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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1789話:鳥の楽園

 フイィィーンシュパパパッ。


「青い空と白い砂か。実に美しいね」

「ボスはブラックなハマサソリもフェイバリットね」

「空と砂じゃお腹が膨れないとゆー、悲しい現実が打ちのめすよ」


 アハハと笑い合う。

 肉なし島ことハマサソリ島にやって来た。

 もっとこう、名前はどうにかならんのだろうか?

 南部からこの島見えるだろうけど、南部の人は何と呼んでるのかな?


「今日の目的はどうしやす?」

「まずハマサソリを多めに確保しよう。塔の村の食堂に持ち込んで昼食にしまーす」

「時間はどうしましょう?」

「リリーが食べたいって言ってたから、配慮してやろう。つまり昼直前だな」


 今日の夜はイシュトバーンさん家にたわわ姫を連れていくというイベントがある。

 しかしそれまでは特に予定を入れていないのだ。

 エーレンベルク伯爵家当主ランプレヒトさんの現在の印象を、孫であるフィフィに伝えてやりたい。

 そして以前ハマサソリをリリーが食べたいと言っていたから、お土産にごっそり持って塔の村に遊びに行こうという算段だ。


 早お昼を食べて探索に出かけるエルとは、時間的に会えそうにないな。

 レイカの行動は時間が読めないからわからん。


「ハマサソリ狩りが終わったら、島内部の探索だな。有用なものと危険なものと魔物のチェックだよ」

「魔物は有用なものと危険なもののどちらにも入らないんでやすね?」

「魔物はおいしいものとそうでないもの、儲かるものとそうでないものに分けなきゃいけないから、少し分類が難しいね。おいしくて儲かるものだけでいいのに」

「経験値の高い魔物もいますよ?」

「経験値とゆー評価項目もあったか。じゃあおいしくて儲かって経験値の高い魔物来い!」

「ボスはゴーヨクね」

「強欲だぬ!」

「だから褒めるなとゆーのに」


 おいしくて儲かって経験値の高い魔物ばかりだったら、こんなに素晴らしいことはないな。

 でも皆が大喜びで狩るから、素敵魔物は絶滅しちゃうわ。

 何はともあれしゅっぱーつ。


          ◇


「よーし、こんなもんかな」


 ぺしぺしハマサソリを仕留めて結構な量になった。

 食堂に持ち込むならサソリだけ食べるわけじゃないしな。

 十分だろ。


「内部の探索に入りまーす。見通しが利きにくいから、ヴィルはちょっと上からパトロールする感じで見ててね。魔物や注意すべきポイントがあったら合図して教えて」

「わかったぬ!」

「見たことのない植物が多いですねえ」

「うん。有用な植物があるといいけど」

「ホットなプレイスだからね?」

「おそらくは。亜熱帯から熱帯に近い植物相です」

「ドーラ南部と共通してるのか、それともこの島固有の種なのかは問題だな。クララに南部を見せときゃよかった」


 まあ今後南部に行く機会もあるだろ。


「石は特別なものはありやせんぜ。海底の石ばかりでやす。隆起してできた島なんじゃないでやすかね」

「ふーん、隆起か」

「へい。海岸に近い側はサンゴも多かったでやすぜ」


 暖かい地方では、宝石になる深海のサンゴとは別の種類のサンゴが島や岩にくっついて、特殊な地形を形成することがあるそうな。

 宝石になるサンゴで島ができりゃいいのに。

 いや、それじゃ希少価値がないから儲からないのか。


「あっ、デカい蝶だ!」

「ビューティフルね」


 うむ、これも見たことない蝶だ。

 優雅にヒラヒラと飛び去ってゆく。

 見たことない虫も多いな?


「食べられますかね?」

「実にうちのパーティーらしい感想だけれども、虫は毒持ちのやつも多いから試してみる気にはならんな。大体クララが知らんような虫を食べちゃダメだわ。どこぞの誰かが食べて知見を得られてからにしよう」

「「「了解!」」」


 不味かったりしたら目も当てられない。

 アトムとダンテがホッとした顔してるけど、あたしは慎重派だからむやみやたらと食べようとはしないとゆーのに。

 ハマサソリはクララがおいしいって言ってたからだぞ?

 クララは食に対して意外と貪欲なんだよな。


「これ、バナナですね」

「ばななってどこかで聞いたな。どこでだったっけ? 思い出せあたしの優秀なおつむ!」


 南部で聞いたんだった。

 多く栽培されている果物って言ってたな。

 しかしクララが首を振る。


「栽培品種は甘くておいしいらしいですけれども、野生種は種が多くて不味いと聞きました」

「ダメかー。まあ南部にあるものをわざわざここで仕入れる必要はないな」

「繊維を利用して布なりに加工することもあるようですが」

「栽培種で十分でしょ」


 品種改良の親としては使えるかもしれんから、一応覚えておこうかってくらいだな。

 それ以上積極的に利用する方法はなさそう。

 むしろこの島は観光に使いたいんだから、こういう珍しい植物が生えてるんだよっていう用途での活用か?


「バードが多いね」

「それなー。特徴的だよね」


 けったいな声で鳴く派手な色の鳥が多い。

 しかもどの鳥も割と近くまで寄ってくるのが愉快だな。

 見せびらかしに来るのかしらん?


 観光客が来た時もこうやって愛嬌を振りまいてくれるんだったら、メッチャありがたいわ。

 いよいよこの島は観光資源として有望。


「あっ、こんにちは!」


 思わず挨拶してしまった。

 小鳥が藪から飛び出してきたのだ。

 ちゃーちゃーって鳴いてる。

 この子色合いは地味だけど、愛想のいい鳥だな。


 ん? クララが首を捻ってる。


「変ですね」

「何が?」

「クイナの仲間の鳥なのは間違いないです。警戒心の強い鳥なので、こんなに近くに寄ってくることはないと思うんですが」

「美少女精霊使いの太陽のようなおおらかさが、警戒心を溶かしたのかな?」

「逆らってもムダだと考えたんでやすぜ」


 このアトムの発言は、失礼なのかあたしの絶対的なパワーを尊敬しているのか。


「メイビー、ナチュラルエネミーがいないからね」

「ダンテが正解なんだろうな。小さい身体に見合わない大きな足だねえ。ひょっとして飛べない鳥なのかな?」

「島に生息するクイナの仲間は、飛べない種が多いらしいですよ。水辺にいることが多いです。池が近いのかもしれませんね」

「さすがクララ。小鳥一羽でもわかることって多いんだな。よしよし、食べでがないから見逃してやろう。もっと太ってから恩返しに来るんだよ?」

「ひでえ。何が恩返しなのかわからねえ」


 アハハと笑いながら、さらに先に進む。

青い空と白い砂、ブラックなハマサソリ以外に、美しい鳥達がいることがわかった。

観光資源として有望。

島の内陸部はあんまり開発しないで、遊歩道を通すのがいいかな?

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