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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1815話:亜人との交流は深めていくべき

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 毎晩恒例のヴィル通信だ。

 今日は昼夜お肉をたっぷりいただいたから満足だなー。

 いや、ほとんど毎日お肉は食べてるけど、うちで食べるお肉と外で食べるお肉は違うとゆーか。


『今日はエルフだけじゃなくて、ドワーフの方まで行ったんだって?』

「うん。ギレスベルガー家の皆さんには、亜人とも親しくしてることを見せつけたったわ」

『ハハッ、転移の玉関係でかい?』

「そうそう。ちょうど新しいやつができてるタイミングだから取りにね。ドワーフとお肉食べて酒盛りだわ。帝国のお客様に亜人体験してもらいました」

『エメリッヒ氏に聞いたよ。でもドワーフは気難しいんじゃないのかい?』

「ドワーフは格好つけてるけど単純で扱いやすいぞ? お肉とお酒があれば逆らえないの」

『ユーラシアの扱いやすいは、言葉通り受け取れないからなあ』

「本当は昨日が転移の玉のでき上がり日だったんだよね。何で昨日来なかったってなじられたけど、ごめんよ代わりにたくさんお肉持ってきたって言ったらすぐ機嫌直した」

『ハハッ、本当に扱いやすいな』


 うむ、実にお手頃。

 今後仕事頼むことも多くなりそうだから、ドワーフとは仲良くしておかねば。


「ドワーフって家畜家禽として飼ってるのは、ウサギとウズラくらいなんだって」

『じゃああと食べてる肉は野生の鳥獣と魔物?』

「みたいだね。エルフがブタ飼育を目指してるんだってこと教えてあげたら、ぐぬぬって感じだった」

『ふむ、エルフとドワーフが仲悪いというのは本当なんだな』

「昔パラキアスさんが仲裁したって話だけど、しこりは残ってるっぽいね。少なくともドワーフ側には」

『エルフ側はどうなんだ?』

「トップのアビーはあんまり考えてないと思うし、ナンバーツーは堅実でしっかりした人だから、むしろドワーフと和解したいと考えてると思う」


 エルフとドワーフが仲悪いと、あたしも都合が悪いしな。

 いずれあたしが間に入ったろ。

 ドワーフにも農作物や家畜を導入してあげたい。

 ドワーフは石や岩の多い場所を好むみたいだから、酒造を行うとは言っても農業が得意ではないんだろう。

 ウシやヒツジみたいな大型の完全な草食家畜は難しいかもしれないけど、ブタやニワトリみたいな雑食の家畜家禽はイケそう。


『肝心のブタ飼育の試みについては大丈夫なんだな?』

「今のところ大丈夫。ギレスベルガー家の人達皆すげえ熱心にワイルドボア見てるの。ブタに対する情熱を感じたね」

『君だってブタに対する情熱はあるじゃないか』

「食べる方の情熱は負けないけれども」


 アハハと笑い合う。

 お肉はパッションにしてジャスティス。


「亜人との交流は深めていくべきだと思うんだ」

『ユーラシア的な観点だな。ノーマル人にない技術や知識を持っているからなんだろう?』

「うん。エルフは今まで他種族との交易で、通貨の代わりに魔宝玉を使ってたんだ。でもゴールドも使うようになってさ」

『エルフの側も歩み寄ってくれているのか』

「そうそう。いろんな商売ができるようになっちゃうよ」


 ドーラには多くの亜人種族がいる。

 亜人と交流できるのはドーラの強みでもあるのだ。

 強みを生かさないなんてもったいない。

 会ったことない亜人種族にも、いずれ会ってみたいもんだ。


「ドワーフのとこでお酒買ってきたんだ。デス爺はドワーフのお酒飲んだことあるかな?」

『どうだろうな。でもほどほどにしておけよ? デスさんは酒に目がないから、あればあるだけ飲んでしまう』

「買ったの二本だけ。内一本はアトムの分だよ。飲みたそーにしてたから」


 デス爺もアトムも一本だけなら無茶飲みもできまい。

 嗜んでくれい。


「午は施政館へ行ったんだ」

『皇帝選関係かい?』

「違くて。この前封爵大臣のデニスさん借りたじゃん? だから今のギレスベルガー家はもう揉めてないってことを報告したかったんだ」

『普通だな。どこが面白いのかわからない』

「辛抱して聞いててよ」


 エンタメをがっつきに来る姿勢が最近顕著なんだから。


「施政館ではサラセニアのクーデターについて聞かれたな」

『一番ホットな話題だろ』

「天使に会ったことと、サラセニアからアンヘルモーセンが手を引くよう言ったことまで話してきたよ。ただサラセニアは帝国が手出ししなくてもいいところじゃん?」

『サラセニアとガリアで決着つければよさそうだな』

「だからあたしももう少しイベントが進んでから話そうと思ってたんだけどな」

『どこまでも愉快なイベント扱いなんだな。いや、待ってる方としては聞きたいだろ。自国に影響があるのかないのか、報告聞かなきゃ判断しようがない』

「ウルリヒさんって人に会うことになったんだ」

『え? ええと、これはどっちだ? 跳躍話法の方か?』

「サイナスさん大正解!」


 サラセニアはいいんだよ。

 あたしもこれ以上話すことない。


「帝国には公爵が三人いて、あたしが会う最後の人だな」

『ほう、実力者だな?』

「多分ね。すっごい遠いところを領地にしてるから、皇帝選の意思確認が遅れてるみたいで。実際は海路なら十分間に合うところなんだけど、変わった人みたいなんだよね」

『変人か変態かどっちだ?』

「そーゆー二択なのかよ。変人じゃないかな」


 あるいは両方の属性を備えているかもしれない。


「バアルはウルリヒ公爵のことを、不平屋で高位魔族好きで天崇教徒だって言ってる」

『高位魔族好きで天崇教徒? 何だそりゃ? キャラクターが崩壊してないか?』

「しかも何と、主席執政官閣下と仲悪いみたいなんだよね」

『どうして君が嬉しがるのかわからない』

「おだてりゃ閣下の弱みを握れるかもしれないから」

『発想がえぐい』


 ま、そーゆー楽しみを満喫したいわけではないんだが。


「直接利害関係がなさそーなのにあの閣下と仲が悪いなんて、絶対に面白い人に決まってるんだなー。会うの楽しみで」

『明日行くのかい?』

「明後日だな。地理的にも外国と近くて楽しめそうなところなんだよね。明後日の通信を楽しみにしててよ」

『ああ、わかった』


 今日の報告はお終いか。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、御苦労だったね。おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日はマルーさんを連れて帝都。

今まで会った公爵は面白かったから、きっとトリを飾る三人目は愉快な人。

わくわく。

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ギレスベルガー家は豚への愛ゆえに豚人を嫁にしたのか
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