力という名のパワーも見せつけて何のかんの。


『ハハッ、ルーネロッテ嬢はデビューって話だったか? 縁談が殺到するだろ』

「イシュトバーンさんもそう思う? ところがルーネは縁談来てないって言うんだよ」

『お父ちゃんがシャットアウトしてるんだろ?』

「多分ね。ただあたしの見る限り、ルーネと合いそうな人って少なくてさ」

『相性の話だな?』

「うん。今んとこあたしの中でルーネのお相手候補は、ウルリヒ公爵の息子ハムレット君と『ケーニッヒバウム』フーゴーさんの孫ピット君の二人だけ。ピット君はリリーの婚約者候補でもあったけど、ルーネの方が合ってると思う」


 多分ピット君もルーネの方が好き。


『そのウルリヒっていう公爵は? 以前少し聞いたが』

「帝国本土からぐーっと離れた東方を領地にしてる人だよ。領地に引きこもってあんまり帝都に出てこなかったんだって。で、皇帝選の時に投票の意思を聞いてこいって施政館に言われて、以来絡みが多い人なんだよね。天崇教徒なんだけど悪魔に抵抗なくて、様付けで呼ぶの」

『面白臭がプンプンする御仁じゃねえか』


 イシュトバーンさんのアンテナは敏感だなあ。

 どこで面白臭を判断してるのやら?

 またウルリヒさんの方もあたしを避難所にしてたり、面白スポットにしてたりするんだよな。


「ウルリヒさんは頭いい人で、うちの領地でこんな政策を行いたいっていうしっかりした考えを持ってるんだよ」

『帝国政府は地方領主の勝手を無制限に許すわけねえだろう?』

「まあね。何で好き勝手やらせてくれないんだって不満を持ってて、政府に警戒されてたような人。中央政府が領主をまとめてる国の難しいところだよねえ。最近あたしが帝都に連れてきて、施政館の面々と融和を図ってるからいい感じだよ」

『融和? 帝国が揉めねえ方がドーラにメリットがあるからか?』

「それもあるんだけど、お父ちゃん閣下とウルリヒさんは同い年で、小さい頃からライバルっていう関係なんだよね。いつも冷静なお父ちゃん閣下が、ウルリヒさんいると頭に血が上るから、ドサクサに紛れてこっちの要求を通しやすくて都合がいいの」

『ええ? ひでえ話だな』


 ひどくはないとゆーのに。

 都合のいいことを推進しておくのは当然だとゆーのに。


「ウルリヒさんとこの領地も改革が進みそうなんだ。それにともなってフェルペダって国にあたしも行くことになった。一〇日後くらい」

『名前くらいしか知らねえ国だな。またトラブルが起きるんだな?』

「鋭いね。何でも知ってるアリスによると、フェルペダの王様の一人娘がえらい我が儘らしいんだ。しかもウルリヒさんが笑えるって言ってるくらいの子。もー絶対何か起きちゃう」

『あとで話してくれ。まだ面白話はあるか?』


 一応話しておくか。


「面白いのかそうでないのかわかんないんだけど、今や皇帝になったプリンスルキウスの母方の従妹の、ビアンカちゃんっていう子爵令嬢がいるんだ。ルーネのお友達」

『その令嬢が?』

「最初気の小さい地味な子だと思ったの。ところが『セレクトワン』っていう他人の持ちスキルがわかるのに加え、スキルを一つ教えてもらって覚えることができるレアな固有能力持ちだったりとか。恋愛小説書けたりとか。婚約破棄食らったりとか。持ってる属性がユニークでさ。段々イシュトバーンさん好みの子に思えてきたよ」

『ほお? あんたに一目で掴ませないような令嬢か。確かに興味あるな』

「やっぱそーか。ビアンカちゃんもモデル候補に入れとこ」


 ふむ、これで結構新画集のモデルに目鼻がついてきたな。


「そんなとこ。じゃあ明日朝に迎えに行くね」

『おう、待ってるぜ』

「ヴィルありがとう。通常任務に戻っててね」

『了解だぬ!』


 よし、連絡終わりと。

 食卓を囲むうちの子達と話す。


「ちょこれえとどう?」

「おいしいですねえ」

「あんた達の嬉しそうな顔を見ているのが一番幸せだよ」

「いやいや、倒せなかった魔物を倒せた時の快感が、一番幸せを感じるでやしょう?」

「ボロモーケした時がモスト幸せね?」

「意表を突いて要求を通した時が一番幸せじゃないですか?」

「おいしいものを腹一杯食べるのも幸せだな」


 予想もつかないエンターテインメントに遭遇した時も幸せ。

 変わった人有能な人に知り合えた時も幸せ。

 そしてうちの子達とまったり団欒を楽しむのももちろん幸せなのだ。

 幸せの形がたくさんあるのって、素晴らしいことだなあ。

 

「魔王島クエストが完了したことは、早めにサクラさんに報告した方がいいかと思いますが」

「そーだね。ダンテ、明日には晴れるんだよね?」

「イエスね」

「帝都の用は午前中に終わると思う。午後に魔境行って、手に入れた不用品を処分しにギルド行こうか。夕御飯はギルドの食堂で」

「「「賛成!」」」


 よしよし、明日やることも決定だ。

 外を見ると大分小降りになってきている。

 夕御飯まで楽しくお喋りタイムだな。

本話含めて残り500話です。

いよいよ終盤ですねえ。

感慨深いです。

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― 新着の感想 ―
毎日3話書いても3ヶ月以上かかるけど終盤ではある
残り500話かー。さみしくなるなー ・・・多くね?
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