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第1844話:ガリアの王様に報告

 フイィィーンシュパパパッ。

 サラセニアの宰相シジズモンド閣下を連れてガリアの王宮にやって来た。


「おーい! プニルくーん!」


 草を食んでいたプニル君が嬉しそうに飛んでくる。


「今日助かったよ。ありがとうね」

『造作もないことだ。サラセニアは首尾よくいったのか?』

「死者ゼロ。クーデター派の首魁三人は幽閉したし、完璧だったよ」


 マジで完璧だった。

 もう騎士団はサルヴァトーレさんの指揮下に入ったし、スパルタコちゃんガリレオちゃんがガリア騎兵の保護下で首都ウトゥリクに帰還することをサラセニアのお偉方に理解してもらったし、特に問題はないと思われる。


 おっと、宰相殿が驚きですね?

 気持ちはわかる。

 あたしも八本脚のウマなんてものがいるとは思わなかったし。


「スレイプニルはガリアの所有物だったのか?」

「いや、違うんだ。プニル君は王宮の庭の草が好きだからここにいるだけ。誰のものでもないよ。王様も賓客扱いしてんの」

『そうだ。我は我のものだ。神のものでもガリアのものでもない』

「む、意思の疎通ができるのだな?」

「できるよ。プニル君は賢いから、こっちが何喋ってるかは完全に理解してる。ただプニル君の喋ってることは賢いあたしにしか理解できないんだよね。そこは不便だけど、言いたいことあったら通訳するよ」


 首を捻るシジズモンドさん。


「いや、特には」


 遠慮深いね。


「じゃ、プニル君、またねー」

『うむ、さらばだ』


 さて、王宮へ。

 バッチリな報告ができるのは気分がいいな。


          ◇

 

「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「ようこそユーラシア殿」


 警備兵がにこやか挨拶してくれる。


「王様いるかな? サラセニアのクーデターの件がほぼ片付いたんだ。宰相閣下が王様に挨拶したいって言うから連れてきた」

「うむ、お通りくだされ」


 応接室へ。

 王様とぽにょがいる。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「おう、ユーラシアか」

「ピエルマルコ陛下。お久しぶりでございます」

「む? シジズモンド殿か」

「王様に挨拶したいんだって」

「ハハッ、義理堅いな。サラセニアはどうなってる?」

「あたしのやることは終わった。大公弟ヒラルス殿下とベルナルド騎士団長、ジョコンド商業ギルド長は幽閉だよ。スパルタコちゃんとガリレオちゃんが到着したらオールオッケーだな」


 満足げに頷く王様。

 宰相閣下が頭を下げる。


「今回のことは御迷惑をおかけしました」

「ボニファツィオ殿が亡くなったのは遺憾なことであった。しかしサラセニアが悪いことはないだろう。悪いのはアンヘルモーセンと、それに踊らされたネズミどもだ!」

「まーアンヘルモーセンは勘弁してやってよ。天使が引き下がったあとは何もしてなかったみたい。情報がクーデター派に流れてなかったから、こっちもやりやすかったよ」

「ふむ。サラセニアはクーデターの処理で困らないか?」

「ハハッ、困るのは資金だけですな」

「融資してもよいが」

「待った。ガリアとサラセニアの間の貿易に関する協定ってどうなってんの? 特に港湾の使用料に関して」

「港湾の使用料?」


 王様と宰相閣下が意外そうな顔をする。


「貿易額に比例だぞ」

「定額にできない? 今よりもサラセニアが儲かるラインで。そーすりゃサラセニアは急場を凌げるし、長期的に見ればガリアにもメリットになりそうじゃん?」


 短期で見れば内海に港湾を持つサラセニアにとって大きな増収になる。

 しかし貿易の活発化を目論むガリアにしてみれば、貿易額が飛躍的に増えたとしても港湾使用料が定額ならば得だ。

 これがまとまるならサラセニアはガリアに対して、今以上に借りを作ることがなくなると思うけど。


「ハハッ、ユーラシアは知恵者だな。シジズモンド殿、どうだ?」

「いいですな。よろしくお願いいたします」

「落ち着いた頃を見計らってコージモ外務大臣を送ろう」


 うむ、単に融資だとどうしてもお金貸してる方が優位になっちゃうからね。

 サラセニアもメッチャ困ってるってわけではなさそうだから、港湾使用料見直しだけでいいと思うよ。

 宰相閣下がしみじみと言う。


「ユーラシア殿には大きな借りができたな」

「いいんだよ。あたしはやりたいことやってるだけだからね」

「やりたいこと?」

「サラセニアの奇麗な街並みが壊されるようなことがあっちゃよくないよ」

「「……」」


 王様と宰相閣下から生温かい目で見られてるけど違う。

 商売になりそーな景観がなくなっちゃうともったいないってだけの意味だからね?

 王様が思いついたように言う。


「おお、そうだ。紹介が遅れたが、この秋に予の妃になるベアトリーチェだ」

「ほう、やはり奥方になる御令嬢でしたか」


 ニッコリのぽにょ。

 ぽにょは本当に品がいいなあ。

 いいとこのお嬢の柔らか見本だ。


「新婚旅行でウトゥリクを訪れようと思っているのだ。よろしく頼むぞ」

「おお、大変にめでたきことですな。歓迎いたしますぞ」

「ユーラシア。例の絵師殿にベアトリーチェの絵を描いてもらいたいのだが」

「えっ、いいの? イシュトバーンさんにモデル紹介しろって言われてたから嬉しいな」

「絵とは何ですかな?」

「シジズモンドさんにこれあげるね」


 首かしげてる宰相閣下に、ナップザックから取り出したイシュトバーンさんの画集を渡す。


「おお? これはまた何というか、女性の美が余すところなく表現された、素晴らしい絵ですな!」

「褒め方がメッチャ上手だなあ。ドーラと帝国ですげえ売れてる画集なの」

「この絵師に描いてもらう原画を元にパズルとポスターを作ってな。結婚記念品として売り出そうと思っているのだ」

「王様、そのポスターや完成させたパズルを入れて飾れるフレームを作るとセットで売れるよ」

「いいアイデアではないか!」


 木製フレームはガリアの十八番だろ。

 おゼゼ儲けを考えてる時って楽しいなあ。


「明日の午後に絵師連れてくるよ。用事があってキャンセルになりそうだったら連絡入れるね」

「うむ、わかった」

「さーて、宰相さん。今日は帰ろうか」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を使用し一旦帰宅する。


『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』


 クーデタークエストはこれでお終いか。

 クエスト終了ということは、もうさほど混乱の目はないということだろうな。

 なかなか楽しかった。

サラセニアは片付いたと言っていい。

アンヘルモーセンはどう動く?

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